フェロミア錠
Q |
何のお薬?処方目的は? |
A |
適応症は「鉄欠乏性貧血」です。鉄欠乏の原因として、食事からの鉄分摂取の不足、妊娠・出産・授乳期・成長期などで鉄分を大量に必要としている、栄養バランスの崩れ、消化管出血や月経過多による鉄喪失、などがあります。原疾患が存在する場合は、その治療が重要です。また、手術などの出血に備え、自己血輸血(貯血)のために処方されるケースもあります。保険適応外ですが、レストレスレッグス症候群(RLS)に用いられるケースがあります。その作用機序としては、鉄の不足により脳内の神経伝達物質であるドパミンがうまく合成されないためと考えられています。このように、処方理由は様々ですので、まずは情報収集することが大切です。 レストレスレッグス症候群について 一次性(特発性)と、二次性の2つのタイプに分類されます。二次性は他の疾患あるいは薬剤が原因とされており、原因として、鉄欠乏性貧血、慢性腎不全(透析患者含む)、パーキンソン病などの疾患以外に、妊娠や向精神薬の服用によっても引き起こされることがわかっています。(【アステラス】メディカルネットRLS) |
Q |
鉄欠乏性貧血の症状・診断は? |
A |
倦怠感、肩こり、頭痛、朝起きられない、動悸、さじ状爪、舌炎、毛が抜けやすい、肌のかさつき等が起こることがありますが、慢性に進行した場合は自覚症状がない場合もあります。また、診断には、血液検査で赤血球の数・大きさ、ヘモグロビン、網状赤血球(比較的未熟な赤血球)を測定し、血清中の鉄(血清鉄)と、体内に貯蔵されている鉄の量を反映するフェリチンの測定を行ないます。さらに、鉄欠乏性貧血の原因の調べるために、必要に応じて、検便をはじめとする消化器の検査、婦人科の検査等を行ないます。 |
Q |
どのくらいの期間服用を続けるの? |
A |
服用後、約2ヶ月ほどで血液検査の数値が正常化するのが一般的ですが、体の中に貯蔵してある貯蔵鉄が十分になったとは限りません。貯蔵鉄を補充するためにも、そこからさらに数ヶ月は薬を飲み続ける必要があり、患者さまのコンプライアンスを高めることが重要です。 |
Q |
注意すべき副作用は? |
A |
最も多いのが消化器症状です。悪心・嘔吐(5%以上)、胃・腹痛、下痢、食欲不振、便秘、胸やけ、等の症状がないか確認していきましょう。これらの症状がある場合は、鉄剤の変更、減量、投与法の変更(食直後)、胃薬の併用などが検討されます。胃腸障害を軽減させた徐放性製剤として、硫酸鉄(フェロ・グラデュメット、スローフィーなど)やフマル酸第一鉄(フェルムなど)があります。他にも、「便が黒くなる」「歯が着色(茶褐色)する」等おこる場合がありますが一時的なものです。歯の着色については、軽度の場合は重曹入りはみがきでブラッシングすれば落ちるので心配ないことを説明します。重度の場合は、歯科的な研磨処理で除去できます。 |
Q |
相互作用に注意すべき薬剤、食品は? |
A |
セフジニル、キノロン系抗菌剤、テトラサイクリン系抗生物質、甲状腺ホルモン製剤などと高分子鉄キレートを形成し、相手薬剤の吸収を阻害するおそれがあります。セフジニルの場合、約10分の1に阻害することがあるので、3時間以上間隔をあけて投与します。in vitro試験でお茶、コーヒーなどタンニン酸を含む飲料は鉄の吸収を阻害するといわれていますが、臨床的には併用しても貧血の改善には影響がないことから、お茶を摂取しないように指示する必要はありません。 |
※医薬品情報は掲載日時点の情報となります