お役立ち情報
  • 公開日:2016.08.14

薬剤師ができる食事指導について

食事指導は栄養士の担当で、薬剤師は蚊帳の外と考える方もいるでしょうが、そんなことはありません。薬剤師の積極的な関与が必要な理由と栄養指導する時の注意点を紹介します。

ケアの一環として食事指導に参加しよう

食事指導を主導する立場にあるのは栄養士ですが、患者さまが不安を感じたときにすぐ相談できるとは限りません。 担当の医師から十分な指導を得られない状況もふまえて、薬剤師の関与が必要となります。

普段の食事について聞かれた時、正しいアドバイスができるのが理想です。 栄養士ほど完璧な指導をする必要はなく、簡単な助言程度で構いません。

薬の受け渡しだけが薬剤師の仕事ととらえずに、患者さまの健康サポートにまつわる全てに関わっていると考えて学習する前向きな態度が求められます。 薬剤師を対象とした食事指導のセミナーや講座も増えているので、スキルアップ手段の一つとして積極的に学びましょう。

医療チームと連携しつつ食事指導を進めよう

食事指導とは、日々の摂取エネルギー・栄養バランス・食べ方などを見直すことでケアを円滑に進めるためのアプローチです。 高血圧だったら塩分を控える・脂質異常ではコレステロールを控えるなどが該当します。

食事指導をはじめたからと言ってすぐに状態が良くなるわけではなく、継続的な取り組みが必要となります。 必要性を患者さまに説明して、正しい理解をあおぎましょう

栄養士や看護師の指導があるにも関わらずなかなか聞いてくれない患者さまに対しては、できることから始めます。 これまでの生活で培った食生活をすぐに変えるのは、容易ではないためです。

目標となる塩分量をいきなり達成できなくても、少しずつ薄味にする・料理の味付けを工夫するなど進歩があれば大丈夫です。 状況を正しく把握して、患者さまに合った指導を継続します。 積極的に関わることが重要とは言え、最終的にジャッジをしたり指導計画を立てたりするのは専門家です。

食事指導においても、医療チームとの連携が不可欠と心得ましょう。

在宅医療なら栄養状態の把握も必要

高齢化社会が進むに連れて、薬剤師が患者さまのご自宅に出向き薬の提供を行ういわゆる居宅向け在宅医療も年々増加しています。 お薬を渡すタイミングで食事内容についても質問し、十分な栄養がとれているか確認しましょう。

一人暮らしの高齢者だと、インスタント食品やパンなどで食事をすませてしまう人もいます。 ご飯を炊いて、お漬け物と一緒に食べておしまいという人もいるでしょう。 手足がむくむなどの訴えで利尿剤が出ていた場合、タンパク質不足が原因かもしれません。 お肉やお魚も食べるようにアドバイスして、状態の変化を聞く方法もあります。

患者さま自身では食事管理が難しいと判断されれば、ケアマネージャーに相談して宅配サービスを検討してもらう方法もあります。 もちろん、担当医師に状況を伝え、栄養状態を見てもらうステップも必要です。 医師・看護師以外に介護の専門家とも連携して指導に当たる必要があることを正しく認識しておきましょう。

患者さまの立場に立って指導しよう

患者さまの中には、テレビや雑誌の断片的な知識を鵜呑みにして自己流の食事ケアを進めてしまう人がいます。 患者さま自身がそうでなくても、家族や親族にその傾向が見られるケースもあります。

これを無下に「間違っています」と退けてしまうと、信頼関係が崩れてしまうことがあります。 前向きに病気と向き合う患者さまの気持ちを尊重しつつ、適切なアドバイスをしてください。

指示通りに食事指導が進んでいない状況については、医師・看護師・栄養士などに報告します。 本人の取り組んでいる方法によってどんな弊害が出るのか・この先の対応はどうしたらいいのかなどの方向性をはっきりさせて、接し方を考えましょう。

ご家族への説明が必要な場合、医師・看護師などメインの食事指導担当者と話し合いする場を設けます。 少しでも良くしたいという患者さま、ご家族の気持ちを理解したうえで、同じ方向を向いて取り組めるよう工夫しましょう。

まとめ〜薬剤師ができる食事指導について

1.ケアの一環として食事指導に参加しよう
食事指導を主導する立場にあるのは栄養士ですが、患者さまが不安を感じたときにすぐ相談することは難しいです。 また、医師から十分な指導を得られないこともあるため、薬剤師の関与が大切です。
2.医療チームと連携しつつ食事指導を進めよう
食事指導は継続的な取り組みが必要なものなので、無理のないペースで進めます。 積極的な関与が重要とは言え、最終的にジャッジをしたり指導計画をたてたりするのは専門家なので、医療チームとの連携が不可欠です。
3.在宅医療なら栄養状態の把握も必要
薬剤師の食事指導は、高齢者の在宅医療において重要です。 訪問した機会にコミュニケーションをとり、食事内容や栄養バランスを確認しましょう。 必要に応じて介護担当者とも連携し、食事の改善につとめます。
4.患者さまの立場に立って指導しよう
患者さまの中には、テレビや雑誌の断片的な知識を鵜呑みにしてしまう方もいます。 病気と向き合う患者さまの気持ちを尊重しつつ、良い方向へと導きましょう。 同時に、医師・看護師・栄養士などに報告して判断をあおぎます。

ファルマラボ編集部

「業界ニュース」「薬剤師QUIZ」 「全国の薬局紹介」 「転職成功のノウハウ」「薬剤師あるあるマンガ」「管理栄養士監修レシピ」など多様な情報を発信することで、薬剤師・薬学生を応援しております。ぜひ、定期的にチェックして、情報収集にお役立てください。

記事掲載日: 2016/08/14

あわせて読まれている記事