セレコックス錠
Q |
何のお薬?処方目的は? |
A |
「消炎・鎮痛」を目的に用いられます。適応症により用法・用量が異なるので注意しましょう。慢性疾患に対する使用(上記①②)において、投与開始から2~4週間を経過しても治療効果に改善が認められない場合は、他の治療法の選択を考慮します。急性疾患(上記③)に対する使用の場合、初回と2回目以降の投与量が異なるので服用方法について十分な説明が必要です。また、抜歯後疼痛における、本剤400mg単回投与の効果発現時間は28分でした。(海外データ) |
Q |
作用機序は? |
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A |
本剤は日本でCOX-2選択的阻害剤として分類されている唯一の薬剤です。炎症組織においてプロスタグランジン(PG)合成酵素であるCOXのうちCOX-2を選択的に阻害し、COX-2由来のPG類の合成を抑制することで、消炎・鎮痛作用を示します。血小板凝集に影響しないため、血栓性疾患に対する効果は期待できません。 表1.COXのアイソザイムと関与する作用
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Q |
他にCOX-2を選択的に阻害する薬剤は? |
A |
日本で発売されているNSAIDsのうち、COX-2選択性が比較的高い薬剤として、ナブメトン(レリフェン)、エトドラグ(ハイペン/オステラック)、メロキシカム(モービック)があります。 |
Q |
心血管系有害事象について |
A |
COX-2阻害剤の長期投与で心血管系有害事象のリスクが増加するとの大規模臨床試験の結果が示され、2004年、海外において類薬が販売中止となりました。セレコキシブにおいては、海外で行われたある前向き長期投与比較試験において、プラセボに比べ同リスクが増大したとの報告があり、添付文書の【警告】【禁忌】【用法・用量に関連する使用上の注意】【慎重投与】【重大な基本的注意】に記載があります。その後、多数の疫学試験が行われ、従来のNSAIDsでも心血管イベントが同様に増加すること、COX-2選択性の高いNSAIDsの疫学調査では心血管イベントの有意な増加は認められないことが報告されています。2005年米国FDAは、すべてのNSAIDsの添付文書に心血管系副作用について警告をつけることを指示しましたが、日本(PMDA)、欧州医薬品審査庁(EMEA)ではさらに検討する必要がある、としています。 |
Q |
注意すべき副作用は? |
A |
主な副作用としては、腹痛、吐き気、下痢、口内炎、発疹などの報告がありますが、COX-2を選択的に阻害するNSAIDsは、その消化管障害が少ないことが報告されています。腎臓におけるCOX-2発現は部分的であるため、通常量では他のNSAIDsと同等の腎毒性が発現し、浮腫や高血圧を起こす可能性も指摘されています。 |
Q |
重大な副作用は? |
A |
ショック・アナフィラキシー様症状、肝機能障害、血小板減少、白血球減少、間質性肺炎、横紋筋融解症などの報告があります。長期継続服用となる場合は定期的な検査を促すとともに、副作用の初期症状を患者さまに情報提供し、思い当たる症状がある場合にはただちに受診するように指導しましょう。 |
Q |
その他の注意 |
A |
動物で胎児の死亡につながるおそれがある動脈管収縮の報告があるため、妊娠末期(妊娠28~39週、8~10ヶ月)の婦人には投与禁忌です。動脈管は胎児期だけにある血管で、出生後、通常12時間程度で動脈管は閉鎖、肺へ血液が循環し、炭酸ガスと酸素とのガス交換が行われるようになります。出生前は閉鎖しないように様々な機構が働いていますが、その1つがPGです。NSAIDsやPGに関係する医薬品の多くが妊娠末期に対して禁忌 になっているのはこのためです。 |
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