アミオダロンは、しばしば甲状腺機能低下症を起こすことがあります。 これは、アミオダロンの骨格内には、ヨウ素があり、アミオダロン塩酸塩錠100mgあたり37mgのヨウ素を含有していることに関係しているからです。 厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によると、18歳以上の場合(※妊婦・授乳婦含まず)、ヨウ素の耐容上限量は3mg/日です。アミオダロンを服用するとヨウ素を過剰に摂取し続けていることになるので注意してください。 ヨウ素を過剰に摂取すると、甲状腺ホルモンの分泌が抑制されます。 アミオダロン服用患者における甲状腺機能低下症の発症率は、文献によれば10%を超えるとの報告もあります。 ヨウ素過剰による一過性の甲状腺機能低下は大抵の場合、2〜3週間で自然に改善しますが、アミオダロンを服用されている患者さまでは特に注意が必要です。 そのため、アミオダロン服用開始前、開始1ヵ月後、投与中3ヵ月毎に甲状腺異常が起こっていないか血液検査で確認するよう推奨されています。 明確な基準はありませんが、TSH値が20μU/mLを超える場合は、チラーヂン補充療法を検討する一つの目安となります。 アミオダロンは基本的に継続しながら使用していくので、チラーヂンと併用されている際は、副作用対策として処方されている旨を患者さまに指導しても良いでしょう。 ▼参考資料はコチラ ほかに注意すべきアミオダロンの副作用として間質性肺炎と角膜色素沈着があります。 それぞれ投与前、開始1ヵ月後、投与中3ヵ月毎に胸部レントゲン検査や眼科検査などを行うよう推奨されています。 間質性肺炎は、空咳が出るといった症状。角膜色素沈着は眼がかすむといった症状になります。患者さまに起きていないか確認すると良いでしょう。 処方監査・服薬指導のPOINTアミオダロンを服用している患者さまには、普段の食生活でヨウ素を多く含有している海藻類(昆布、わかめ、ひじきなど)をどれくらい摂取しているか確認して、過剰に取り過ぎないように指導します。 橋本病の既往歴や放射性ヨウ素治療経験のある患者さまは、とくに甲状腺機能低下症に気を付ける必要があるので、定期的に血液検査が行われているか確認してください。 検査が行われていなければ、トレーシングレポートなどで甲状腺に関する血液検査をするよう説明しましょう。 |
Q |
甲状腺機能異常の副作用を起こす恐れがある薬はどれでしょうか? |
掲載日: 2025/03/27
※医薬品情報は掲載日時点の情報となります
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