服薬指導に活かす医薬品情報

カログラ錠

Q

【何のお薬?処方目的は?】

A

一般名はカロテグラストメチルで、適応症は「中等症の潰瘍性大腸炎(5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤による治療で効果不十分な場合に限る)」。5-ASA製剤による治療を行っても明らかな臨床症状が残る場合に投与します。世界初の経口投与可能なα4インテグリン阻害剤で、リンパ球などの炎症性細胞の表面に発現するα4β1インテグリンとα4β7インテグリンの両方に作用し、大腸粘膜病変部位に認められる炎症性細胞の過度な集積・浸潤を抑制することにより、抗炎症作用を発揮すると考えられます。120mg の1規格。

Q

【用法・用量・使用上の注意点は?】

A

1回960mg(8錠1シート)を1日3回食後に経口投与します。投与期間は6ヵ月までです。6ヵ月以内に寛解に至った場合はその時点で投与を終了し、維持療法には使用しません。再度治療を行う場合、投与終了から8週間以上あける必要があります。吸湿性が強いため、湿気を避けて保存し、服用直前までPTPシートから取り出さず、破損しないようにします。


Q

【副作用・相互作用は?】

A

重大な副作用に、進行性多巣性白質脳症(PML)(頻度不明)があります。その他、頭痛、悪心、上咽頭炎、肝機能異常などが起こることがあります。感染症に対する免疫能に影響を及ぼす可能性があるため、感染症の発現や増悪に注意するとともに、免疫抑制剤との併用を避けます。また、CYP3A4阻害作用があるため、基質となるミダゾラムやアトルバスタチンなどと併用注意、活性代謝物であるカロテグラストはOATP1B1およびOATP1B3の基質となるため、これらを阻害するリファンピシンも併用注意です。

Q

【進行性多巣性白質脳症(PML)】

A

PMLは中枢神経感染症の1つです。多くの人に潜伏感染しているJCウイルスが、免疫力(主に細胞性免疫)の低下した状況でウイルスが再活性化し、脳内に多発性の脱髄病巣を形成します。初めに片麻痺・四肢麻痺・認知機能障害・失語・視覚異常などの症状が現れ、亜急性に進行し数ヵ月で失外套状態に至る、生命予後が非常に悪い疾患です。HIV感染症や血液系悪性腫瘍、膠原病などの基礎疾患の他に、免疫抑制薬、抗悪性腫瘍薬、モノクローナル抗体製剤などの薬物治療が原因で発病することもあります。薬剤による PMLの場合、原因薬剤を中止し、免疫力の改善を目指します。

Q

【服薬指導実践編 ~チャレンジしてみよう!】

消化器内科を受診しているAさま(36歳 男性)が以下の処方箋をお持ちになりました。

【Rp1】リアルダ錠1200mg 4錠
1日1回 朝食後 14日分

【Rp2】カログラ錠120mg 24錠

1日3回 朝昼夕食後 14日分
【Rp2】は新規追加
※他にミヤBM、ネキシウム服用中。レクタブル注腸フォーム使用歴あり。

Aさまは3年前から潰瘍性大腸炎の治療中です。Aさまから「最近ずっと調子が悪く、下痢の回数が増えて出血もあります。検査の結果、新しいお薬を試すそうです。何か注意点はありますか?仕事で忙しく昼食を取れない時は、どうしたら良いでしょう?」と質問がありました。あなたならどう答えますか?


A

【回答例】

(例)カログラはリンパ球を大腸に集まりにくくして、潰瘍性大腸炎の炎症を抑えていく薬です。リアルダに追加で、一度に飲む錠数も多く、毎食後に飲むのは大変ですが、1日3回きちんと飲むことで下痢や出血などの症状を抑える効果が出ます。食事がとれない時は、昼食をとる時間帯に薬だけ服用してもかまいません。もしそれも難しく飲めないままになってしまう場合は、2回分をまとめて服用せず、夕食後の分だけ服用してください。薬の影響で免疫が低下することがあるため感染症に注意し、のどの痛みや発熱、胃のむかつきなどありましたら相談してください。まれですが、万一手足が動かなくなる、呂律が回らない、目が見えにくい、物忘れするなどの症状がありましたら、すぐ医師に相談してください。

掲載日: 2024/09/26
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