服薬指導に活かす医薬品情報

イグザレルトドライシロップ小児用

Q

何のお薬?処方目的は?

A

適応症は「静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制」です。リバーロキサバンは2021年1月に既存の剤形(OD錠、細粒分包、2.5mgを除く錠剤)で小児に対する上記効能効果が追加となり、同月、新生児、乳幼児に対して用いることができるドライシロップ製剤が承認されました。


Q

用法・用量は?

A

体重により服用量と服用回数が決められています。通常、体重2.6kg以上12kg未満の場合は下記の用量を1回量とし、1日3回投与します。12kg以上30kg未満の場合は1日2回(1回5mg)、体重30kg以上の場合は1日1回(1回15mg)投与します。


表:体重あたりの1回量、1日量
体重(kg) 1回量(mg)* 1日
容量
(mg)
以上 未満 1日
1回
1日
2回
1日
3回
2.6 3 0.8 2.4
3 4 0.9 2.7
4 5 1.4 4.2
5 7 1.6 4.8
7 8 1.8 5.4
8 9 2.4 7.2
9 10 2.8 8.4
10 12 3.0 9.0
12 30 5 10
30 15 15
*リバーロキサバン1mgは懸濁液1mLに相当

Q

薬剤投与時の注意点は?

A

顆粒のままでは服用しないため、分包せずに交付します。本剤の製剤キットの箱の中に付属品や取扱説明書が入っています。適切な使用のためにはご家族に調製方法や投与法を十分理解していただく必要があります。製造販売元であるバイエル薬品より調製及び服用方法を解説した冊子、説明動画の二次元コードが用意されています。副作用の対処や飲み忘れの防止等も含めて指導し、継続的に確認していくようにしましょう。


【調製方法】

付属の飲料水計量器具を用い、51.7mg瓶には水50mL、103.4mg瓶には水100mLを加えると、リバーロキサバン1mg/mLの懸濁液となります。瓶の口にアダプターを装着、安全キャップを閉めて60秒以上やさしく振り、薬剤が均一になるよう調製します。調製後のシロップ液をさらに薄めたり、食品やジュース等に混ぜて希釈しません。


【投与時】

空腹時を避ければ食事中、間食後や授乳後の服用も可能です。毎回10秒以上振り、固まりや沈殿物がないことを確認し泡立っていれば静止します。投与量に応じて適切なピペットを選択し服用量を固定後、アダプターの開口部に差し込み1回量を量り取った後、患児の口に入れ、自然に飲み込めるようにピペットの先端を頬の内側に向け、ピストンをゆっくりと押します。1回分を全て飲み込んだことを確認後、シロップ剤を確実に飲み込ませるために服用後はすぐに適度な量の飲み物*を飲ませるようにします(例/生後6ヵ月の乳児:20mL)。*飲料水のほか、ジュース、ミルク、母乳可


【保存時】

30℃以下で立てて遮光保存し、他の容器に移し替えたり、小分けしたりしません。冷蔵庫に保管する場合、服用時に常温(15~25℃)に戻す必要があります。調製後のシロップ剤の使用期限は調製日を含めて14日間のため、残液及び容器は廃棄します。調製後はボトルのラベルにある所定の欄に使用期限を記載するよう指導しましょう。


Q

薬局における確認事項は?

A

体重を確認し、用法・用量の他、次回受診まで薬は足りるのか、いずれの瓶を用いるのか等を確認します。体重4kg以上の場合、14日分で58.8mL服用となるため51.7mg1瓶では足りません。体重30kg以上の場合、アドヒアランス等を考慮した上で懸濁不要な細粒分包や錠、OD錠への切替えも選択肢となります。重大な副作用である出血、肝機能障害・黄疸、間質性肺疾患、血小板減少等の初期症状を説明し継続的にフォローアップします。


掲載日: 2023/04/13
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