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業界動向
  • 公開日:2020.10.14

【2020年9月】改正薬機法施行で服薬フォローが義務化!内容をわかりやすく解説

【2020年9月】改正薬機法施行で服薬フォローが義務化!内容をわかりやすく解説

2020年9月1日より、改正医薬品医療機器等法(薬機法)の関連省令が施行されました。対物から対人業務への転換が焦点だった今回の改正では、薬局の定義の見直しやオンライン服薬指導の導入に加えて、調剤後のフォローアップ(以下、服薬フォロー)が義務化されたことが大きな変更点のひとつです。

この記事では、服薬フォローの概要や導入の背景、具体的な流れ、アプリを用いた事例について解説していきます

2020年9月施行!改正薬機法で義務化した「服薬フォロー」とは?

2020年9月に施行された改正薬機法では、薬剤師が調剤時に限らず、必要に応じて患者さまの薬剤の使用状況の把握や服薬指導を行うことが義務化されました。具体的には、調剤した薬剤の適正な使用のために必要と認める場合には、患者さまの当該薬剤の使用の状況を継続的かつ的確に把握するとともに、患者さま本人、または現にその看護にあたっている者に対して必要な情報を提供し、薬学的知見に基づく指導を行わなければならない旨が規定されています。

「服薬フォロー」義務化が施行された背景

患者さまが安全・安心に薬を使用するためには、薬剤師が「個々の患者さまの特性」や「罹患している疾患の特性」、「当該薬剤使用の特性」に合わせて、適切にフォローアップを施す必要があります。しかし、個々の薬局の体制や薬剤師の資質によっては、患者さまが受けられるサービスに差が生じているという指摘も多く、公平な医療サービス提供のために服薬フォローの義務化が施行されたと考えられています。

また、2020年度診療報酬改定において「調剤後薬剤管理指導加算(30点)」が新設され、服薬フォローの評価が行われたこともポイントのひとつです。こちらは、低血糖の予防等の観点から、新たにインスリン製剤またはSU剤が処方された患者さまに対し、地域支援体制加算を届け出ている薬局が調剤後も副作用の有無の確認や服薬指導を行い、その結果を保険医療機関へ文書により情報提供した場合に算定が可能です。

▼参考記事はコチラ
日本薬剤師会 薬剤使用期間中の患者フォローアップの手引き(第 1.1 版)
厚生労働省 令和2年度診療報酬改定の概要

求められる「服薬フォロー」の内容とは?

服薬のイメージ

薬剤使用期間中の患者さまへのフォローを考えるうえでは、(1)初回来局時、(2)薬剤交付から次回来局まで、(3)次回来局時の3つのサイクルが重要と考えられています。ここでは、日本薬剤師会が示している「薬剤使用期間中の患者フォローアップの手引き」を参考に、服薬フォローの流れについて解説していきます。

(1)初回来局時

初回の来局時においては、患者情報を適切・的確に取得することが最も重要です。継続的に服薬フォローを行うためには、様々な情報を薬学的知見に基づき、総合的に分析・評価して判断する必要があります。年齢や性別、体重などの基礎的情報に加えて、疾患(原疾患、既往歴、合併症等)や薬剤服用歴、家族や就学・就業等を含めた生活環境等など、可能な限り細かく情報収集するようにしましょう。また、患者さまごとに求められる対応は異なるため、使用薬剤や適応症だけで機械的に判断・実施することは避けるべきです。

(2)薬剤交付から次回来局までのフォローアップ

薬剤交付から次回来局までのフォローアップにおいては、初回来局時に得られた情報や服薬指導を通じて得られた情報を、薬学的知見に基づいて分析・評価します。そのうえで、患者さまへの情報提供や薬学的管理指導、受診勧奨、医師・医療機関への情報提供、処方提案、残薬調整など、薬剤師として適切なフォローアップを行います。また、それらの内容は記録(※)し、必要に応じて適宜、フォローアップの見直しをします。薬剤師の服薬フォローには患者さまやその家族の協力が重要であるため、あらかじめその意義や内容を丁寧に説明し、理解を得ることがポイントです。

※服薬フォローの調剤録への記録については、現行の医療保険制度に基づく薬剤服用歴へ記録および保存がなされていれば足りる旨が、厚生労働省のパブリックコメントによって示されています。

(3)次回来局時

(1)や(2)において実施したフォローアップの結果について確認・分析・評価を行い、これらに基づいて、今回来局から次回来局までのフォローアップについて再検討します。以降、(2)と(3)をくり返しながら、継続的な薬学管理を通じて得られた情報を分析・評価して、今後の薬物療法や薬学的管理指導に適切に反映させます。また、患者さまの状態や服用薬の特性によっては、患者さまの来局を待たずに電話やFAXに加えて、後述のSNSなどのICT(Information and Communication Technology/情報伝達技術)を利用する場合もあります。

▼参考記事はコチラ
厚生労働省 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律の施行に伴う関係省令の整備等に関する省令(案)に対して寄せられた御意見について

【医薬品別】販売後フォローアップについて

薬局において、処方箋医薬品以外の医療用医薬品、薬局製造販売医薬品、要指導医薬品、一般用医薬品を販売する場合のフォローアップに関する基本的な考え方は、処方箋に基づく調剤の場合と同様と考えられています。ここでは、それぞれの医薬品ごとのケースについて解説していきます。

処方箋医薬品以外の医療用医薬品

薬局医薬品の販売後フォローアップについては、薬機法第36条の4第5項において、必要な情報の提供や、薬学的知見に基づく指導を行うべき旨が新たに規定されています。また、医療用医薬品は一般用医薬品とは異なる目的で使用されるもの。そのため、法令・通知の遵守や医師等の処方箋による調剤を原則としたうえで、やむを得ず販売する場合には「体調の変化や有害事象の確認」、「他の医薬品の使用の勧奨」、「医療機関への受診状況の確認と受診勧奨」などのフォローを実施することが求められています。

薬局製造販売医薬品、要指導医薬品、一般用医薬品

薬局製造販売医薬品、要指導医薬品、一般用医薬品についても、確認した内容の分析・評価結果によって、販売後の継続的な確認や利用者への受診勧奨等が必要になるケースが想定されています。薬剤師が必要と認める場合には、販売時の情報提供に加えて、購入者の連絡先や氏名住所等を確認して、適切に販売記録や薬剤服用歴管理記録を作成しておくことが求められています。なお、販売にあたっての流れや留意すべき点、販売後の相談対応およびモニタリングなどの考え方については、「要指導医薬品、一般用医薬品販売の手引き(日本薬剤師会)」において示されています。

患者さまへの確認はどうする?服薬フォローアップに「LINE」やアプリの活用も

服薬フォローのイメージ

服薬フォローの義務化を受けて、患者さまとの情報のやり取りを効率的かつ効果的に行うために、チャット機能を備えたアプリを導入している薬局も増えています。いつでも空いた時間に利用可能なアプリは、電話に比べてハードルが低いことがメリットのひとつです。

サービスの利用には、原則として専用のアプリをダウンロードすることが必要ですが、SNSのひとつであるLINEアプリを用いたサービスも増えており、利用へのハードルは下がりつつあります。また、服薬フォローを支援する機能だけでなく、処方箋の送信や電子版お薬手帳、来局予約、チャットによる質問など、様々な機能も拡充されています。

患者さまの生活環境やICTリテラシーなどによっては、電話やFAXを利用する方が効率的である場合もあるため、患者さまと十分にコミュニケーションをとりながら選択することが重要と考えられています。また、「機械的に一斉送信」や「薬剤の種類ごとに定型文を利用」など、薬学的知見に基づく個別の判断を加えないまま利用すると、フォローアップが形骸化する恐れがあるため注意が必要です。

薬剤師として円滑な服薬フォローをしていくために

ここまで、服薬フォローの概要や導入の背景、具体的な流れ、アプリを用いた事例について解説してきました。超高齢社会を迎えた我が国では、地域包括ケアシステムにおける薬剤師の役割として、調剤時だけでなく調剤後まで含めたフォローアップが求められています。

また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、受診控えや長期処方が増えていることも、服薬フォローの重要性がこれまで以上に高まっている要因のひとつです。

薬剤師の業務がこれらの対人業務へとシフトしていくなかで、従来の方法では業務負担が増す可能性もあります。患者さまと薬剤師にとって円滑なフォローのあり方を模索し、服薬フォローアプリなどのシステム導入なども検討してみてはいかがでしょうか。

ファルマラボ編集部

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記事掲載日: 2020/10/14

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