- 公開日:2021.01.20
英語ができる薬剤師が有利な職場とは?転職先で英語力を強みにする
日本の多くの企業でグローバル化が進むなか、薬剤師にも英語力を求められるケースが増えてきています。難易度の高い国家資格を有し、さらに英語を話せるとなれば、それは企業にとってとても貴重な人材です。
では、一体どのような職場で英語のできる薬剤師が求められているのでしょうか。今回は、薬剤師にも英語力が求められる理由、英語ができるメリット、英語を活かせる職場、そしておすすめの勉強法をご紹介します。
- 英語ができる薬剤師は重宝される?
- 薬剤師が英語力を磨くメリットとは
- 英語が話せる薬剤師は転職に有利?英語力を活かせる職場とは
- 薬剤師に求められる英語力とは?
- 英語力を身につけたい薬剤師におすすめの勉強法とは
英語ができる薬剤師は重宝される?
昔は薬剤師であるだけでも十分に貴重な人材とされていましたが、最近では薬剤師+αの付加価値も求められています。他業種でも高い英語力を必須条件として採用を行う企業も増えていますが、薬剤師の業界も決して例外ではありません。
たとえば、店頭での外国人対応は、経験したことがある方も多いかもしれませんね。日本に住んでいる外国人の方、また最近ではインバウンドの観光客など、様々な国の方が来店されることも増えています。店頭にて英語でコミュニケーションがとれると、患者さまが助かるのはもちろん、ほかのスタッフからも頼りになる存在として一目置かれる存在となります。
また、製薬会社やCRO(Contract Research Organization)でも英語力が求められる機会が増えてきています。外資系企業ではなくても、国際共同治験、海外の臨床試験データを日本の申請に用いるブリッジング試験などが活発に行われるようになっており、英語翻訳や読解力、専門用語の理解などを求める求人案件が増えています。
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薬剤師の仕事に英語は必要?
薬剤師が英語力を磨くメリットとは
では、薬剤師としてスキルアップするうえで、英語力はどのように役立つのでしょうか。ここでは薬剤師が英語力を磨くメリットについて解説していきます。
外国人の服薬指導・接客ができる
令和元年6月末時点で中長期在留者数は約251万人、令和元年の訪日外国人は3188万人とのデータがあります。昔と比べて多くの外国人が在住するようになり、短期的に訪れる人も増えているため、それに比例するように薬剤師が外国人に対応する機会も増えてきています。
日本語をまったく話せない方はもちろん、日常会話レベルの日本語が話せる方であっても、専門的な医療用語を使うとコミュニケーションが難しくなる方は多いもの。訪れた薬局に英語ができる薬剤師がいるだけで、円滑にコミュニケーションができ、薬の使い方なども正しく理解してもらえるメリットがあります。
また、体調が悪くて辛いときだからこそ、薬局で英語が通じることが外国人の方に大きな安心感を与えます。これは薬剤師にとってもグローバルに活躍している実感や「人の役に立つことができた」というやりがいを感じる瞬間でしょう。
英語表記の医薬情報が取得できる
英語を使ったコミュニケーションのために会話スキルを磨くことも大事ですが、読解力の向上は仕事の幅を広げるのに役立ちます。たとえば、英語で書かれた海外文献を読む機会があげられます。臨床開発、研究職、MRなどは、最新の海外のデータを手に入れるために英語文献の読解力が求められます。
また、日本で未承認の医薬品の使い方や希少疾患の症例報告などは、日本語では情報が限られるため、英語で情報を入手する必要が出てくるでしょう。もちろん最近は、翻訳ソフトの精度も上がってきています。しかし、英語原文の意図を正しく理解するためには、英語の理解力が大きなメリットになります。
転職先の幅が広がる
英語力を磨くことは転職先の幅を広げ、キャリアアップにもつながります。調剤薬局やドラッグストアで転職する場合にも、英語力を求めている職場では採用される可能性が高まるでしょう。また、臨床開発など英語文献の読解や資料作成が日常業務となっている職種では、英語力が高ければほかの候補者とも差をつけることができます。
また、TOEICの点数が高い、英語のコミュニケーションレベルが高いことが採用条件に含まれている企業では給与アップも見込めます。ただし、調剤薬局やドラッグストアでも外国人対応が稀にある程度では評価や給与に反映されないこともあるので注意しましょう。
次の章では、英語力を活かして働ける職場を具体的にご紹介します。
英語が話せる薬剤師は転職に有利?英語力を活かせる職場とは
一般的に、英語ができる=優秀な人材であることを示すひとつの指標となっています。ただし、英会話のスキルや読解力、英文法を日常的に使いこなす力があると、本当に薬剤師の転職において有利になるのでしょうか?実際に薬剤師が英語を活かせる職場には、次のような職種があります。
都心や観光地などのドラッグストア・調剤薬局
東京や大阪、京都、北海道など外国人が多く訪れる場所のドラッグストア、調剤薬局では、英語を使う機会が多くあります。とくにドラッグストアには外国人観光客が医薬品を求めて訪れることも多く、製品の選び方や使い方などの質問を受けることもあるでしょう。
また、旅行中に急病で病院を受診した場合、調剤薬局に処方箋を持って訪れることもあります。店頭に英語が話せる薬剤師が在籍している旨を表示することで、外国人の方が安心して来店できるだけでなく、宣伝効果もあるため経営面にも大きな利点があるでしょう。
病院薬剤師
日本に住む外国人が増えている影響もあり、病院でも英語を必要とする機会は増えています。病院薬剤師が外国人の方の対応をする機会としては、外来患者への服薬指導や入院患者への投薬管理、服薬指導などがあります。
英語が通じるというだけで、外国人の患者さまにとっても心強い存在となるでしょう。そのほかにも薬物療法についての理解が深まり、治療効果が高まることも期待できます。
空港薬局
空港内薬局は、国内旅行者が旅行先で必要な医薬品を買いに来るだけでなく、旅行に訪れた外国人の方が買い物や相談に訪れる場所です。風邪や腹痛などで急に具合が悪くなって困っている場合もあれば、飛行機の酔い止めや睡眠薬について相談されることもあるでしょう。
空港は、様々な国の外国人が訪れる場所であるため、日常会話以上の英語力は必須のスキル。日々外国人と接することになるので、英語を活かしてグローバルな環境で働きたい方にとっては非常に魅力的な環境です。
総合病院の門前薬局
日本に住む外国人は年々増加傾向にあり、疾患を抱える人も増えています。たとえば糖尿病や高血圧、がん、免疫疾患などの治療で総合病院を受診した帰りには、すぐ目の前にある門前薬局に立ち寄ることも多いでしょう。
英語しか話せない方も多いので、疾患の名称や医薬品の使い方、効果などを英語で説明できると安心です。また、十分なコミュニケーションにより、患者さまの服用アドヒアランスの向上にもつながります。
外資系製薬会社 など
外資系製薬会社では採用条件としてTOEIC750点以上が条件とされているなど、高い英語力を求める企業がほとんどです。社内での公用語まで英語であることは少ないものの、海外の本社スタッフとの会議では英語を使います。
また、研究開発では研究レポートや社内資料を英語で作成する機会も...。日常的に英語を読み書きする場合や、外国人社員とコミュニケーションをとる機会も多いため、ビジネスレベルの英語スキルが必要です。
薬剤師に求められる英語力とは?
薬剤師に求められる英語力がどの程度のレベルかは職場によっても異なります。職場ごとに薬剤師に求められる英語力についてご紹介します。
調剤薬局・ドラッグストア
調剤薬局やドラッグストアについては、場所によって必要な英語力は変わってきます。街の調剤薬局やドラッグストアでは日常会話レベル以上で、さらに英語で服薬指導をするならば医療英語を習得しておく必要もあります。医学的な専門用語を英語でいかにスムーズに理解できるか、伝えられるかが大切です。
さらに、空港薬局のように常に外国人観光客が訪れる場所では、街の薬局やドラッグストアよりも高いコミュニケーション力が必要とされるでしょう。
製薬企業・CRO
研究開発職であれば、臨床的な知識を土台に医学論文や社内資料、研究レポートなどを英語で読み書きできるライティング能力、読解力が必要です。日常会話レベルではなくビジネスレベルが求められ、TOEICなど国際的に認められた英語資格も持っておくとよいでしょう。
外資系製薬会社であれば、英語力のある方が、給与アップのチャンスも増えます。採用の時点からある程度の英語力を求められる可能性が高いので、転職を考えている場合には英語力に関する条件を確認しておきましょう。
英語力を身につけたい薬剤師におすすめの勉強法とは
まず勉強法を選ぶ前に、英語力を身につけるうえで自分がどのようなスキルを確立したいかを考えましょう。たとえば、接客や服薬指導で英語を話す機会が多いならば英会話、英語文献などの読み書きのためであれば文法を学ぶ必要があります。
英語を使用する目的ごとに適した勉強法があるため、それぞれの目的にあった勉強法で取り組みましょう。
オンライン英会話
英会話に行きたいけれど時間がない、通うとなると体力的に辛い...という方にはオンライン英会話がおすすめです。近くに英会話スクールがない場合でも自宅ですぐに受講でき、時間的な制約も少ないため続けやすい方法です。
英会話スクールに通う
接客のために英会話をとにかく身につけたい方は、英会話スクールが習得しやすいでしょう。マンツーマンやグループ講習などの種類があり、場所や時間も選べるスクールが増えています。同じ目的を持った仲間と出会うことも多く、英会話講師と雑談などで気軽にコミュニケーションができるメリットもあります。
英会話教材/eラーニングの活用など
対面で勉強するのはハードルが高いと感じる方や、隙間時間を有効活用して勉強したい方には英会話教材やe-ラーニングでの勉強法が適しているでしょう。無料で視聴できる動画もありますが、系統的に勉強できる点で英会話教材やe-ラーニングがおすすめです。
実務のなかで勉強する
英語を身につけるには、勉強によるインプットだけではなく、実際に使用しアウトプットしていくことも大切です。実践しないことには身につかないでしょう。
たとえば、英語を使う機会の多い場所にある薬局やドラッグストアに勤務することも方法のひとつです。業務のなかで繰り返し英語を使うことで抵抗がなくなり、次第に英語スキルも高まっていくでしょう。
ただし、まったく英語が話せない、理解できない場合は、職場にも患者さまにも迷惑をかけることにもなりかねません。ある程度は独学で勉強し、投薬英会話の例文を用意しておくなど工夫をしたうえで、実践してみるとよいでしょう。
英語力を磨いてグローバルに活躍する薬剤師を目指そう
今回は、薬剤師が英語を話せるメリットや英語を活用できる職場、勉強法について解説しました。薬剤師にも英語力が必要とされていること、英語を活かせる職場は意外と多いことが理解できたのではないでしょうか。
薬剤師でかつ英語ができるとなれば、仕事の幅やキャリアが広がったり、最新の医学の知見やデータを扱うことができたりなど、様々なメリットがあります。外国人と触れ合う仕事がしたい、グローバルに医療の発展に貢献したい方は、英語力を磨いてはいかがでしょうか。
また、自身の英語力を活かす職場を探している方は、様々な求人案件を抱えている薬剤師専門の転職コンサルタントに相談してみましょう。自分に合った方法で英語を磨き、グローバルに活躍できる薬剤師としてステップアップを目指してみてくださいね。
ファルマラボ編集部
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