- 公開日:2020.03.02
薬剤師にピッタリの副業とは?今の仕事を続けながら年収を上げる!
働き方改革により副業に興味を持つ人が増えていますが、副業をもっている薬剤師はまだまだ少数派。副業をはじめる前に、「副業の種類が知りたい」「副業をはじめても違法にならないか心配」など、たくさんの疑問や不安も抱えているのではないでしょうか。
そこで今回は、【副業をはじめる前の確認事項/薬剤師にピッタリの副業】についてお伝えします。同僚にも相談しづらい副業に関する疑問は、ここで解決しておきましょう!
薬剤師の副業
まず「副業」とは、本業以外に収入が発生する就労のことですが、法律的な定義はありません。言い換えれば、「副業」とは所属する会社や主たる就労以外で、「自分の能力を活かす場」とも考えられるでしょう。
ここ数年の副業の動向
ここ数年で、私たち労働者を取り巻く法令制度も副業の推進に向けて変化してきています。厚生労働省は働き方改革の促進に向けて、平成30年1月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を作成しました。これは副業・兼業について、企業や働く方が現行の法令のもとで、どのような事項に留意すべきかをまとめた内容となっています。副業を始める前に、副業についての留意点が書かれている「副業・兼業の促進に関するガイドライン」「モデル就業規則」を確認しておきましょう。
ガイドラインによる副業における留意点
「副業・兼業の促進に関するガイドライン」には、副業をはじめるうえでの留意点が記載されています。
留意点
① 就業時間が長くなる可能性があるため、労働者自身による就業時間や健康の管理も一定程度必要である。 ② 職務専念義務、秘密保持義務、競業避止義務を意識することが必要である。 ③ 1週間の所定労働時間が短い業務を複数行う場合には、雇用保険等の適用がない場合があることに留意が必要である。 ▼引用元はコチラ:副業・兼業の促進に関するガイドライン副業により、本業を含めた働く時間が増えるため、労働者側が自己管理を行う必要性、職務専念義務、秘密保持義務、競業避止義務に対する意識、雇用保険の適応外などにも留意することと示されています。また、企業側にも就業時間の把握・管理や健康管理への対応、職務専念義務、秘密保持義務、競業避止義務への対応を行うよう促しています。
「モデル就業規則(平成31年3月版)」による副業についての留意点
モデル就業規則では、企業側が作成する就業規則についての枠組みが明示されています。このモデル就業規則が平成31年3月に改定され、副業に関連して以下の変更点がありました。
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・労働者の遵守事項である「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定が削除
・「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」という項目が追加
つまり、副業の規制緩和が行われたということになります。ただ、誰でも副業が解禁されたという意味ではないので注意しなければいけません。あくまでも就業規則等に「副業の禁止」が規定されていないことが条件です。就業規則にて禁止されているのに勝手に副業をはじめてしまうと、就業規則違反となって処罰の対象となる可能性があります。就業規則は十分に確認しておくことが重要です。
薬剤師における副業の動向
かつてより薬剤師には単発派遣や短期バイトという働き方がありましたが、副業としている方は少数派でした。それが平成30年の副業解禁を受けて、より多くの薬剤師が副業に関心をもちはじめています。
また、近年ではPCひとつでどこでも仕事が可能である在宅勤務に興味をもつ人が増えています。在宅ワークとしてブログ収入や広告収入などで副収入を得ている薬剤師も少なからず存在します。薬剤師においても昔のように隠れて副業する時代は終わり、堂々と副業をしていい時代に変わりつつあるのです。
"副業ができる薬剤師 "と"副業が禁止されている薬剤師"
薬剤師は多くの場合、薬局や病院などの組織に雇われて働いています。そのため、副業が職場もしくは役職によって認められないことがあるので注意が必要です。
副業ができる薬剤師
公務員薬剤師や管理薬剤師以外の薬剤師は、基本的に副業が禁止されていません。以下のように、就業規則で禁止されていなければ、多くのケースにおいて副業が可能になります。
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・調剤薬局の一般薬剤師
・ドラッグストアの一般薬剤師
・病院の一般薬剤師
・一般企業の薬剤師
ただし、就業規定で「副業禁止」と明記されていなくても、「暗黙の了解」として副業は禁止と考えている職場や経営者も少なくありません。トラブルを防ぐためには、あらかじめ上司に確認しておいた方が安全でしょう。
副業が禁止の薬剤師
副業が禁止されているのは主に次の2つの職種です。
1.管理薬剤師
管理薬剤師は、薬機法7条3項によって薬事に関する兼業が禁止されています。具体的な条文は以下の通りです。
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薬局の管理者(第一項の規定により薬局を実地に管理する薬局開設者を含む。次条第一項において同じ。)は、その薬局以外の場所で業として薬局の管理その他薬事に関する実務に従事する者であってはならない。ただし、その薬局の所在地の都道府県知事の許可を受けたときは、この限りでない。
▼引用元はコチラ:薬機法7条3項
つまり、管理薬剤師は勤務する薬局以外で薬剤師として働いた場合には違法となるので注意が必要です。最悪の場合は懲戒免職となります。ただし、薬事に関わらない仕事である場合は除外されるため、薬機法上では副業は可能となります。
2.公務員
公務員は原則として、国家公務員法・地方公務員法により兼業を禁止されています。薬剤師に関わらずすべての公務員に共通する規則です。厚生労働省、行政関連の仕事に従事する国家公務員の薬剤師、保健所に勤務する地方公務員などは副業が認められません。
もし、上記に当てはまるけれど将来を見据えて副業をはじめる考えがあるのなら、多様な働き方の実現に向けて転職する方法もあります。幅広い視点から将来設計をしてみましょう。
薬剤師におすすめの副業とは?
就業規則を確認して、上司の了解も得られたならば、具体的に副業を探していきましょう。薬剤師の副業は、一般的な内職やアルバイトのような副業ではなく、薬剤師としての職能を生かすことができます。 それぞれの仕事別に働きやすさ、メリットをご紹介していきます。
<単発/短時間のパート・派遣>
ドラッグストア
ドラッグストアは夜遅くまで営業している店舗が多いことから、病院や薬局で日中働いている薬剤師であれば副業が可能です。営業時間が長いので、短時間だけの勤務など時間の調整がしやすいというメリットもあります。また、OTC医薬品の販売経験を積むことができ、コミュニケーションスキルや接客能力のスキルアップが期待できます。
調剤薬局
薬剤師は短時間のパートや派遣など、単発での案件が比較的多い職種であり、近くで職場が見つかりやすい職種といえます。それぞれの薬局で処方箋の内容や専門領域、調剤ルールなども違うので、幅広い知識とスキルを身につけることができます。
薬学生の家庭教師
薬剤師を目指す薬学生を教える塾講師や家庭教師では、人に教えることを通してコミュニケーションスキルを磨くことができます。現役の薬剤師ということであれば、信用が得られやすく仕事が見つかる可能性も高いでしょう。学生時代の基本的な知識をおさらいすることもできるので、薬剤師の基礎に立ち返ることができる仕事です。
<在宅>
メディカルライター
薬剤師としての知識や経験を生かして、インターネットの記事作成や監修、出版物の作成などに携われるチャンスもあります。在宅勤務が可能で、いつでもどこでもPCとインターネット環境さえあれば働けるという手軽さが魅力です。専門性や権威性が重視される傾向があるので、薬剤師であれば一般ライターと比べて高単価が期待できます。ただし、収入が安定しづらく、納期管理や仕事量の調整などの自己管理能力が問われる仕事です。
薬剤文献の翻訳
薬学書や薬剤文献などを翻訳する仕事で、薬学の知識と語学力があれば活躍できる可能性があります。高い語学力が求められますが、仕事になれば高収入が見込めます。ただし、いつでも仕事ができるように時間を空けておいたにも関わらず、結局仕事が入らなかったというような事態も想定されます。メディカルライターと同じように、納期管理や本業とのバランスなどを考えて、仕事量やスケジュールを調整できるかが重要です。
そのほかにも、様々な活動と並行している薬剤師の方々がいます。それぞれの魅力をご本人たちに伺ったインタビューもあるので、ぜひご覧ください。
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副業によるメリット
主に収入アップを目指して副業をはじめる方が多いようですが、副業によるメリットは収入面だけではありません。薬剤師が副業するメリットとは何かを一緒に考えてみましょう。
スキルアップと幅広い経験を積める
本業とは全く異なる業種で副業をすることで、本業では経験できないスキルを身につけることができます。また、仕事場が複数できることで人間関係も広がり、他業種との関係構築も望めるでしょう。幅広い経験を積んだ結果、本業にもよい影響をもたらしてくれる可能性も。人脈やスキルが広がることで、将来的なビジョンを幅広い視点から考えられるようになるでしょう。
生活のモチベーションが上がる
毎日同じ職場で同じ仕事の繰り返しになってしまうと、生活がマンネリ化したり、仕事に飽きてしまう場合も考えられます。副業があればよい刺激となり、生活全体のモチベーションアップにもつながるでしょう。本業とは違った経験が、今後のワークライフバランスによい影響をもたらしてくれる可能性もあります。
今の仕事を続けながら年収アップができる
副業による収入がプラスされることで、年収アップが見込めます。企業勤めでは月収を10万円アップさせるだけで何年もかかりますが、副業が成功すれば10万円どころか数十万円アップさせることも夢ではありません。
副業は、本業だけでは難しかった貯金や資格取得のための費用、開業資金などを調達するために非常に有効な方法だといえます。副業は将来への資金源として考えて、先にある大きな目標を立てておくとよいでしょう。
副業をはじめる前に、まずはシミュレーションを
副業が世間的にも認められる傾向にあり、薬剤師にもチャンスの場が広がりつつあります。柔軟な働き方が認められる世の中になった今、薬剤師としてのビジョンとライフワークバランスを見つめ直して将来設計をする必要があるでしょう。
副業をはじめる前には「目的」と「どのような働き方がしたいのか」をよく考えることが大切です。今の働き方を振り返って、まずは「副業が可能かどうか」を確認し、副業開始後の生活をシミュレーションしておくとよいでしょう。
希望する副業の仕事が見つからない、どんな仕事があるかを知りたい方は、転職コンサルタントに相談してみると選択肢が広がるのでおすすめです。ぜひ、あなたも副業にチャレンジして自分の可能性を試してみてはいかがでしょうか。
ファルマラボ編集部
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