- 公開日:2020.10.26
<薬剤師向け>転職コンサルタントが教える!求人票の見方【初めての転職編】
いざ「転職活動をはじめよう!」と思ったとき、まず求人票に目を通す方は多いはず。求人票は、自分の希望する条件に合う職場かどうかを見極める重要な判断材料になります。
転職に失敗しないためには求人票をしっかりと見て、理解することが大切です。そこで今回は、転職のプロである転職コンサルタントからのアドバイスをもとに正しい求人票の見方をお伝えしていきます!ポイントを抑えて、転職の成功への道を切り開きましょう。
求人票をチェックする前に
家を借りようと思ったとき、なにを確認しますか?「家賃は想定内?」「最寄り駅までの道のりは?」「お風呂やトレイなどの設備はどう?」など希望条件に優先順位をつけるはず。転職は、家を借りるときと似ていて、求人票を見る前に希望条件をしっかり整理しておくことが大切です。ここでは、自分が職場に求める働き方について考えていきましょう。
年収重視
多くの薬剤師が転職時に重視するのが「年収」。多少ハードでも年収が高い環境か、年収は抑えめで無理なく働ける環境か、どちらが理想でしょうか?
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・家族が増えるので年収を上げたい
・旅行などの趣味に投資したい
・奨学金を早く返済したい
・将来、開局したい
という方は、年収重視で決めるとよいでしょう。転職のタイミングは年収アップの相談ができるチャンス!年収アップには、あなたがどう貢献できるかを伝える必要があります。スキルや経験の棚卸に不安がある方は転職コンサルタントの活用がオススメです。
職場の環境重視
職場の環境というと、職場内の雰囲気、人間関係、近隣環境やクリニックとの関係などが含まれます。働きやすさを重視する人は、職場の就業環境が優先事項になるでしょう。
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・アットホームな環境で働きたい
・将来的に産育休が取れる環境で働きたい
・地域のかかりつけ薬剤師として根差せる薬局で働きたい
・患者さまのためにも近隣クリニックの医師としっかり連携を図りたい
などの希望や悩みがある人は、職場の環境重視で決めるとよいでしょう。入社してから後悔のないよう、可能な限り環境について読み取れる項目をチェックしておくことが大切です。
ライフスタイル重視
家庭や趣味などのプライベートと仕事を両立したい方は、ライフスタイル重視のタイプです。就業時間や休日などの働き方は、職場選びによって大きく左右されます。また、薬剤師の人数が揃っているかどうかも大事なポイントです。
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・仕事もプライベートも充実させたい
・勉強する時間を持ちスキルアップを図りたい
・年に数回は日頃のご褒美として旅行にいきたい
などの希望がある方は、ライフスタイル重視で職場を選ぶとよいでしょう。年収に惹かれて無理のある職場を選んでしまうと、後悔してしまうかも...。ライフワークバランスを重視して、求人票の勤務時間や残業のあるなし、休暇制度などの項目をチェックしましょう。
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▼参考記事はコチラ>転職に何を求めるかを考えることが大切な理由
転職のプロに聞いた!求人票を見るときのポイントと落とし穴
転職活動をはじめたものの、「月給が今までより高い」「セミナーや勉強会が充実している」「年間休日125日!」など目先の好条件だけを見て安易に応募してしまうと、そこには落とし穴があることも...。転職で失敗しないように、ここでは転職コンサルタントに聞いた求人票を見るときのポイントを紹介します。
求人票の見方① 年収重視の場合
年収については月給やボーナスだけをチェックしがちですが、ほかにも福利厚生や保険など確認すべき要素があります。月給だけで判断してしまうと、手取り額を見たときに「あれっ?こんなはずじゃ......」なんてことにもなりかねません。次の5つのポイントをチェックして、総合的な年収の高さを判断しましょう。
1.残業手当
まずは月々の残業時間を確認。その上で、支給方法を確認しましょう。
別途支給の場合、何分刻みで計算されるのか、上限金額の設定はあるのかを確認します。みなし労働時間制(固定残業代制)の場合は、賃金や手当の中にあらかじめ一定時間の残業代が含まれています。何時間分の残業を含んでいるのかを確認しましょう。設定時間を超えると別途残業代が支給される必要がありますが、実体がどうなのか確認が必要です。
2.住宅手当
住宅手当の有無も確認すべきポイントです。とくに若い年代の薬剤師は、住宅手当ありの求人を希望する傾向が多くあります。ただし、ここにも落とし穴が...。たとえば下記の場合、将来的にどちらの生涯年収が高いでしょうか?
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①月給:220,000円 住宅手当有り(30歳迄20,000円適用)
②月給:240,000円 住宅手当無し
答えは②です。検討するときには、「住宅手当有り」の記載を鵜呑みにするのではなく、この先働き続けていく上でのトータルの収入をイメージしましょう。また、支給額の変動なども確認する必要があります。
3.社会保険の適用条件と負担金額
年収を考えるときに、忘れてはいけないのが社会保険制度です。保険は具体的な金額として事前に見えづらい部分ですが、実は手取り支給額を左右する重要なポイント。
職場が「社会保険」加入か「協会健康保険」加入かによって、月々の保険料は変わります。大手企業が加入する健康保険組合の保険料は安くなる傾向にありますが、必ずしも中小企業が高いわけではありません。中規模企業が集まって構成される協会健康保険の保険料は、大企業の健保組合に近いか同等です。
また、自分の働き方が、社会保険加入の対象であるかも確認しましょう。なお、職場の保険から外れ、被扶養者でもない場合は、国民健康保険へ加入することになります。国保は、社保や協会健保と違い全額自己負担になるので、その分の支払いを給与から捻出しなければいけないことを覚えておきましょう。
4.福利厚生の充実
第2の給与とも言われる福利厚生の充実度も、生涯年収に大きく影響します。「退職金」や「医療費還付制度」など、長く働くことがメリットにつながる制度が整っているかを確認しておくのもよいですね。また、退職金は企業ごとに制度の有無や算出方法、入社何年目から発生するかなど条件が異なることを覚えておきましょう。
求人票の見方② 職場の環境重視の場合
働くときに重視する条件として、人間関係や忙しさなど、職場の環境を重視したい方も増えています。求人票で次のポイントを確認して、環境の良し悪しをチェックしましょう。
1.募集背景
求人を募るときには、何らかの理由があります。求人票に記載の内容が、「新規出店のため」と「急遽退職者が出たため」では、同じ欠員補充であるものの実態は異なるのです。急な欠員が理由の場合、社員の妊娠・出産などの止むを得ない事情もあれば、社内のトラブルが原因によるものであることもあります。また、人間関係が複雑だったりパワハラ・モラハラがあったりと、自分にも降りかかってくる問題が隠れている場合もあるでしょう。
しかし、募集背景の詳細については、詳しく求人票に書かれてないことがほとんど。直接聞きにくいことは、転職コンサルタントを経由して確認してもらうとよいでしょう。
2.勤務者の詳細
職場の環境を重視して転職先を選びたい場合、どのようなスタッフが勤務しているかを確認するのも大切です。自分の就業環境を知るためだけでなく、離職率や仕事の負荷の大きさを測るポイントにもなるからです。
たとえば、平均年齢が若すぎる場合は、長期的に働く体制が整っていない可能性があります。また、経験の長いベテランスタッフがいないことで、トラブル時に難しい判断を委ねられることもあるかもしれません。
また、女性が多い業界のため、力仕事やセキュリティ上で男性がいると安心できます。男性がいるだけで職場の雰囲気が良好になったという事例も聞くくらいです。男女比や年齢層のバランスは、働きやすさを左右する大きなポイントと言えるでしょう。
求人票の見方③ ライフスタイル重視の場合
「仕事中心でガツガツ頑張るよりも、仕事と家庭を両立して、自分の時間のバランスを大事にしたい...」そんなプライベート重視の方は、次のポイントをチェックしましょう。
1.休日
はじめに、「週休2日制」「完全週休2日制」の違いについて理解しておきましょう。「完全週休2日制」の場合は、毎週必ず2日のお休みがあります。一方で「週休2日」の場合は、1ヶ月のうちに週2日の休みがある週が1度以上あるという意味で、必ずしも毎週2日の休みがとれるわけではありません。
また、毎日営業している薬局でシフト制を組んでいるケースでは、慢性的な人手不足を抱えている場合もあり、「実質は週に1日しか休めない」「無休が1週間を超えて続く」という場合もあるので気をつけましょう。休日は、実態と記載に相違がないかをきちんと確認することが、希望する条件の職場へ転職するカギになります。
2.薬剤師の人数
「薬剤師人数」や「処方箋枚数」、「科目に対して適正な人員が配置されているか」も確認すべきポイントです。店舗あたりの人数が少ないと休みを取りづらい傾向があります。また、正社員が少なくパート社員や派遣社員が中心の薬局では、仕事のしわ寄せが正社員に...なんていうことも。
とくに、1人当たりの処方箋枚数が多い場合には、残業過多などの実態も予想されます。ところが反対に枚数は少なくても、分包・粉砕などの複雑な調剤が多い場合や在宅業務が別に発生するなど、見えない部分に膨大な業務が隠れていることもあります。業務量に応じた人員がきちんと配置されているかどうかは店舗見学などできちんと見ておきましょう。
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<関連リンク>転職に何を求めるかを考えることが大切な理由
その他のポイント
ここまで挙げたポイントに加えて、より良い職場を見つけるためには次の条件を確認しておくと良いでしょう。
1.各種手当の詳細
そのほかにも手当てには、「通勤手当」「車通勤の場合の補助」「家族手当」「研修補助制度」など、さまざまな手当が存在します。職場によっては、認定薬剤師研修制度を全社員に支給してくれる職場や、ポジションによる手当てを支給するところも。
これらには、必ず手当を適用するための条件が存在します。たとえば「研修補助制度」であれば、一部支給なのか全額支給なのかは確認する必要があるでしょう。手当ての有無だけではなく、その詳細情報までを把握するのが重要なポイントです。
2.借り上げ社宅の適用範囲
毎月の家賃にかかる費用を抑えることができる「借り上げ社宅」は、単身者や若い社員だけでなく、世帯のある社員などにも人気の制度です。とくに転勤の可能性がある職場の場合は、借り上げ社宅の有無は確認しておきたいところ。
ただし、借り上げ社宅については、対象年齢や対象地域などの条件に自分自身が該当するかを確認する必要があります。安易に期待して「結局借りられなかった...」なんてことにならないようにしましょう。
迷ったときは、転職のプロに相談しよう!
求人票だけでは詳細がわからないとき、自分がどんな職場を選べばいいかわからないときは、迷わず転職コンサルタントに相談しましょう。求人票を探してもらうだけではもったいないので、最大限に転職コンサルタントの力を借りることをおすすめします。転職コンサルタントを経由することで、次のようなメリットが期待できます。
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・自分だけでは手に入らない非公開求人に出会える
・企業側に聞きづらい情報も気兼ねなく確認できる
・正確な情報を手に入れられる
・幅広い条件を兼ね備えた希望の職場が見つかる確率が高くなる
一人での転職には限界があります。転職に迷ったら、転職のプロに気軽に相談しましょう。
まとめ
求人票の見方について詳しく紹介しましたが、参考になりましたか?求人票を見るときには、思っている以上にさまざまな条件を深く掘り下げて確認する必要があります。基本給、手当、福利厚生など、どれひとつを取っても慎重に職場ごとの条件、取得状況までチェックすることが大切です。
転職を成功させるか、失敗に陥ってしまうかは、入り口となる求人票の見方にかかっているとも言えるでしょう。いかに自分の希望に近い求人票を手に入れて、その細部まで確認できるかが結果を大きく左右します。上手に転職コンサルタントの力を借りて積極的に情報収集を行い、自分の希望に近い理想的な職場を見つけてくださいね。
ファルマラボ編集部
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