総合病院の外来・病棟業務から施設在宅へ

総合病院の外来・病棟業務から施設在宅へ

日本調剤株式会社 大阪支店 健保施設推進部 施設在宅チームリーダー
薬剤師 石橋昭彦

総合病院の外来・病棟業務から施設在宅へ

蟻の目より、鳥の目をもつと薬剤師にできることが見えてきますよ。


現在のご担当についてお聞かせください。

担当している施設は、介護付有料老人ホーム3件、サービス付高齢者住宅3件、個人宅15名、約150名の患者さまを担当しています。

石橋さんは、病棟業務もやられていたわけですが、多職種連携で変わった点がありますか。

多職種という点では、病院ではたくさんの職種の方と仕事をしていましたから、違和感はありませんでした。連携という意味では、同じ病院の人たちではなく、別々の法人や組織の方と業務をしていくので、当たり前の話ですが、礼儀とか心配りとかには配慮しています。

なにか、かたくるしいイメージがありますが。

ただ、患者さまにもっとも良い医療サービスを提供するために、医師、看護師、施設長の方と良い人間関係でいたいと考えているだけです。薬を配達するだけなら、「こんにちは、さようなら」だけでいいじゃないですか。(笑)このことは普段からこころがけていないと、診療同行時の医師とのやりとり、看護師との情報共有、施設の職員さんへの研修など、いろんな業務を円滑にすすめることができません。どれもこれも、エンドユーザー、患者さまのためです。

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よいチーム医療サービスのための配慮でもあるわけですね。

そうです。届けた薬を患者さまに配るのは施設の職員さんです。したがって、誤配や誤服用が起きないよう管理方法を工夫したり、職員さんへ研修したりすることは服薬支援であり、患者さまのためです。 これをちゃんと理解しないと、たんなる労務提供、おくすり配達人ですね。(笑)

キャリアで役に立ったものはなんですか。

前職が病院薬剤師だったので得したのはカルテが読めるくらいで(笑)、まだまだ勉強です。 未経験でも積み上げていけばよいのです。在宅医療はまだ、始まったばかりです!

これから施設在宅の薬剤師をめざす方にメッセージをください。

在宅医療では薬剤師は薬歴とバイオアベイラビリティから薬剤を評価していきます。 それは単に選択にミスがないか、効いたかどうかを評価するだけでなく、総合的に患者さまのためになっているかどうかを考えていきます。蟻の目より、鳥の目をもつと薬剤師にできることが見えてきますよ。

石橋さんの1日

石橋さんの1日を紹介

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    施設到着
    パナソニック エイジフリー株式会社 サービス付き高齢者向け住宅 エイジフリーハウス 尼崎三反田
    パナソニックといえば家電メーカーとして有名ですが、実は介護事業への参入は歴史があり、「ゆとりと笑顔のある暮らしの実現のお手伝い」を理念に、1998年から大阪府にて介護付有料老人ホームを運営し、現在はサービス付き高齢者住宅を東名阪中心に幅広く展開しています。 (施設職員の方へのインタビュー:安心を与えてくれる薬剤師さんとは)

    9:00
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    入居者の残薬確認診療開始前に患者さま毎の外用薬、頓服薬の残薬を確認。その後 施設看護師さんに使用状況の確認をおこないます。

    9:30
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    診療同行医師と同行にて個別に居室への訪問診療を行います。医師、クリニック看護師2名、施設看護師、薬剤師の5名のチームで診療を行っています。

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    施設の看護師さんからADL、服薬状況の説明があり、それにもとづいて医師が診療を進めていきます。薬剤師からは患者さまに合わせた剤型の変更、効果発現時間、副作用情報等を提案していきます。

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    診察の中には、医師から残薬の状況や、副作用や適応症、禁忌など質問されます。在宅医療の場合、患者さまの服用している薬が、医師の専門外の場合もあり、すみやかに調べて回答していきます。今回の往診で、看護師さんからのある患者さまの血圧の情報からアムロジピンの量について提案、本日から試してみることになりました。

    10:00
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    カンファレンス各患者さまに、診療方針の確認を行います。診療時に追加、変更になった薬剤について、処方せんの作成を行います。患者さまの状態と、医師の処方意図を理解する、また、施設の看護師さんとも情報を共有することが、在宅医療の第一歩だと思います。

    12:00
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    処方せん送信施設側より処方箋を受け取り、『日本調剤 お薬手帳プラス』を利用して、担当薬局(阪大前薬局)へ、処方せんを送信します。

    13:00
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    薬局で報告・打合せ本日の診療の内容を担当薬局の管理薬剤師に報告します。やはり、ここでも情報の共有化です。 ここでは、先ほどのアムロジピンの容量変更の処方意図を説明、本日から対応するために緊急配薬の準備を依頼します。

    15:00
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    緊急配薬ふたたび施設に出向き、緊急配薬した薬をセットし直します。在宅医療では、私たち薬剤師も患者さまの状況をみながら、医師、看護師と医療を進めていきます。病気は待ってくれません。イレギュラー対応ではなく、これが医療なのだと考えています。

    16:00
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    大阪支店に帰社薬学管理指導計画書にもとづき、その日の報告事項などを記録します。 調剤薬局の外来に比べると、報告書や記録は多いと思いますが、患者さまの疾患と医師の処方意図がつながっているので「薬剤師としてどうしていけばよいだろうか」と自分のしごとの方向性や順序などの整理にもなります。 もちろん、報告書はタイムリーではありませんので、気づいた点は医師や看護師、施設スタッフと共有するように心がけます。

    18:00

在宅専任の薬剤師のはたらきやすさは、会社によって違います。


保険請求だけ考えたら、届けるだけでも同じですよ。でもそれだけじゃ薬剤師じゃないですよね。「薬剤師資格の職能は患者さまのためにある。」が口ぐせの石橋さん。日本調剤の健保施設推進部には医療人として職能を活かすという風土があると話してくれました。

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0120-38-8931

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