服薬指導に活かす医薬品情報

ビクトーザ皮下注

Q

何のお薬?処方目的は?

A

適応症は「2型糖尿病」です。糖尿病治療の基本はあくまで食事療法、運動療法ですので、それらを十分に行った上で効果が不十分な場合に限り本剤の使用を考慮します。

Q

用法・用量は?

A

通常、0.9mgを1日1回朝又は夕に皮下注射します。ただし、副作用・胃腸障害の発現を軽減するため、1日1回0.3mgから開始し1週間以上の間隔をあけて0.3mgずつ増量します。投与前の空打ちは毎回行います。                 

Q

作用機序は?

A

GLP-1(glucagon-like peptide-1:グルカゴン様ペプチド-1)はインクレチンの一種で、食事摂取により小腸下部から分泌され、膵臓からのインスリン分泌を促進するホルモンです。本剤は、膵β細胞膜上のGLP-1受容体に結合し、グルコースの代謝で生じたATPからcAMPの産生を促進させることにより、グルコース濃度依存的にインスリンを分泌させます。血糖値が低いとインスリン分泌は増加せず、血糖値上昇に応じて分泌が促進されるため、インスリン製剤やSU剤と比べて低血糖症状を起こしにくい点が特徴です。


また、血糖値が高い場合には、グルカゴン分泌を抑制し、血糖値の上昇を抑えます。            

Q

注意すべき副作用は?

A

胃内容物排出抑制作用により、胃の中に食べ物が長く残ることで、胃腸障害(便秘・下痢・胃の不快感等)が起こる場合があります。使用開始直後に多く発現する副作用で、通常は数日から数週間で改善します。嘔吐を伴う激しい腹痛等が持続する場合は、重大な副作用・急性膵炎の可能性もあるため、直ちに投与を中止し受診します。


また、単剤投与の場合は低血糖症状が起きにくいのですが、他の糖尿病用薬と併用する際は低血糖症の発現に注意が必要です。特に、SU剤と本剤の併用時、両剤の投与タイミングが朝の場合、低血糖が発現する可能性が高くなることがあるため注意です。

Q

保管方法は?

A

未使用の製剤は、凍結を避け冷蔵庫で保管します。一方、使用開始後は室温で保管し、30日以内に使用します。

掲載日: 2019/08/01
※医薬品情報は掲載日時点の情報となります