服薬指導に活かす医薬品情報

カナリア配合錠

Q

何のお薬?処方目的は?

A

効能・効果は「2型糖尿病」です。ただし、テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物(商品名:テネリア)及びカナグリフロジン水和物(商品名:カナグル)の併用による治療が適切と判断される場合に限ります。また、あらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分に行ったうえで効果が不十分な場合に限り考慮します。

Q

用法・用量は?

A

成人には1日1回1錠(テネリグリプチン/カナグリフロジンとして20mg/100mg)を朝食前又は朝食後に経口投与します。

Q

作用機序は?

A

テネリグリプチンは、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)活性の阻害によりグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)の分解を抑制し、活性型GLP-1の血中濃度を増加させることにより、血糖低下作用を発揮します。
カナグリフロジンは、ナトリウム-グルコース共輸送体2(SGLT2)を選択的に阻害し、腎臓でのグルコースの再吸収を抑制することで、血中に過剰に存在するグルコースを尿糖として排泄し血糖低下作用を発揮します。

Q

注意すべき副作用は?

A

重大な副作用に低血糖、脱水、ケトアシドーシス、腎盂腎炎、敗血症、腸閉塞等があります。SU剤やインスリン製剤との併用による低血糖が報告されていますので、症状が現れた場合は糖質を含む食品を、α-GIとの併用時にはブドウ糖を摂取するよう指導します。その他の副作用として口渇、便秘、頻尿、多尿、外陰部腟カンジダ症、血中ケトン体増加等があります。
なお、SGLT2阻害薬については、適正使用に関する Recommendationが策定・公表されていますので、ご確認ください。

Q

注意すべき患者さまは?

A

重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡、1型糖尿病の患者、重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者に禁忌です。また、脱水を起こしやすい高齢者、利尿剤併用中の患者には慎重に投与します。
高度腎機能障害患者又は透析中の末期腎不全患者には、カナグリフロジンの効果が期待できないため投与しません。

Q

相互作用は?

A

テネリグリプチン、カナグリフロジンはともにP-糖タンパク質の基質であり、弱い阻害作用を示すため、ジゴキシンは併用注意です。また、カナグリフロジンの代謝酵素であるUGT1A9及びUGT2B4を誘導するリファンピシン、フェニトイン、リトナビル等の併用にも注意します。
他の糖尿病薬との併用により低血糖のリスクが増加しますが、特にインスリン製剤、SU剤または速効型インスリン分泌促進薬の場合は、これらの薬剤の減量を検討する必要があります。

表:経口糖尿病薬配合剤の比較
商品名
(規格)
一般名 用法用量
成分量(mg)
DPP4阻害
/ビグアナイド
イニシンク アログリプチン
メトホルミン
1日1回1錠
食直前
または食後
25/500
エクメット
(LD、HD)
ビルダグリプチン
メトホルミン
1日2回
1回1錠
朝夕
50/250、50/500
メトアナ
(LD、HD)
アナグリプチン
メトホルミン
100/250、100/500
DPP4阻害
/SGLT2阻害
カナリア テネリグリプチン
カナグリフロジン
1日1回1錠
朝食前
または朝食後
20/100
スージャヌ シタグリプチン
イプラグリフロジン
50/50
トラディアンス
(AP、BP)
エンパグリフロジン
リナグリプチン
10/5、25/5
DPP4阻害
/チアゾリジン
リオベル
(LD、HD)
アログリプチン
ピオグリタゾン
25/15、25/30
チアゾリジン
/SU
ソニアス
(LD、HD)
ピオグリタゾン
グリメピリド
15/1、30/3
チアゾリジン
/ビグアナイド
メタクト
(LD、HD)
ピオグリタゾン
メトホルミン
1日1回1錠
朝食後
15/500、30/500
速効型インスリン
分泌促進
/α-GI
グルベス ミチグリニド
ボグリボース
1日3回
1回1錠
毎食直前
10/0.2

掲載日: 2022/03/31
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