- 公開日:2022.05.25
女性薬剤師の年収はどのくらい?キャリアアップを目指す方法を解説
結婚や出産・育児などのライフイベントに応じ、その時期に合った働き方を選択する女性も多いのではないでしょうか。柔軟な働き方が可能であり、一般的な職業に比べて平均年収も高いため、薬剤師は女性に人気が高い職業ともいわれています。
この記事では、女性薬剤師の働き方や年収、キャリアプランについて解説していきます。家庭と仕事を両立させつつ、キャリアアップするコツについてもみていきましょう。
女性薬剤師の働き方
病院や薬局などの薬剤師の職場でも多くの女性が就労しています。厚生労働省の統計によると、2020年時点の全国の届出薬剤師の人数はおよそ32万人で、男性が約4割、女性が約6割と、女性の比率が高いことがわかっています。
薬剤師が女性から人気のある理由は、勤務する場所や時間が決まっていること、出産や育児で離職した後も、復帰や再就職の機会を得やすいなど、家庭と仕事を両立しやすいことが挙げられます。就業先によっては復帰後に時短勤務やパート社員などの働き方を選択でき、柔軟なキャリアが選択できることも人気の理由の一つです。
女性薬剤師の年収はどれくらい?
女性は結婚・出産・育児などのライフイベントの影響を受けやすい傾向があり、薬剤師も例外ではありません。ここでは、令和3年賃金構造基本統計調査に基づき、女性薬剤師の年収をみていきましょう。
男性(万円) | 女性(万円) | |
---|---|---|
20~24歳 | 422.9 | 358.6 |
25~29歳 | 497.9 | 460.7 |
30~34歳 | 586.1 | 504.8 |
35~39歳 | 659.5 | 565.6 |
40~44歳 | 707.7 | 592.4 |
45~49歳 | 718.5 | 584.5 |
50~54歳 | 762.2 | 641.4 |
55~59歳 | 732.5 | 610.5 |
60~64歳 | 630.8 | 565.1 |
(きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額で計算)
厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、女性薬剤師は男性薬剤師と同様に、年齢が上がると年収も安定して伸びていくことがわかります。30~40代では、出産や育児を迎える方が多いこともあり、男性薬剤師に比べて年収の伸びが鈍化する傾向にありますが、一般労働者の賃金を考慮すると、女性薬剤師の年収は全体的に高水準であると考えられています。
女性薬剤師のキャリアプラン
出産や育児のある女性は家庭と仕事の両立が難しく、休職や退職をしなければならない場合もあります。育児中のブランクにより、キャリアアップが不利になるケースもあるため、あらかじめ以下の点について確認するようにしましょう。
職場の産休・育休の制度や育児のサポート体制を確認する
女性薬剤師の場合、出産や育児の際に産休・育休を取得することがほとんどです。産休・育休は、労働基準法で最低限の期間が決められていますが、実際に取得できる期間は職場によって異なるため、福利厚生の制度について事前に確認しておくことが必要です。また、時短勤務の有無や有休の使いやすさなど、育児のサポート体制についても確認しておくようにしましょう。
女性のキャリアアップが実現できる職場であるかどうかを確認する
薬剤師は女性にとって働きやすい職業であるといわれていますが、産休・育休によるブランクがキャリアアップにおいて不利になる場合もあります。復帰後のキャリアプランや研修体制など、女性のキャリアアップが実現できる職場であるかどうかを確認するようにしましょう。薬局長や管理薬剤師などの管理職における女性比率を確認することもおすすめです。
家庭と仕事を両立して勤務する薬剤師がいる職場を選ぶ
職場に産休・育休の制度があったとしても、実際に休みがとれるかどうかは職場の雰囲気によって異なります。妊娠中も産後も、女性の体には大きな負担がかかりますので、通常通りの勤務が難しい場合もあるでしょう。公的に定められた休業期間の最低限度の日数しか休業できず、勤務を続けること自体が難しいケースもあります。 実際に家庭と仕事を両立している薬剤師がいる職場であれば、実際に制度を利用しやすい可能性が高いため、過去の産休・育休の取得事例・実績についても事前に確認しましょう。
年収アップを考えている女性薬剤師は転職も視野に
女性薬剤師の中には、将来的に結婚や出産を考える方も多いため、復帰後の働きやすさを優先して職場を選ぶことも重要です。現在の職場において産休・育休などの福利厚生の制度が充実していない場合や、実際に休業制度を利用している女性薬剤師が極端に少ない場合には、長期的なキャリア形成が難しいということも考えられるため、転職も視野に入れるようにしましょう。
また、年収アップを考えている場合においても、家庭と仕事を両立しながら薬剤師として働くことのできる職場を選ぶことが重要です。現在の職場で両立が難しい場合には、産休・育休明けの職場復帰の支援を積極的に行っている企業に早めに転職することがおすすめです。これらの制度が充実した企業で長く働き続けることにより、薬局長やエリアマネージャーなどに昇進しながら、年収アップを目指すことが期待できます。
ライフイベントを見越したキャリアプランを
この記事では、女性薬剤師の働き方や年収、キャリアプランについて解説していきました。
国家資格で働く薬剤師は、男女を問わず活躍していくことができる職業です。しかし、現代ではまだ出産や育児で中心的な役割を担うことの多い女性は、ライフイベントに合わせて働き方を変えていかなければならない場合もあります。これまでキャリア重視で働いていた方が、結婚をきっかけに家庭重視へと変わることも、決して珍しくありません。自身のライフプランやキャリアプランについてあらかじめよく考え、早めに行動に移すようにしましょう。
執筆者:ヤス(薬剤師ライター)
新卒時に製薬会社にMRとして入社し、循環器や精神科からオンコロジーまで、多領域の製品を扱う。
現在は患者さまと直に接するために調剤薬局チェーンに勤務しながら、後進の育成のために医薬品のコラムや医療論文の翻訳など、多方面で活躍中。