服薬指導に活かす医薬品情報

ツートラム錠25/50/100/150mg(一般名:トラマドール塩酸塩)

ここがポイント!

  • 速放部と徐放部を有する2層錠で、1⽇2回投与できるよう設計されている
  • ゴーストタブレットが排泄されることがある
  • 非麻薬性の弱オピオイドのため、悪心嘔吐、便秘、眠気などの副作⽤対策や、呼吸抑制・依存性に注意
  • Q

    【何のお薬?処方目的は?】

    A

    適応症は「非オピオイド鎮痛剤で治療困難な、慢性疼痛、疼痛を伴う各種がんにおける鎮痛」、他のトラマドール塩酸塩製剤と同じです。
    弱オピオイドで、μ-オピオイド受容体への親和性が高く、またセロトニン・ノルアドレナリンの再取り込み阻害作用も有するため、2つの経路から鎮痛効果が発揮されます。

    Q

    【用法・用量は?】

    A

    通常、1日100〜300mgを朝夕2回に分けて経口投与します。
    適宜増減しますが1回200mg/1日400mgを超えないこととされています。初回は1回50mgから開始、増減の目安は1回50mg/1日100mgずつが望ましく、原則、25mg錠は1回1錠のみでは使用しません。


    本剤は、速放部と徐放部を有する2層錠のため、血中濃度の立ち上がりが早く、かつ安定した血中濃度推移が得られ、1日2回12時間間隔の投与に適した薬物動態となるよう製剤設計された徐放性製剤です。


    ○割ったり、かみ砕いたりせず、そのまま服用するよう指導しましょう。

    Q

    【他のトラマドール塩酸塩製剤との違いは?】

    A

    トラマドール塩酸塩製剤には、他に1日4回投与の速放性製剤(トラマール)、1日1回投与の徐放性製剤(ワントラム)があります。同じ適応を有しますが、薬物動態・用法がそれぞれ異なります。


    ○特に一般名処方の際は、どの製剤を調剤するのか、規格・用法なども含めしっかり確認しましょう。


    商品名 一般名 規格 用法
    トラマールOD錠 トラマドール塩酸塩
    口腔内崩壊錠
    25mg
    50mg
    1日4回
    ツートラム錠 トラマドール塩酸塩
    徐放錠(1日2回
    25mg
    50mg
    100mg
    150mg
    1日2回
    ワントラム錠 トラマドール塩酸塩
    徐放錠(1日1回
    100mg 1日1回

    ※(1日○回)は調剤システムの表示

    Q

    【併用禁忌は?使用上の注意点は?】

    A

    MAO阻害剤(セレギリン(エフピー)、ラサギリン(アジレクト)、サフィナミド(エクフィナ))を投与中又は投与中止後14日以内の患者さま、ナルメフェン(セリンクロ)を投与中又は投与中止後1週間以内の患者さまには投与禁忌です。


    その他の禁忌や併用注意の薬剤も多く、また、主にCYP2D6、CYP3A4で代謝を受ける薬剤のため、併用薬などの確認が重要です。
    ゴーストタブレット(有効成分放出後の殻)が糞便中に排泄されることがあるので、患者さまに不安を抱かせないようあらかじめ伝えておきましょう。

    Q

    【主な副作用は?対策は?】

    A

    重大な副作用として、ショック、アナフィラキシー、呼吸抑制、痙攣、依存性、意識消失が報告されています。特に呼吸抑制は、アルコール摂取により増強されるおそれがあるため、飲酒を控えるよう指導する必要があります。


    その他の主な副作用は、悪心(41.6%)、便秘(38.1%)、傾眠(20.3%)、嘔吐(15.3%)、浮動性めまい(10.3%)などです。
    いずれも飲み始めに現れることが多いため、対策を患者さまに伝えたり、テレフォンフォローアップなどでも確認したりするようにしましょう。


    ○悪心/嘔吐
    3~7日程度で耐性が生じる。
    制吐剤(メトクロプラミドやドンペリドンなど)を併用し、1~2週間程度で中止できることが多い。


    ○傾眠/眠気
    投与初期・増量時に出現しやすいが、数日で治まることが多い。ただし、自動車の運転など危険を伴う機械の操作は避ける。


    ○便秘
    耐性は生じないため、症状に応じて緩下剤を併用する。

    (2024年6月20日時点)

    掲載日: 2025/03/13
    ※医薬品情報は掲載日時点の情報となります

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