服薬指導に活かす医薬品情報

カロナール錠

Q

適応症と用量は?

A

適応症1 「頭痛、耳痛、症候性神経痛、腰痛症、筋肉痛、打撲痛、捻挫痛、月経痛、分娩後痛、がんによる疼痛、歯痛、歯科治療後の疼痛、変形関節痛」の場合、300~1,000mg/回を4~6時間以上あけて投与、4,000mg/日を上限として適宜増減します。 適応症2 「(急性気管支炎を伴う)急性上気道炎」の場合、300~500mg/回を頓用し、2回/日、最大投与量1,500mgまでです。 適応症3 「小児科領域における解熱・鎮痛」では、1回10~15mg/kgを4~6時間以上あけて投与します。上限は1日60mg/kg(成人の用量を超えない)、500mg/回、1,500mg/日です。  NSAIDsは腎血流減少や炎症生成などによる腎機能の低下を招き、高血圧の悪化や心血管イベント、消化器障害の発症リスクを高めます。高齢者や潰瘍の既往、抗血小板療法中など潰瘍リスクの高い患者さまの疼痛緩和ではNSAIDsの代替薬として本剤を選択します。

Q

授乳への影響は?

A

母親がアセトアミノフェン650mgを1回服用したところ、母乳中濃度は1~2時間後に最高濃度(10~15μg/mL)となり、半減期は1.35~3.5時間で、乳児の尿中にはアセトアミノフェンまたその代謝物も検出されなかったという報告があります。母乳移行はわずかで、多くの授乳婦が服用しており疫学的な証拠が豊富で、児に害が及ぶ可能性はほとんどありません。

Q

妊娠への影響は?

A

本剤は胎盤を通過します。長期大量投与では母体の肝障害・腎障害、新生児の腎障害の報告や、多用による注意欠如多動性障害(ADHD)の関連が示唆されていますが、高熱の持続により胎児の神経管欠損のリスクが高まるとされ、妊娠初期には積極的な解熱が試みられます。通常量の短期使用では安全であることが知られています。

Q

肝障害について

A

本剤はCYP2E1によりN-アセチルP-ベンゾキノンイミン(NAPQI)に代謝され、さらにグルタチオン抱合により無毒化され尿中排泄されます。何らかの原因でNAPQIが肝細胞内に多量に生成され蓄積すると肝障害を引き起こします。1,500mg/日を超える高用量で長期服用する場合は重篤な肝障害の恐れがあるため、定期的に肝機能検査を行う必要があります。またOTC薬を含むアセトアミノフェンの重複投与による過量投与も懸念されます。トラムセット配合錠の他、アセトアミノフェン含有の総合感冒剤などを併用しないよう指導しましょう。なおアレルギー性の発症例もあるため、投与量に関わらず肝障害の危険性はあります。 絶食・低栄養状態・摂食障害などによるグルタチオン欠乏や、脱水症状、脂肪肝などの肝疾患の方は肝障害が現れやすくなるので注意が必要です。

Q

アルコール摂取について

A

アルコール常飲者はグルタチオン濃度の低下とCYP2E1の誘導によるNAPQIへの代謝促進により、肝障害が起こりやすく重症化する危険性があります。アルコール多飲常用者には併用を避けるよう指導しましょう。また、小~中用量のアルコールとの併用により腎疾患リスクが123%増加するとの報告もあります。

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派遣薬剤師のススメP
掲載日: 2018/03/05
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