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  • 公開日:2019.09.02

「パート薬剤師」は扶養内におさまるとお得!?"働き損"を防ぐために知っておきたいこと

「パート薬剤師」は扶養内におさまるとお得!?"働き損"を防ぐために知っておきたいこと

結婚や育児、介護などの理由でフルタイム勤務が難しく、パートとして働くことを選択した薬剤師が気になるもの。それは、「扶養内の壁」ではないでしょうか。

薬剤師は高時給であるため、計画的に働かなければ扶養の範囲を超えてしまいます。"働き損"を防ぐためにも、扶養控除の条件をしっかり確認することが大切です。

そこでこの記事では、【扶養内とは何か/具体的なケースについて/扶養控除を受けられる条件】などを解説します。

「税制上の扶養」と「社会保険上の扶養」とは

扶養、お金のイメージ

そもそも、「扶養の範囲で働く」と言うのは、「扶養控除が受けられる範囲で働く」と言う意味です。この扶養控除には、所得税などが控除される『税制上の扶養』と、年金や公的医療保険などが控除される『社会保険上の扶養』があります。

『税制上の扶養』は、配偶者控除または配偶者特別控除が受けられることを指します。一定の年収以下であれば、家族の扶養に入ることができ、所得税や住民税が免除されたり軽減されたりする点が特徴です。

一方で、『社会保険上の扶養』とは、一定の年収以下であれば家族の扶養に入ることができ、健康保険の支払いが免除されたり国民年金保険に加入できたりするものです。それぞれ条件があるため、混乱しないよう理解を深めることをおすすめします。

<税制上の扶養>103万円/150万円/201万円の壁とは?

所得税のイメージ

上の項目で述べたように、一定の条件を満たせば、『税制上の扶養』を受けられます。所得税や住民税が免除されたり軽減されたりするこの制度。被扶養者の年収によって内容が異なるのが特徴です。

いわゆる、"壁"と言われる【年収103万円】【年収150万円】【年収201万円】の3パターンを確認しておきましょう。

年収103万円の壁

年収が103万円以下であれば、所得税や住民税を支払う必要はありません。扶養者の合計収入額によっては配偶者控除も受けられます。こうした点から、「年収103万円の壁」と言われているのです。

年収150万円の壁

年収103万円を超えて年収150万円以下までは、配偶者特別控除を受けられる上に、最大額・38万円が免除されます。年収150万円を超えると控除額が減ることから、「年収150万円の壁」と言われています。

ただし、扶養者側の合計年収が900万円を超えると、最高額・38万円は控除されないので注意が必要です。扶養者側の収入に応じて、段階的に減ります。

年収201万円の壁

配偶者特別控除を受けられる上限年収です。年収150万円を超えても年収201万円以下であれば、控除は受けられます。ただし、年収201万円を超える場合は、控除対象外となるので注意してください。

<社会保険上の控除>106万円/130万円の壁とは?

社会保険のイメージ

健康保険の支払いが免除されたり国民年金保険に加入できたりする、『社会保険上の控除』。こちらも年収に応じて内容が異なるため、【年収106万円】【年収130万円】の2パターンを確認しましょう。

106万円の壁

年収106万円以上かつ以下の条件を満たす場合、社会保険の加入義務が発生します。記載の条件に当てはまるのか、自分の職場や勤務状況を確認しておきましょう。

  • 週の労働時間が20時間以上である
  • 雇用期間が1年を超える見込みがある
  • 学生ではない
  • 以下のいずれかに当てはまる
  • 1.従業員数が501人以上の会社に勤務している
    2.従業員数が500人以下の会社に勤務し、社会保険加入について労使合意がされている

年収130万円の壁

年収130万円を超えると、国民年金と国民健康保険に加入する必要があり、金額によっては年収130万円以下よりも手取りが減る可能性があるため注意が必要です。

詳しくは、「年収130万円から150万円は働き損になる可能性も」で解説します。

【シミュレーション】パート薬剤師が扶養内でおさまるには

働く薬剤師のイメージ

パート勤務でも、薬剤師なら高時給であることが多くあります。そのため、計画的に勤務しなければ、あっという間に扶養内の範囲を超えてしまうでしょう。どの程度の勤務時間ならば扶養内におさまるのか。シミュレーション結果をお届けします。

【1】税制上の扶養におさまるには

税制上の扶養の壁である、【年収103万円】【年収150万】【年収201万円】はどの程度で超えてしまうのか。時給2,000円のシミュレーション結果は下記です。

・年収103万円:週に10.8時間以上働くと超える
・年収150万円:週に13.6時間以上働くと超える
・年収201万円:週に21時間以上働くと超える

時給2,000円の場合、扶養控除内となる年収103万円以下なら、週10.8時間未満にする必要があります。たとえば、4時間勤務が週2日ならクリアできる計算です。

配偶者特別控除の最大額を受ける上限は、年収150万円以下です。時給2,000円の場合、週13.6時間未満にとどめましょう。たとえば、週1日8時間フルタイムに半日4時間を加えて12時間でクリアできます

さらに、配偶者特別控除の上限年収201万円は、時給2,000円の場合は週21時間以上働くと超えてしまいます。たとえば、週2日の8時間フルタイム勤務と半日4時間勤務であれば20時間となり問題ありません

...とは言え、カレンダーによって勤務日数が増えたり、代打でシフトに入ることもあるでしょう。ある程度の余裕を持って計画的にシフトを組むことが重要です。

【2】社会保険上の扶養におさまるには

次に、税制上の扶養の壁である、【年収106万円】【年収130万】はどの程度で超えてしまうのか。時給2,000円でシミュレーションすると下記となります。

・年収106万円:週に11.1時間以上働くと超える
・年収130万円:週に13.6時間以上働くと超える

年収106万円の壁には、「週20時間以上の労働時間」という条件も含まれています。時給2,000円のケースでは、仮に年収106万円稼いでいたとしても週11.1時間勤務。つまり、週20時間は超えないので、社会保険の支払い義務が生じるとは限りません。

年収106万円を稼ぐと、基本的に住民税と所得税を支払うことになりますが、年収130万円を超えていないので社会保険を支払う必要はありません。夫の社会保険に加入したい場合には、年収130万円の壁を意識すると良いでしょう

年収130万円から150万円は働き損になる可能性も

驚く薬剤師のイメージ

"働き損"となる可能性が高いグレーゾーンは、年収130万円から150万円。この範囲では、年収130万円未満の時よりも手取りが減ってしまう可能性があります。

たとえば、年収139万円の場合、配偶者特別控除が適応され税金の負担は減るでしょう。しかし、所得税および社会保険料は支払うことになるため、手取り額が130万円未満の場合よりも少なくなる可能性が高くなります。年収130万円前後で働くのであれば、年収130万円以下がお得です。

年収150万円を超える場合は、年収165万円以上だと世帯収入が増える可能性があります。扶養の壁を意識しすぎると世帯年収を上げるチャンスを逃してしまうかもしれません。時間的な余裕と身体的な負担を考慮した上で、最も得をする働き方を十分にシミュレーションしておきましょう。

制度を理解し、計画的に働くことがおすすめ

【扶養内とは何か/具体的なケースについて/扶養控除を受けられる条件】などを解説しました。扶養内で働く場合、税制上も社会保険上も扶養控除を目指すのか、税金は支払うが社会保険は扶養内を希望するのか等、ケースバイケースで検討することが大切です。

短時間で働くのであれば、扶養内におさまるよう工夫した方がメリットは大きいでしょう。扶養内で働くことが家計にとってプラスになるのか、扶養の範囲を超えて働いた方がお得と考えるのか、メリット・デメリットを踏まえて検討することをおすすめします。

ファルマラボ編集部

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記事掲載日: 2019/09/02

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