服薬指導に活かす医薬品情報

フォシーガ錠5mg・10mg(一般名:ダパグリフロジン)

ここがポイント!

  • 「慢性心不全」「慢性腎臓病」の適応をもつ糖尿病治療薬(SGLT2阻害薬)
  • 服用前、服用開始後の腎機能をチェック
  • 副作用の頻度や重篤度を把握し、患者さまの状態をふまえ効果的に指導を
  • Q

    【何のお薬?処方目的は?】

    A

    近位尿細管におけるナトリウム・グルコース共輸送体であるSGLT2を阻害することにより、尿中への糖排泄を増加させ、血糖値低下が期待できます。1型糖尿病・2型糖尿病治療に用いられてきましたが、蛋白尿減少・腎保護効果や心不全の予防または進行を遅らせることが示され、糖尿病合併の有無は問わず慢性心不全、慢性腎臓病(CKD)に使用できるようになりました。ガイドライン上でも、心不全患者における標準的治療薬の一つとされ、CKDでの推奨度も高くなるなど重要視されています。

    <SGLT2阻害薬 ⼀覧(最新の添付⽂書をご確認ください)>

    一般名 イプラグリフロジンL-プロリン カナグリフロジン水和物 ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物 トホグリフロジン水和物 ルセオグリフロジン水和物 エンパグリフロジン
    商品名 スーグラ カナグル フォシーガ デベルザ ルセフィ ジャディアンス
    規格 錠25mg、50mg 錠100mg 錠5mg、10mg 錠20mg 錠2.5mg、5mg、
    ODフィルム2.5mg
    錠10mg、25mg
    効能・効果 2型糖尿病
    1型糖尿病※1
    2型糖尿病
    2型糖尿病を合併する慢性腎臓病※3
    2型糖尿病
    1型糖尿病
    ※1
    慢性心不全※2
    慢性腎臓病※3
    2型糖尿病 2型糖尿病 2型糖尿病
    <錠10mgのみ>
    慢性心不全※2
    慢性腎臓病※3

    ※1インスリン治療との併用 ※2ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る ※3ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く


    〇診療科、併用薬、血糖値・腎機能などの検査値、患者さまへの聞き取りから、処方目的を考えましょう。

    〇慢性心不全、CKDでは効果を実感しにくいため、服薬の必要性を理解してもらいましょう。

    Q

    【服用開始後のeGFR低下に注意!】

    A

    糖尿病合併の有無を問わず、SGLT2阻害薬投与後に「initial dip(イニシャルディップ)」と呼ばれる一過性のeGFR低下が見られることがあります。日本腎臓学会の「CKD治療におけるSGLT2阻害薬の適正使用に関するrecommendation」でも、服用開始2週間~2カ月程度の早期にeGFRを評価し、値が維持されているかの確認を求めています。※eGFRが15mL/分/1.73m2未満での新規開始は推奨されていません。

    ○eGFR値の過度な低下がないか確認し、また不安から自己判断で服薬中止しないようフォローアップを。

    Q

    【副作用や注意事項】

    A

    副作用はどの疾患の場合も起こり得ますが、疾患ごとの頻度や重要度から、初回に重点的に指導すること、テレフォンフォローアップでの確認事項、長期服用時の注意点など判断し、効果的に指導しましょう。
    ※日本腎臓病薬物療法学会「SGLT2阻害薬患者指導箋(JSNP版)」を活用しましょう。(以下一部要約)


    低血糖:1型糖尿病、低血糖リスクの高い薬を併用している2型糖尿病患者では特に注意が必要。

    脱水:頻度が高く、こまめな水分補給が必要。尿量が増える開始初期、高齢者や利尿薬併用時は特に注意。

    CKD・慢性心不全患者では口渇がないか、逆に呼吸困難や浮腫が強いときは飲水過多に注意。医師から飲水量の制限があるか確認し、体重測定を勧める。脱水に伴い、利尿薬+RA系阻害薬+NSAIDs併用時は急性腎障害、活性型ビタミンD3製剤併用時は高カルシウム血症に注意。シックデイ・ルールも確認を。

    ケトアシドーシス: 特に1型糖尿病、頻度は低いが2型糖尿病では重症化に注意。正常血糖値でも起こる。

    性器感染症・尿路感染症:男性より女性に多く、また糖尿病患者は易感染傾向にある。いつでも発症する恐れがあり、早期発見・治療が重要。予防にはこまめな水分補給や陰部を清潔に保つことが有効。

    (2024年3月15日時点)

    掲載日: 2024/11/21
    ※医薬品情報は掲載日時点の情報となります