ファルマスタッフ薬学生
  • 公開日:2020.10.12

【薬学部の実務実習】コロナ禍でどう変わる?

【薬学部の実務実習】コロナ禍でどう変わる?

2019年度より、3期制から4期制へと変更になった実務実習。それにより、実務実習の開始も2か月間早まり4年次の2月からスタートできるようになりました。 しかし、現在はコロナウイルス感染症予防対策として、実務実習の一時中断や遠隔学習への切り替えなどの対応がとられ、例年とは違った形で日程がすすめられています。

この記事では、昨年から始まった「コアカリキュラム」についての基礎的な解説と、コロナウイルス感染症の予防対策がとられる中で、薬学生の実務実習がどのように進められているのかを具体的に解説していきます。

  • 新たな薬学教育モデル「コアカリキュラム」
  • 2020年度薬学生実務実習の指針について
  • プロセスが「オンライン」へと動き出す現在
  • 新たな薬学教育モデル「コアカリキュラム」

    昨年より実施された新しい薬学教育モデル「コアカリキュラム」は、病院と薬局に共通する業務をどちらか一方で重点的に学び、できるだけ多くの時間をかけて患者さまと接することができるように設定されています。

    実習の主な内容としては「薬学臨床の基礎」「処方箋に基づく調剤」「薬物療法の実践」「チーム医療への参画」「地域の保健・医療・福祉への参画」など。さらに下記の8つの疾患については模擬患者ではなく、実際に疾患をもつ患者さまと継続的に関わることが推奨されています

    ・がん
    ・高血圧症
    ・糖尿病
    ・心疾患
    ・脳血管障害
    ・免疫疾患
    ・アレルギー疾患
    ・感染症

    これらの疾患に関わる検査の基準値や治療薬について事前に調べ学習しておくと、実務実習時に患者体験の内容が把握しやすくなり、実践的な臨床対応能力を身につけやすくなるでしょう。

    令和元年度 第Ⅰ・Ⅱ期 薬局実務実習の実施状況と今後の課題

    昨年度よりスタートした新たな薬学教育モデル「コアカリキュラム」。集合研修や講義で教えられることは大学で学び、医療現場で幅広い事例や症例を体験しながら身に付けていく「参加・体験型学習」では、大学が主導して病院や薬局と連携して実施することが示されています。 しかし、日本薬剤師会が行ったアンケート調査では、大学主導による病院・薬局の実習連携について「できた」と評価する薬局が3割程度にとどまることがわかりました。大学・病院・薬局が連携した一貫性のある参加・体験型実習が始まっていますが、連携が十分でない現状が今後の課題となっています。

    今後は実習先の質の向上とともに、求められる「対人業務」を薬学生に実践させながら、次の世代の薬剤師の育成に注力することが求められていくでしょう。

    ▼参考資料はこちら
    参考資料:日本薬剤師会 薬学教育委員会 令和元年度 第Ⅰ・Ⅱ期 薬局実務実習の実施状況と今後の課題

    2020年度薬学実務実習の指針について

    今年5月、日本薬学会と薬学教育協議会は、新型コロナウイルス感染症への対応として「2020年度薬学実務実習」の指針を発表しました。大学の休校、受け入れ施設での感染リスクなど、実務実習の実施が難しい状況となった緊急時の対応として、実務実習の「最低限の質」を担保するために示されたものです。指針では、新型コロナウイルス感染症の流行状況に応じて「通常期実習」「制限期実習」「中断期遠隔実習」の3段階に分けて、それぞれの状況に合わせた実習内容や評価方法が参考として例示されています。なお、今回の指針は、今年度の感染症対策が必要な期間に限定で適用されるとしています。

    新型コロナウイルス感染症の流行状況に応じた区分

    通常期実習】施設での通常の実務実習を行うことが可能

    制限期実習】感染症に十分な注意が必要で、患者応対等に制限があるが施設内での実習が可能

    中断期遠隔実習】地区調整機構の基準により施設での実習が中断されているが、自宅でWEB等での遠隔学習が可能
    ※施設での実習の中断は、地区調整機構の基準に従い慎重に判断する。
    ▼参考資料はこちら
    新型コロナウイルス感染症に対応した2020年度薬学実務実習についての指針
    薬局実務実習における 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応

    プロセスが「オンライン」へと動き出す現在

    新型コロナウイルス感染症の世界的な流行にともない、国内では2020年9月、初診を含む「オンライン診療」や「オンライン服薬指導」が解禁されました。

    新型コロナウイルス感染症の流行により多くの患者さまが遠隔診療の対象となったことで、「オンライン診療」や「オンライン服薬指導」を行う医療機関はますます増えています。あらゆるプロセスが「オンライン」へと動き出す今、薬学生の実務実習についても、その運用が進められつつあります。日本病院薬剤師会では、薬学生の病院実習が不可能となった場合や、実習期間の短縮を行わなければならない場合などリモートなどの代替実習が必要となることを考慮し、「改訂モデル・コアカリキュラム対応 薬学生のための臨床実習」を発刊。大学と共有し活用していくことを勧めています

    また、1学年を4期に分け1回の実習期間を短くし、年内の院内実習が終わった後、年明けに全体でリモート実習を行う多様性のあるパターンを提示するなど、地域の状況に合わせた対応なども検討されています。 最近では、大学病院と大学側が連携して、遠隔(オンライン)実習と臨床実習を組み合わせた「ハイブリッド型の病院実習」を構築し、コロナ禍における実務実習の新しいカタチを作りだすケースも。

    今後、新しい様式を取り入れ、薬学生の実務実習も少しずつ変化していくのではないでしょうか。

    ▼参考資料はこちら
    新型コロナウイルス感染症の流行に伴い 通常の病院実習が困難となった場合の対応について −日本病院薬剤師会 Ver.2−
    2020年度病院実習スケジュール-千葉大学.xlsx
    東北医科薬科大学病院がオンライン実習を導入
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    まとめ

    連日ニュースなどで報道されている通り、いまだ新型コロナウイルス感染症の勢いは収まっておらず、若年層を中心とした無症状や軽症状の患者が多いことも問題とされています。このような状況において、病院・薬局実習は、様々な疾患をもつ患者さまがいる医療機関で行うため、薬学生は新型コロナ感染症に対する自覚と感染予防に対する努力が必要となるでしょう。先の見えない状態はこの先も続くと考えられますが、どの分野でも感染症と共存していく新しいスタイルが研究されつつあります。

    これから薬剤師を目指す皆さんも、新しい情報をキャッチしやすいように、アンテナをたてて過ごしていきましょう。

    就職について不安やお悩みがある方は、お気軽にご相談ください。ファルマスタッフはこれからも皆さんを応援しています。

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記事掲載日: 2020/10/12