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  • 公開日:2018.12.28
  • 更新日:2023-11-09

【SOAP薬歴の書き方】記入事例から速くわかりやすく書く方法を解説

【SOAP薬歴の書き方】記入事例から速くわかりやすく書く方法を解説

患者さんに薬を安心安全に服用していただくためには、薬剤師による服薬指導が不可欠です。そして、充実した服薬指導をおこなうためには、薬剤服用歴管理簿(以下、薬歴)がきちんと記載されていなくてはなりません。

一方で、薬歴を丁寧に書きすぎるあまり残業が多くなり、集中力を切らして調剤ミスをおこしてしまったのでは、意味がありませんよね。

この記事では、【薬歴を書く時のポイント】や【効率的な薬歴の記載方法】について解説していきます。

薬歴とは

薬歴(薬剤服用歴)は、患者さまに安全で適正な薬物療法を受けていただくために必要な情報の記録です。

この記録により、処方監査、疑義照会、調剤、OTC販売、患者さまのニーズにあった服薬指導が可能となり、その結果、患者さまへ有益な薬物療法を行うことができます。

薬歴は患者さまに行った医療行為の記録でもあり、適正な医療行為に基づく調剤報酬請求の証拠となるものです。算定要件にも「薬剤服用歴の記録への記載は、 指導後速やかに完了させる」と記載があるように、できるだけ早急に薬歴を残し、適切な薬歴管理を行うことが重要です。

薬歴の基本的な書き方

おくすり手帳のイメージ写真

まずは、薬歴を書くときのポイントや流れについて見ていきましょう。

・薬歴を書くときの基本的なポイント

まずは、薬歴を書くときの基本的なポイントをみていきましょう。薬歴に記載しなくてはならない内容は、「薬剤服用歴管理指導料」の算定要件に掲げられており、服薬状況、残薬確認、体調変化、併用薬、既往歴、他科受診、副作用、飲食物、後発品の意向、手帳の有無、服薬指導の要点などがあります。

これらは、第三者が見てもわかりやすい記載方法を意識しましょう。具体的で継続的な流れになっていることも重要です。

・薬歴を書くときの流れ

薬歴を書くときは、薬局のルールによって異なる場合もありますが、多くの場合はSOAP(ソープ:Subjective data/Objective data/Assessment/Plan)の流れにそって記載していきます。

薬歴はあくまで服薬指導の「記録」という位置づけなので、なるべく早いうちに書くことがポイントです。薬局の混雑具合によっては、すぐに書くということは難しいこともありますが、服薬指導からなるべく間隔をあけずに記入するようにしましょう。

・初回患者の薬歴記入時の注意点

初回患者の薬歴は、当然ながら白紙の状態です。服薬指導の内容だけでなく、住所や既往歴などの基本的な情報も記入してなくてはならないため、再来患者の場合よりも情報量が多くなりがち。すぐに薬歴を書くことのできる状況でなければ、メモをとるなどの工夫をおこなうようにしましょう。

また、初回来局時にはアンケートを書いてもらうことも多いですが、アンケートの内容をしっかりと薬歴に反映していないと、同じことを繰り返し聞いてしまいかねません。患者さまの記入した内容をそのまま書きうつすのではなく、薬剤師が評価した上で薬歴を作成することが重要です。

・再来患者の薬歴記入時の注意点

再来患者の薬歴を記入するときには、前回見つかった問題点の経過や、新たに見つかった問題点の解決方法について、分かりやすく記載することが重要です。POS(問題志向システム:problem-oriented system)を意識して、薬歴を記入するようにしましょう。

また、継続的に来局している患者さまの薬歴では、短期的に変化する内容を見極めることが重要です。服薬状況・体調変化・副作用については、毎回確認しなくてはなりません。薬歴の記載項目はどれも重要ですが、毎回すべてを確認するのではなく必要に応じて更新するようにしましょう。

スムーズに書くには、箇条書きで丁寧に

実際に薬歴をスムーズに書くためには、どのようなことに気を付ければよいのでしょうか。

・記載内容は箇条書きで簡潔に

薬歴を書くときには、患者さんの言葉をそのまま記録することも一つの方法です。しかし、薬歴をスムーズに書くためには、箇条書きで簡潔に書くことも必要です。

たとえば以下のように端的に記載しましょう。書くときはもちろんのこと、次回読むときの時間短縮にもつながります。

●患者さまの言葉
「最近なんだか、腰の調子が悪くてねぇ。生活で特に変わったことはないんだけど、運動をあまりしなくなったからなのかなぁ」

●薬歴を書くとき
「最近腰の調子が悪い。運動不足かも」

・記入する内容は取捨選択をおこなう

薬歴は、患者さんとのやりとりを全て書けば良いというわけではありません。服薬指導の中で必要性の低い内容は、省略するようにしましょう。ただし、「最近スポーツジムに通い始めた」のように、一見では雑談に思える内容の中にも重要なワードが隠されていることもあります。

運動が治療に奏功する場合や、お薬の副作用で転倒をおこす可能性などを考えれば、薬歴に記載する必要性は高いといえるのです。

・レセコンの機能を最大限に活用する

現在では、多くの薬局で電子薬歴が採用されていますが、レセコンには薬歴をスムーズに書くためのさまざまな機能が搭載されています。メーカーによって操作方法は異なりますが、定型文の登録機能や過去の薬歴の引用機能、音声入力機能などが代表的です。

現在の環境でこれらを全く使用していないのであれば、一度全ての機能を試してみることがおすすめです。まとまった時間があるときに、レセコンの説明書やQ&Aを確認してみましょう。

SOAP薬歴の記入事例

患者に薬を渡す薬剤師のイメージ写真

「便秘の薬でお悩みの患者さま」のケースを例に、SOAPの書き方をご紹介します。

<処方内容>

  1. リンゼス錠0.25mg 分1夕食前 14日分
  2. アローゼン顆粒 分1就寝前 14日分
    (2回目の来局で、上記2剤が継続になっている。)

<服薬指導内容>

薬剤師 :前回と同じお薬が出ていますが、症状はいかがですか?

患者 :便秘はなくなったけど、緩くなりすぎるときがあるんだよね...。下痢するときもあるんです。先生は、下痢が毎回でなければ、このままもう少し様子をみようって。

薬剤師 :そうなんですね。お薬は、処方されている通りに飲むことができていますか?残薬などもありませんか?

患者 :うーん、食事の前に飲むのを忘れて食後に飲むこともあるんだけど、夕食時であれば良いんだよね?アローゼンは寝る前にきっちりと飲んでるよ。余ってる薬もないなぁ。

薬剤師 :こちらのリンゼスというお薬は、食事の後に飲むと下痢や軟便の副作用が多くなることがわかっているので、これが原因の可能性があります。あとは、アローゼンは毎回服用するように指示が出ていますが、強めのお薬なので下痢をしているようであれば頓服に変更してもらうと良いかもしれませんね。

患者 :そうだったんだ。それなら、今後は忘れないように気を付けます。あっ、アローゼンは確かに先生もとりあえず寝る前で出すけど、調子に合わせて調節してって言ってたなぁ。すっかり忘れてたよ。

薬剤師 :では、先生とお話しされたとおり、調節しながら飲んでいってください。アローゼンは癖になることや、腸に色がつくこともあるので、いざという時に飲むと良いお薬です。あと、食前は「30分以上前」のことなので、注意してくださいね。

患者 :わかりました。アローゼンはやっぱり強かったんだね...。いろいろと教えてくれて、ありがとう。

薬剤師 :また体調に変化があったら、教えてくださいね。お大事にどうぞ。

<SOAP形式での薬歴記入>

ここまでの内容を、SOAP形式で薬歴に記入していきましょう。自分以外の薬剤師が見ても、薬歴から状況がわかるように記入することがポイントです。

・患者さんの主観的な情報(S)

  1. #1:便秘は改善したが、緩くなりすぎるときがある。
  2. #2:リンゼスは、食後に服用してしまうこともあった。
  3. #3:アローゼンは、医師から頓服でもOKと聞いていたが、忘れていた。
    Sには、患者さんの主観的な情報を記入しましょう。訴えや自覚症状を箇条書きで簡潔にまとめることがポイントです。

・客観的な情報(O)

  1. #1:便秘は改善。軽度の下痢あり。
  2. #2:リンゼスは食後投与となることもあり、コンプライアンスは良くなかった。
  3. #3:アローゼンはムンテラで頓服指示も、忘れて用法通り使用。
    Oには、客観的な情報をまとめましょう。血圧やCcrなどの検査値を聞き取った場合には、こちらに記入します。

・薬剤師としての分析や見解(A)

  1. #1:リンゼスの食後投与により、下痢が起こった可能性がある。
  2. #2:アローゼンは頓服に切り替えることで、下痢を軽減できると考えられる。
  3. #3:今回の服薬指導で用法再確認、アドヒアランス向上。
    Aは、SやOを薬剤師の視点で評価しましょう。

・問題に対する今後の計画(P)

  1. #1: リンゼスの服用方法の遵守で、排便コントロールが良好になるか様子をみる。
  2. #2:アローゼンを、頓服でどのくらいの回数服用したか確認する。
  3. #3:服用方法についてきちんと理解しているか、再確認する。
    Pには、ここまでで明らかになった問題の具体的な解決方法を記入しましょう。

誰が読んでも分かる薬歴を、すばやく書けるように

薬歴の意義や役割をきちんと理解することができれば、費やす時間は変わらなくとも、より良い薬歴が書けるようになるものです。この記事を参考にして、いつもの薬歴にちょっとした工夫を加えてみましょう。

また、薬歴の一番のポイントは、「一読するだけで患者さまの状況がきちんとわかる」ということです。効率的に書くことばかりを考えるのではなく、自分を含めた薬剤師が読むということを念頭において、薬歴を書くことも重要ですね。

ファルマラボ編集部

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記事掲載日: 2018/12/28

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