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  • 公開日:2021.04.19

「第106回薬剤師国家試験」結果発表について

「第106回薬剤師国家試験」結果発表について

2021年3月24日、厚生労働省より「第106回薬剤師国家試験」の結果が発表されました。

今回は各試験会場で、新型コロナウイルス感染予防対策がとられ、例年とは違った雰囲気での試験となりました。

今年度を振り返ると、授業や実務実習のオンライン化など、前例のない対応に戸惑った方も多かったのではないでしょうか?

様々な不安やプレッシャーを乗り越え、みごと合格されました皆さま、本当におめでとうございます。 今回は試験結果について詳しく解説していきます。

受験者数と合格率について

第106回国試合格者数

第106回薬剤師国家試験の合格者数は次の通りです。

第106回薬剤師国家試験

受験者数 14,031人
合格者数 9,634人 合格率 68.66%

受験者数は平年並みでしたが、今回の合格率は68.66%と近年では最も低く、昨年の69.58%を下回りました。全体としては昨年より難易度が低いといわれていた今回の試験ですが、昨年の合格率を下回ったのは、合格基準が完全相対評価制になったことが大きく関係していると考えられます。

近年の合格者推移

合格率グラフ

受験者数 合格者数 合格率
第102回 13,243人 9,479人 71.58%
第103回 13,579人 9,584人 70.58%
第104回 14,376人 10,194人 70.91%
第105回 14,311人 9,958人 69.58%
第106回 14,031人 9,634人 68.66%

第102回に合格基準が改定されて以降、年々合格率が下がっています。原因として試験の難易度も関係していますが、合格基準が完全相対評価制に変更されたことも大きな要因。医療に関わるプロフェッショナルとして、質の高い薬剤師が求められていることがわかります。

男女別合格率について

第106回薬剤師国家試験の男女別合格者数は次の通りです。

第106回薬剤師国家試験

男性受験者数 5,375人
合格者数 3,436人 合格率 63.93%

女性受験者数 8,656人
合格者数 6,198人 合格率 71.60%

薬剤師は医療関連の資格の中で、特に女性に人気が高いという特徴があります。比較的高い給料水準であることや女性にとって働きやすい職場であることが理由として挙げられ、その男女比は「男性4:女性6」といわれています。

今回の試験では、男性の合格率が例年より低く63.93%にとどまりました。

近年の男女別合格者推移

男女別合格者推移

受験者数 合格者数 合格率
第102回 男性 5,435人(41.04%) 3,690人(38.93%) 67.89%
女性 7,808人(58.96%) 5,789人(61.07%) 74.14%
第103回 男性 5,495人(40.47%) 3,739人(39.01%) 68.04%
女性 8,084人(59.53%) 5,845人(60.99%) 72.30%
第104回 男性 5,753人(40.02%) 3,956人(38.81%) 68.76%
女性 8,623人(59.98%) 6,238人(61.19%) 72.34%
第105回 男性 5,678人(39.68%) 3,823人(38.39%) 67.33%
女性 8,633人(60.32%) 6,135人(61.61%) 71.06%
第106回 男性 5,375人(38.31%) 3,436人(35.67%) 63.93%
女性 8,656人(61.69%) 6,198人(64.33%) 71.60%

設置主体別合格率について

設置主体別合格率

第106回薬剤師国家試験の設置主体別合格者数は次の通りです。

第106回薬剤師国家試験

国立大学受験者数 631人
合格者数 513人 合格率 81.30%

公立大学受験者数 275人
合格者数 230人 合格率 83.64%

私立大学受験者数 13,124人
合格者数 8,891人 合格率 67.75%

近年の結果からみても、国立、公立大学は毎年合格率が安定しています。私立大学については、大学によって国家試験対策に注力する大学がある一方、高度な研究に力を入れる大学もあるため、大学によって合格率にばらつきがあります。毎年多くの合格者を輩出する大学は人気が高く、入学試験の難易度と国家試験合格率には相関性のあることが考えられるのではないでしょうか。

薬学系の大学を目指すのであれば、各大学がどんな目標を掲げてどんなカリキュラムを組んでいるのかを事前に調べて、志望校を決めることが大切です。


合格率上位大学
順位 大学名 合格率
1位 医療創生大学 95.92%
2位 金沢大学 94.74%
3位 名城大学 92.68%
4位 星薬科大学 88.85%
5位 北里大学 88.26%
6位 京都薬科大学 88.09%
7位 静岡県立大学 86.96%
8位 広島大学 86.84%
9位 北海道大学 86.11%
10位 昭和大学 86.10%
ここ数年の上位では、医療創生大学(95.92%)や金沢大学(94.74%)名城大学(92.68%)広島大学(86.84%)の名前が目立っています。
▼参考資料はコチラから
第106回薬剤師国家試験の合格発表 厚生労働省
第106回薬剤師国家試験について 厚生労働省

試験の出題傾向について

第106回国家試験は、前年より難易度が低いといわれていましたが、新出題基準の新しい項目や、前年までとは違った傾向の問題が多く出題されていました各科目の壁を越えた連問など、総合的な思考能力を必要とする出題が多かったのも大きな特徴です。

実務実習において体験が求められている「代表的な8疾患」については、感染症、がんなどを中心に出題されていました。

臨床現場での的確な対応や、問題を解決する能力があるかを確認する問題も多く、きちんと症例を読み込まなければ正解できない問題も...。また、法規・制度の理解やコミュニケーションスキルなど、実習での経験を問う内容の出題が多く、今後の試験でも「改訂コア・カリキュラム」に沿った実務実習の問題について、多くの出題が予想されるでしょう。

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まとめ

知識だけではなく、体力や精神力も求められる国家試験。 6年間の努力が報われた方、惜しくも目標に届かなかった方...それぞれ別の思いを持って今後の道を進んでいかなくてはなりません。これからの医療に貢献したいという強い気持ちを忘れずに進んでいきましょう。

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記事掲載日: 2021/04/19