- 公開日:2025.01.27
【2024年最新】大手ドラッグストアの売上と店舗数ランキングを解説
ドラッグストアへの転職を検討するうえで、業界動向を把握したり、企業研究を行ったりすることはとても大切です。しかし、薬に関する情報とは違い、現場で勤務していても他社や他業態の情報まで把握している人は少ないかもしれません。
今回は、2024年の大手ドラッグストアの売上と前年からの推移、店舗数をランキング形式でご紹介します。気になっている企業の業界順位を把握し、企業選びの参考にしてください。
- 【2024年】ドラッグストア業界の動向と売上推移
- ドラッグストアの売上ランキング【TOP10】
- ドラッグストアの国内店舗数ランキング【TOP10】
- ドラッグストアで働く薬剤師に求められているものとは?
- ドラッグストアごとの特色を知って自分に合った店舗を見つけよう
【2024年】ドラッグストア業界の動向と売上推移
経済産業省の2024年1月分の資料によると、2022年から2023年12月まで、ドラッグストアの商品販売額は増加し続けており、特に調剤医薬品、食品の分野で増加しています。
ドラッグストア全体の売上としても、2021年から2022年までの売上増加率は約5.5%、2022年から2023年までの増加率は約8.2%となっており、この数値から少しずつ売上は増加傾向にあることがわかるでしょう。また、店舗数も毎年約500〜800店舗ずつ増加し続けていることから、ドラッグストア業界の需要の高まりが考えられます。
加えて日本チェーンドラッグストア協会の2023年の調査からも、前年と比べて105.6%の売上増加が見られたことがわかっています。特にドラッグストア併設の調剤薬局における売上前年比は109.5%となっており、ドラッグストアの店舗数の増加に伴い、調剤薬局の併設に不可欠な薬剤師の需要も増加していると言えるでしょう。
ドラッグストアの売上ランキング【TOP10】
ドラッグストアの売上ランキングTOP10を通期決算の最新情報から紹介します。
※2024年8月確認時点
※各企業の2024年決算の有価証券報告書を参考
1位:ウエルシアホールディングス
前年度と同様に業界トップなのが、イオングループのウエルシアホールディングスです。2024年2月決算においての売上は1兆2,173億円となっており、前年の1兆1,442億円から106%の増収となっています。
ウエルシアホールディングスは、ウエルシア薬局を中心に、コクミンやププレひまわり、丸大サクラヰ薬局などの店舗や薬局を出店している企業です。
2023年は新型コロナウイルス対策関連の商品で反動減があったものの、インバウンド需要の回復や外出需要の増加を背景に、総合感冒薬などの医薬品や化粧品が売上を牽引しました。この傾向は他のドラッグストアも同様です。
2位:ツルハホールディングス
ツルハホールディングスは前年の2023年5月決算の9,700億円からさらに売上を伸ばし、2024年同月の決算では1兆274億円の売上となりました。前年からは105%の増収です。
既存の店舗への併設も含め、調剤薬局の新規出店を推進しており、ドラッグストアと調剤薬局の連携を強化するために、デジタル戦略の推進やIT分野を強化すると発表しています。
また、「くらしリズム」「くらしリズムMEDICAL」のようなプライベートブランドの開発とブランド育成を進める方針です。
3位:マツキヨココカラ&カンパニー
マツキヨココカラ&カンパニーは2022年から2023年にかけて130%の増収となっていましたが、2024年においても、1兆225億円の売上をあげ107%の増収となっています。
マツキヨココカラ&カンパニーは、マツモトキヨシグループ事業とココカラファイングループ事業、管理サポート事業の大きく3つの事業に分かれている企業です。
競争が激しいドラッグストア業界の中でも厚生労働省が進める健康サポート薬局の認可と、地域医療との連携を強めることで調剤事業の拡大を進めています。
4位:コスモス薬品
コスモス薬品の2024年5月決算における売上は9,649億円となっており、昨年2023年の8,276億円と比較して116%の増収となり大きく売上を伸ばしています。
関東から関西、九州にかけて、商圏人口1万人と比較的少ないターゲットを対象とした店舗展開を行っています。
商圏内に住む人々の利便性を向上させるべく、調剤事業のシェア拡大を目指している企業です。
5位:サンドラッグ
サンドラッグの2024年度3月決算における売上は7,517億円で、2023年の6,904億円から108%の増収となっています。
また、ドラッグストア事業だけではなくディスカウントストア事業にも注力しており、食料品や家庭雑貨の販売も進めている他、品揃えの充実やプライベートブランド商品の開発なども行っています。
6位:スギホールディングス
スギホールディングスの2024年度2月決算における売上は7,444億円で、2023年の6,676億円から111%の増収です。
ドラッグストアであるスギ薬局の運営だけではなく、スギメディカルでの訪問看護事業や医療機関の開業支援など、さまざまな医療に携わる事業も行っています。
7位:クスリのアオキホールディングス
クスリのアオキホールディングスは2023年の3,788億円から、2024年には4,368億円へと売上を伸ばしました。クリエイトSDホールディングスの売上を上回り、昨年より順位が上昇しています。
全体として売上は115%増収しており、全部門で前年比を上回っています。中でもフード部門の成長が目覚ましく、生鮮食品の品揃えを強化したこともあり、前年比124%の増収となりました。
8位:クリエイトSDホールディングス
クリエイトSDホールディングスは、2023年の3,809億円から、2024年には4,223億円へと売上を伸ばし、110%の増収となっています。
関東・東海エリアを中心として展開している企業で、ドラッグストア事業を起点としながらも、食料品や日用雑貨を販売するスーパーマーケット事業や有料老人ホーム、デイサービス事業も行っています。
9位:富士薬品
富士薬品の2024年3月末売上高は前年の3,730億円とほぼ変わらない3,862億円です。セイムスなどのドラッグストアを全国に展開しています。
配置薬で有名な企業でもあり、医療用医薬品販売事業や医薬品研究開発事業、医薬品製造事業も行っています。
10位:カワチ薬品
カワチ薬品の2024年売上は、2023年の売上の2,818億円と同程度の2,859億円となっています。
通常のドラッグストアの定義が90坪以上とされている中、カワチ薬品では売場面積400坪以上をメガ・ドラッグストアとし、400坪〜1,000坪のメガ・ドラッグストアを中心に薬局併設型店舗を拡大しています。
ドラッグストアの国内店舗数ランキング【TOP10】
次にドラッグストアの国内店舗数をランキング形式で10社紹介します。
※2024年8月確認時点
1位:マツキヨココカラ&カンパニー
マツキヨココカラ&カンパニーはマツモトキヨシグループとココカラファイングループの統合により、国内ドラッグストアにおいて最も店舗数の多い企業です。
2024年3月時点の国内ドラッグストア店舗数は3,464店舗、うち調剤薬局数は971店舗です。昨年同時期と比較すると55店舗増加していますが、実際には59店舗を閉店し、114店舗を開店したことで店舗増加となっています。
2位:ウエルシアホールディングス
ウエルシアホールディングスは全国でドラッグストアを運営しており、2024年2月期末で国内ドラッグストア店舗数は2,825店舗となっています。
前年の2023年2月時点の2,763店舗と同水準の店舗数です。調剤薬局を併設する店舗数は2,155店舗となっています。
3位:ツルハホールディングス
ツルハホールディングスの2024年2月末の国内ドラッグストア店舗数は2,653店舗で、うち調剤薬局は936店舗です。
新規出店や子会社化を進めていますが、不採算店舗の改変も実施しているため、2023年3月期首の2,589店舗より少し増加となっています。
4位:スギホールディングス
スギホールディングスは2024年2月末時点で前期末と比較して153店舗増加し、国内ドラッグストア店舗数は1,718店舗に達しました。新規出店や店舗取得による事業規模の拡大は、売り上げの増加要因にもなっています。
5位:コスモス薬品
コスモス薬品は2024年5月時点で、国内ドラッグストア1,490店舗を展開しています。2024年は新たに139店舗を開設しました。
新商勢圏への店舗拡大はもちろんのこと、「安くて、近くて、便利なドラッグストア」の実現を目指し、既存店と商圏が重なるエリアにも店舗を新設しているのが特徴です。
6位:富士薬品
富士薬品グループは2024年3月末時点で国内ドラッグストアを1,271店舗展開しています。 2023年12月には連結子会社であり、オーエスドラッグを運営する協和商事が株式譲渡によりグループから外れるなど組織再編もありました。
前年よりも94店舗の減少となっていますが、企業全体の売上は減少しておらず前年と同水準のままです。
7位:サンドラッグ
2024年2月末時点のサンドラッググループの店舗数は、ドラッグストア事業1,080店舗、ディスカウントストア事業393店舗です。うち、187店舗で調剤業務が行われています。グループ全体として110店舗の新規出店と114店舗の改装、17店舗の閉店を行っています。
8位:クスリのアオキホールディングス
2024年5月時点、クスリのアオキホールディングスの国内ドラッグストア店舗数は936店舗です。うち594店舗が調剤薬局を併設しています。また、調剤専門薬局を6店舗展開しています。
クスリのアオキは石川県金沢市に1号店を構えた歴史があり、2024年5月20日時点で北信越5県の出店数は373店舗に上ります。同エリアでは2024年5月時点でトップの店舗数です。東北、関東、東海、関西、四国への出店も継続しています。
9位:クリエイトSDホールディングス
クリエイトSDホールディングスの国内ドラッグストア店舗数は752店舗、そのうち380店舗が調剤薬局を併設しています。調剤専門薬局も38店舗展開しています。
10位:バローホールディングス
バローホールディングスはスーパーマーケット事業をメインとしながら、ドラッグストア事業やホームセンター事業なども展開しています。2024年3月末の国内ドラッグストア店舗数は507店舗、うち178店舗が調整薬局を併設しています。
-
▼参考資料はコチラ
ウエルシアホールディングス|2024年2月期(第16期) 有価証券報告書
ツルハホールディングス|有価証券報告書-第62期(2023/05/16-2024/05/15)
マツキヨココカラ&カンパニー|2024年3月期 有価証券報告書
ドラッグコスモス|連結経営指標
コスモス薬品|有価証券報告書-第42期(2023/06/01-2024/05/31)
サンドラッグ|有価証券報告書-第61期(2023/04/01-2024/03/31)
スギホールディングス|有価証券報告書-第42期(2023/03/01-2024/02/29)
クスリのアオキホールディングス|2024年5月期(第26期) 有価証券報告書
クリエイトSDホールディングス|2024年5月期 有価証券報告書
富士薬品|数字でみる富士薬品
富士薬品|会社概要
富士薬品|店舗数の推移
日経.com|カワチ薬品|有価証券報告書-第57期(2023/03/16-2024/03/15)
バローホールディングス|2024年3月期(第67期)有価証券報告書
ドラッグストアで働く薬剤師に求められているものとは?
ドラッグストアに勤める薬剤師は、ドラッグストアの売り場で働くか、ドラッグストアに併設された調剤薬局で働くことが多いです。店舗によって両方対応するケースもあります。どちらで働くかによって業務内容は異なりますが、いずれも調剤専門薬局に比べると第一類医薬品やOTC薬の相談を受ける機会が多くなるでしょう。
また、かかりつけ薬局を目指すドラッグストアが多いことから、調剤薬局勤務となった場合、健康相談や在宅医療の対応を求められることが考えられます。ドラッグストアの営業時間に合わせ、処方せんを24時間受け付けている店舗もあり、柔軟に勤務ができると強みになるでしょう。
ドラッグストアごとの特色を知って自分に合った店舗を見つけよう
どのドラッグストアも売上を伸ばしている傾向にある一方、ドラッグストア業界での競争が激化している点から、自社の特色を伸ばしていく傾向が見受けられます。プライベートブランド商品の開発や製薬に注力する企業もあれば、調剤需要への取り組みを強めていくとする企業もあります。
薬機法や薬剤師法の規定から、調剤薬局の併設を推進するには薬剤師の確保が必須となるため、ドラッグストアにおける薬剤師の需要はさらに増えていくでしょう。ドラッグストアで働くことに興味がある薬剤師にとっては好機といえますが、まずは焦らずに自分のキャリアプランと合う企業を見つけることが大切です。
在宅医療に関する知識を身につけたい、かかりつけ薬局の薬剤師として成長していきたいなど、自分自身のキャリアプランやなりたい薬剤師像を明確にした上で、ドラッグストアの今後の方針とマッチしているか考えると良いでしょう。一人で自分に合う薬局を探すのは難しいと悩んでいる方もいるかもしれません。難しいと感じる場合は、転職コンサルタントに相談するのもおすすめです。
ファルマラボ編集部
「業界ニュース」「薬剤師QUIZ」 「全国の薬局紹介」 「転職成功のノウハウ」「薬剤師あるあるマンガ」「管理栄養士監修レシピ」など多様な情報を発信することで、薬剤師・薬学生を応援しております。ぜひ、定期的にチェックして、情報収集にお役立てください。