- 公開日:2021.06.24
「調剤併設型ドラッグストア」で働く薬剤師の仕事内容は?メリットや注意点についても解説【薬剤師のお仕事ガイド】
OTC医薬品やサプリメント、介護用品、衛生用品などの幅広い知識を身につけられる職場として、ドラッグストアで働きたいと考える薬剤師が増えています。近年は、新しいドラッグストアの形として、「調剤併設型ドラッグストア」を展開する企業も増えており、薬剤師の仕事内容も変化してきているのです。
この記事では、調剤併設型ドラッグストアで働く薬剤師の仕事内容やメリット、注意点について解説していきます。
調剤併設型ドラッグストアの人気が高まっている
調剤併設型ドラッグストアとは、OTC医薬品やサプリメント、日用品、健康食品、化粧品などを取り扱う通常のドラッグストア店内に、医療機関からの処方箋を受け付ける調剤薬局が設置された店舗のことをあらわします。
OTC医薬品の販売によってセルフメディケーションへ貢献できる点は変わりませんが、医療用医薬品も取り扱えるため、幅広い医療ニーズに対応できることが特徴です。とくに大手ドラッグストアチェーンでは調剤併設店舗の展開に力を入れる企業が増えており、ここ数年で大きく成長した分野の一つとなっています。
患者さまにとっては、調剤薬局よりも営業時間が長く、土日祝日も処方箋を受け付けている店舗が多い点や、調剤の待ち時間に買い物ができる点など、さまざまなメリットがあげられます。
薬剤師にとっても、医療用医薬品とOTC医薬品の両方を取り扱えるだけでなく、介護用品や衛生用品などの販売を通して地域医療に貢献できるため人気の高い職場です。また、ドラッグストアでは年収が高めに設定されているため、調剤薬局から調剤併設型ドラッグストアに転職を検討する薬剤師も増えています。
調剤併設型ドラッグストアで働く薬剤師の仕事内容
調剤併設型ドラッグストアにおける薬剤師の仕事内容は、一般的な調剤薬局と比較して多岐にわたります。処方箋の調剤や服薬指導、在庫管理などの業務に加えて、お客様からOTC医薬品や介護用品、健康食品などの相談を受けたり、場合によっては販売業務を担当したりと幅広い商品知識が求められるのです。
就業先の企業によっては、レジ打ちや品出し、売り場づくりなどを任されることもあるため、薬剤師の枠組みを超えた仕事に携わることができるでしょう。
従来型のドラッグストアでは、OTC医薬品やサプリメント、日用品などの販売が業務の中心であり、患者さまからの相談がない場合にはレジ打ちや品出しを行うことが一般的でした。
一方で、調剤併設型ドラッグストアでは処方箋の調剤を行いながら、患者さまからの求めに応じてOTC医薬品の販売も行います。また、予防に取り組む方や軽症の患者さまだけでなく、医療用医薬品による薬物治療を受けている方から健康や予防、処方薬とOTC医薬品やサプリメントとの飲み合わせなどについて相談を受ける機会も多くあります。
調剤併設型ドラッグストアで働くメリット
薬剤師の職場はさまざまですが、調剤併設型ドラッグストアで働くメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、いくつか例をあげながら解説していきます。
OTC医薬品やサプリメントに関する知識が身につく
ドラッグストアで働くメリットの一つとして、OTC医薬品やサプリメントに関する知識が身につくことがあげられます。近年ではセルフメディケーションに対する関心が高まっており、医薬品の専門家である薬剤師の関与は必要不可欠です。調剤薬局でもOTC医薬品の販売は可能ですが、ドラッグストアの方が取り扱っている商品は多く、幅広いジャンルの商品知識を身につけられます。
提案力やマネジメント能力が身につく
ドラッグストアでは売り上げや顧客数など、業績を意識した取り組みが求められています。決められた処方箋どおりに調剤を行うだけではなく、顧客のニーズに合わせた商品を提案しつつ利益を確保する必要があるため、提案力を身につけやすい職場といえるでしょう。薬物治療における最高責任者として、スタッフや登録販売者への指導を行う場合も多く、スタッフをマネジメントする能力が身につくこともポイントです。
年収水準が比較的高い
ドラッグストアで働く薬剤師の年収は、業界内でも高い水準にあると知られています。新卒入社した場合でもある程度の年収を確保できますが、将来的に薬局長やエリアマネージャーなどの役職に就いたり、本部の運営に携わったりすれば、さらなる年収アップも期待できるため、長期的なキャリアプランを描くことも可能です。
調剤併設型ドラッグストアの注意点
調剤併設型ドラッグストアで働くことには、多くのメリットがありますが、いくつかの注意点もおさえておく必要があります。ここでも同様に、例をあげながら解説していきます。
病院や薬局に比べ、医療用医薬品に携われる時間が短い場合がある
ドラッグストアでは処方箋の調剤に加えて、OTC医薬品やサプリメントの販売、健康相談など、業務内容が多岐にわたります。病院や薬局で働く場合に比べると、医療用医薬品に携われる時間はどうしても短くなってしまいがちです。また、就業時間が不規則になりやすい、土日祝日の勤務があるなどで、地域の薬剤師会や勉強会に参加しづらい場合があることにも注意が必要です。
OTC医薬品の提案や販売になかなか携われない場合もある
ドラッグストアの方針によっては、ドラッグストアと調剤で薬剤師を完全に分けている場合があります。調剤に勤務する薬剤師は調剤業務のみで、OTC医薬品の提案や販売にほとんどかかわれないなど、理想とのギャップが生じることもあるため注意が必要です。
就業時間や休みが不規則
ドラッグストアでは土日祝日の営業や24時間営業を行っている店舗も多く、勤務する薬剤師の就業時間や休みは不規則になりがちです。深夜までの勤務や残業も発生する場合があり、シフト制により休みも固定されていないため、ワークライフバランスを優先したいと考える薬剤師にはデメリットとなるでしょう。
レジ打ちや品出しなど店舗運営にかかわる業務も行う
就業先の企業によっては、レジ打ちや品出し、売り場づくりなど、薬剤師でなくてもできる業務を担当しなければならない場合もあります。幅広い業務を行えることはメリットの一つですが、調剤や服薬指導に専念したいと考える薬剤師にとっては、デメリットとして考えられるポイントでしょう。
転職の際に確認しておくこと
調剤併設型ドラッグストアへの転職を成功させるためには、就業先の情報や雇用条件の事前確認が重要です。ここでは、転職の際に確認しておくべきポイントをみていきましょう。
ドラッグストアの運営方針
ドラッグストアを運営しているといっても、調剤併設型店舗を積極的に展開している企業、対人業務を重視している企業などそれぞれ特徴があるので、ホームページや転職コンサルタントへの相談などを活用して、自身の希望する働き方に合った職場を探しましょう。
就業時間や勤務体系
前述した通り、ドラッグストアでは就業時間や休みが不規則になりがちです。1人薬剤師の店舗に配属され、休みがとれないケースもみられます。企業によっては土日や深夜専門のスタッフを雇用している場合や、薬剤師不在の時間帯を設けている場合もあります。
配属先の店舗や異動の有無
ドラッグストアへの転職における失敗例の一つに、調剤とOTC医薬品の両方を勉強するために転職したのに、調剤を取り扱っていない店舗に配属されたという事例があります。転職の際に調剤併設型店舗への配属を確約してもらうことや、OTC医薬品専門の店舗への異動があるかどうか確認しておきましょう。自分自身で交渉することが難しい場合には、転職コンサルタントの活用がおすすめです。
まずは情報収集を行い、地域医療に貢献できる薬剤師を目指しましょう
この記事では、調剤併設型ドラッグストアで働く薬剤師の仕事内容やメリット、注意点について解説していきました。決められた処方箋通りの調剤に加え、OTC医薬品やサプリメントなどの身近な相談にも対応できるのが調剤併設型ドラッグストアで働く魅力ですが、勤務時間が長かったり、幅広い業務に追われたりとギャップを感じる場面もあるかもしれません。
理想に近い転職ができるよう転職コンサルタントなどを活用し、事前にしっかりと情報収集をしておきましょう。
ファルマラボ編集部
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