業界動向
  • 公開日:2019.07.08

【体験談:女性薬剤師の働き方】子育てと仕事を両立するには?

【体験談:女性薬剤師の働き方】子育てと仕事を両立するには?

女性は妊娠・出産・育児のタイミングで一度職場を離れることもあるなど、ライフイベントによって働き方が変わる機会が多くあります。薬剤師も例外ではなく、早い段階から働き方やキャリアプランを考えていくことは大切です。しかし、実際に子育て経験のある薬剤師のアドバイスを聞く機会は、なかなかありませんね。

そこでこの記事では、子育てをしながら薬剤師として働いたご経験を持つFさんのインタビューをもとに、若い女性薬剤師へのメッセージをお伝えしていきます。

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妊娠・出産を機に変わったことは

子どもと遊ぶ女性のイメージ

妊娠や出産は女性にとって大きなライフイベントの一つであり、職場を離れる必要が出てきます。女性のキャリアに大きな影響を及ぼすということで、妊娠・出産にかかわるエピソードを中心にご紹介していきます。

《Fさん》

薬学部を卒業後、理学部の研究助手として勤務していたが、結婚が決まった時点で資格を生かして働きたいと考え、病院に転職。第一子は夫の転勤先のNYで出産、第二子は帰国後に病院で勤務している時に、産休を利用して出産。

【産休・育休について】

Q、産休・育休に入る際に、薬局内で心がけたコミュニケーションはありますか?

薬局長が女性であり、産休を取得した経験のある方だったので、できる限りアドバイスをもらうようにしました。今ではアドバイスをする側になりましたが、悩みの相談やアドバイスを求められると、「困っているんだな」「助けてあげないと」という気持ちになるので、積極的に相談することがおすすめです。

Q、産休・育休に入る際に、周りにされて助かったことや嬉しかったことはありますか?

病院で勤務していましたが、人事課が産休の期間中、パート薬剤師を雇ってくれました。当時は今のように産休や育休の制度は整っていなかったので、嬉しかったですね。また、切迫早産になったこともあり、突然の産休になったのですが、職場のみんながお見舞いにきてくれたことは、出産を迎える際の励みになりました。

Q、周囲の方が産休・育休に入る際に、心がけていることはありますか?

産休から復帰した後、病院で主任を務めている時に、後輩が産休を取得する機会がありました。自分自身の経験を生かして、できる限りのアドバイスをするようにしています。また、妊娠が分かった時点で「重いものを持たせない」「抗がん剤の混注から外す」などを配慮するようにしていました。

【復職について】

Q、復職は出産後いつのタイミングでしたか?なぜそのタイミングを選択されたのですか?

産前6週間(多胎妊娠の場合は産前14週間)、産後8週間を産休(産前産後休業)とすることが一般的ですが、私の場合は切迫早産でしたので、産後12週で復帰しました。医療系ということもあり、当時でもそのあたりの理解は得られやすかったです。

Q、復職にあたり、どのような準備をしましたか?精神面と業務面それぞれ教えてください。

精神面では、ギリギリの状態だったので何も準備ができませんでした。2人目や3人目であれば余裕も出てくるかもしれませんが、初産ではなかなか難しいのではないでしょうか。里帰り出産など、家族のサポートが得られやすい環境にあれば、違うのかもしれませんね。

業務面では、できる限り薬の勉強をするようにしておきました。今のようにインターネットが発達していなかったので、参考書を中心に薬剤・薬理の勉強をしていました。基礎から勉強しなおすことができたので、良い機会になったかもしれません。

Q、周囲の方が産休・育休から復職される際、職場に迎えるにあたり心がけていることはありますか?

私が主任だった時は、復帰後は責任の軽い仕事から入ってもらうようにしていました。また、現在ほど産休に理解のある時代ではなかったので、他の結婚前の女性職員からクレームが出ないように配慮していました。

【子育てと仕事の両立】

Q、子育てと仕事を両立する上で、どのようなことに気をつけていましたか?

子どもにとって、母親は私一人。職場には薬剤師がたくさんいる。子どもが小さいうちは、子ども優先でした。また、あせりは子育てによくないので、勉強会に出席できなくてもあせらないようにしていました。

あとは、子どもを何度か職場の病院に連れて行きました。子どもが私の仕事を理解してくれるだけでなく、職場の方とも顔見知りになっておけば、いざというときに味方になってくれるかもしれないと考えました。

Q、子育てと仕事を両立する上で、どのように周りに助けを求めましたか?

配偶者である夫に家事を手伝ってもらうなど、家族全員で子育てをしていました。また、当時は都内の病院で勤務していましたが、子どもの病気が長引くようなときは、実家の母に関西から来てもらっていました。

Q、子育てをしながら働く上で、周りにされて助かったことや嬉しかったことはありますか?

抜けにくい仕事を任されている最中に、保育園から子どもの引き取り依頼の電話がきたことがありました。その際に、上司の一人がすぐに仕事を引き受けてくれたことが、嬉しかったです。今では逆の立場として、同じようなことがあれば率先して仕事を引き受けるようにしています。

【子どもが育った後の働きや、その際に習得したスキル】

Q、お子さんの成長に伴って働き方は変えていきましたか?また、薬剤師としてのキャリアを考える上で、どのようなスキルを身に着けましたか?

小学生になるまでは、子ども優先と決めていたので、仕事のキャリアよりも家庭を優先していました。子どもが中学生になった時点で当直を開始して、勉強会にも出席しはじめるようになり、その後、糖尿病療養指導士やNST、ICLS、指導薬剤師などの資格をとりました。

若手女性薬剤師へメッセージ

二人の女性薬剤師のイメージ

ようやく産休・育休がとりやすい時代に

私の時代は、産休こそ取得できる職場も多かったものの、育休を取得することができる勤務先は、ほとんどありませんでした。出産して産休を終えた後はすみやかに業務に復帰することが当たり前で、現場復帰に支障をきたさないように、時間があれば職場を訪れるようにしていました。

現在では時代も変わり、育休もしっかりと取得できるようになりましたが、育休だからとブランクの間に何もしていない薬剤師も少なくありません。復帰後に周囲に迷惑をかけないだけでなく、自分自身のためにも、最低限の勉強はしておくと良いと思います。

自分のためになる資格を身につけよう

転職することになった際、プラスになるように資格をとるのが「良い方法」だと思います。自分だけの強みを持つことで職場での地位も上がるので、得意分野を見つけるようにしましょう

現在ではe-ラーニングの普及により、自宅でも資格を取得することができるようになりました。資格を取得しやすい環境にあるので、積極的に資格に挑戦することがおすすめです。

子育てを思いっきり楽しもう

資格を取得することは、薬剤師のキャリアにおいて重要です。しかし、子育ての期間は思いのほか短いとも言えます。思いっきり子育てを楽しむようにしましょう。

子どもにとって、母親はただ一人です。仕事も大切ですが、まずは子育てを優先してはいかがでしょうか。

そして、自分の子育てが終わった後は、次の世代の子育てを全力でサポートしましょう。そうしてバトンを渡していくことが、自分にも子どもにも、周りの方々にもプラスになると思います。

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ファルマラボ編集部

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記事掲載日: 2019/07/08

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