メネシット配合錠
- 何のお薬?処方目的は?
- パーキンソン病治療薬の使い分けは?
- パーキンソン病による痛みへの効果
- 注意すべき疾患は?
- 飲み忘れはない?
- 注意する併用薬
- 食生活についての確認
- 酸による影響
- 汗・尿の色の黒色化
Q |
何のお薬?処方目的は? |
A |
適応症は「パーキンソン病」、「パーキンソン症候群」です。脳内のドパミンを補充することで、パーキンソン病の治療に効果を発揮します。レボドパ単独では末梢でドパミンに代謝され、多くは脳内まで到達できず大量投与しないと効果が十分発揮されないばかりか、末梢ドパミン作用である消化器症状の副作用が多くみられます。しかし、末梢性ドパ脱炭酸酵素阻害薬であるカルビドパが配合されることにより、投与量も少なくすむため、効率よくドパミンを脳内に移行することができ、消化器系の副作用が軽減されます。 |
Q |
パーキンソン病治療薬の使い分けは? |
A |
パーキンソン病治療薬の中心となるのは、レボドパ製剤とドパミンアゴニスト(DA)です。振戦、無動、筋固縮など運動症状を改善するのはレボドパ製剤が効果的ですが、5年以上の服用で半数以上の患者さまにWearing-offなどの日内変動がみられるといわれています。そういった運動合併症の発現を遅らせることができるのがDAです。DAの方が傾眠や幻覚といった精神症状の副作用の発現率が高く、さらに麦角系DAでは心臓弁膜症のリスクがあり、非麦角系DAでは突発性睡眠に注意しなければなりません。このことから、安全性に特に注意が必要な高齢者や精神症状・認知機能障害がある患者さまの場合や、運動症状が強く転倒のリスクが懸念されるような場合はレボドパ製剤が用いられます。 |
Q |
パーキンソン病による痛みへの効果 |
A |
パーキンソン病の患者さまでは、軽い症状も含めると、約半数にしびれや痛みの症状がみられるといわれています。症状が突然悪くなるoff時では、痛みの閾値が低下しており、レボドパはその閾値を上げて正常の範囲内にする効果があるとされています。パーキンソン病に関連した痛みへのNSAIDs投与は効果が期待できません。 |
Q |
注意すべき疾患は? |
A |
眼圧上昇により緑内障を悪化させることがあるため、閉塞隅角緑内障には投与禁忌、慢性開放隅角緑内障には慎重投与です。既往歴についてもしっかり確認しましょう。 |
Q |
飲み忘れはない? |
A |
本剤の急激な中断により引き起こされる重大な副作用として悪性症候群があります。高熱、意識障害、高度の筋硬直などが主な症状です。これらの自覚症状を伝え、勝手な自己判断による服薬中止は絶対にしないように、飲み忘れたときの対処法(気づいた時に1回分服用)を指導しましょう。また、夏場の暑さによる脱水によって、悪性症候群に陥りやすくなるため、熱中症にも注意を促します。 |
Q |
注意する併用薬 |
A |
鉄剤との併用によりキレートを形成し、レボドパの吸収が減少するため併用注意です。鉄分はサプリメントにも含まれますので摂取状況の確認が必要です。やむをえず併用する場合は、2時間程度間隔をあけて服用するように指導します。 |
Q |
食生活についての確認 |
A |
腸管と血液脳関門におけるレボドパの吸収は、アミノ酸トランスポーターによって能動的に輸送されるので、アミノ酸の大量摂取や高蛋白食によりレボドパの吸収が低下する可能性があります。レボドパ製剤服用中の患者さまの食事療法として、体を動かす時間帯である朝と昼の食事における蛋白質を7~15g程度に減らし、不足分を夕食で補う「朝昼低蛋白食療法」もあります。 |
Q |
酸による影響 |
A |
レボドパは酸性で溶解しやすく中性・塩基性で溶解しにくいことから、無酸症やH2ブロッカー・PPIなどを使用中の場合、消化管からの吸収が低下し、十分な効果が得られないことがあります。高齢者では胃酸分泌能も低下していますし、併用薬も多いですので、注意が必要です。レボドパの効果が見られない、効果発現に時間がかかるという場合は、レボドパの吸収に問題があるとされ、食前や空腹時に服用したり、レモン水と一緒に服用するように指導されるケースもあります。 |
Q |
汗・尿の色の黒色化 |
A |
本剤の影響により、汗や尿、便などが黒っぽくなることがあります。これはレボドパ及びその代謝物が酸化されやすく、アルカリや光に不安定で、体内でメラニン重合体が生成されるためです。特に酸化マグネシウム含有製剤との併用で報告されています。体への影響は特にありませんが、あらかじめその旨患者さまにお伝えしておきましょう。 |
※医薬品情報は掲載日時点の情報となります