- 公開日:2021.07.28
『抗菌化学療法認定薬剤師』とは?取得方法や求められる役割について【薬剤師の資格入門】
公益社団法人日本化学療法学会によって認定される資格『抗菌化学療法認定薬剤師』。抗菌化学療法についてより深く専門的な知識を持ち、感染症の指定医療機関で働く際など薬剤師のキャリアにとっても有益な資格です。
ここでは『抗菌化学療法認定薬剤師』の取得方法や求められる役割などについて詳しくみていきましょう。
抗菌化学療法認定薬剤師とは?
抗菌化学療法認定薬剤師制度は、2008年に公益社団法人日本化学療法学会によって発足されました。これまで薬剤師は、薬物血中濃度モニタリングのデータをもとに、抗菌薬の投与について医師に助言する役割を担ってきました。
本制度の認定を受けた薬剤師は、医師への支援活動にとどまらず、抗菌薬の選定から使用までを医師とともに行う立場として活躍が期待されています。抗菌化学療法に関する専門的な知識、そして適正な使用経験を持ち、実践のみならず指導・教育にも携われる存在です。
資格取得のメリットや求められる役割
抗菌化学療法認定薬剤師の資格を取得することで、抗菌化学療法に関するスペシャリストであると認められます。抗菌薬の投与設計については、ただ医師に助言するだけでなく、専門的知見から提案・実践する立場です。感染制御チーム(ICT)においても活躍が求められ、院内における感染予防や職員への教育指導、抗菌薬の適正使用に関する指導なども担えるようになります。感染症などの分野でキャリア形成を目指す薬剤師にとって、取得メリットの大きな資格と言えるでしょう。
とくに新型コロナウイルス感染症拡大の影響から、感染症対策については国内外を問わず関心が高まっています。そのなかで抗菌化学療法認定薬剤師は社会的ニーズが高く、給与待遇なども含めた薬剤師のキャリアアップに繋がる可能性は高いでしょう。
抗菌化学療法認定薬剤師になるには?
抗菌化学療法認定薬剤師の資格取得を目指すうえで知っておくべき情報を、認定団体である公益社団法人日本化学療法学会の情報をもとにまとめました。
抗菌化学療法認定薬剤師の申請基準
抗菌化学療法認定薬剤師の申請には、下記の項目を満たす必要があります。
抗菌化学療法認定薬剤師の申請方法
新しく抗菌化学療法認定薬剤師の認定を受けるには、以下の書類を公益社団法人日本化学療法学会の事務局へ申請します。
新規申請は毎年4月1日~9月30日必着で受け付けています。期日を過ぎないよう余裕をもって申請しましょう。申請締め切り後、学会により症例一覧の書類審査が行われ、12月中旬ごろに受験資格の有無が通達されます。
申請書に必要な「15症例報告」に関する注意点
15症例報告の記入は、公益社団法人日本化学療法学会のホームページからワード書式をダウンロードし、タイプ入力で記載します。そのほか、以下事項についても注意してください。
資格の更新申請について
抗菌化学療法認定薬剤師の資格は、認定を受けた後も5年ごとの更新が必要です。更新申請は毎年4月1日~12月20日(必着)で受け付けており、この期間内に以下書類を学会事務局に提出します。
申請締め切り後、学会で更新のための審査が行われ2月下旬ごろに認定結果が通知されます。
患者さまや自分自身のために専門性を高めよう
抗菌化学療法認定薬剤師について、担う役割やメリット、取得方法などを解説しました。抗菌化学療法認定薬剤師は抗菌化学療法について専門的な知識を持ち、感染制御チーム(ICT)においてはスペシャリストとしての役割が期待される存在です。感染症等の分野でキャリア形成を目指す薬剤師にとって、取得のメリットは大きいでしょう。抗菌薬の投与設計について提案・実践するほか、院内の感染予防や職員への教育指導、抗菌薬の適正使用に関する指導など業務の幅が広がります。
なお、認定を受けるには薬剤師として抗菌化学療法に5年以上かかわっていることや、感染症患者の治療について15例以上の症例を報告できることなど条件があります。申請期間も定められているので、提出書類の不足や申請の遅れなどがないようしっかり確認・準備してください。
ファルマラボ編集部
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