- 公開日:2023.04.04
- 更新日:2023-11-17
【2023年最新】大手ドラッグストアの売上と店舗数ランキング
ドラッグストアへの転職を検討するうえで、業界動向を把握したり、企業研究を行ったりすることはとても大切です。
しかし、薬剤師として勤務していても、他社や他業態の情報まで把握している人は少ないかもしれません。
面接などでライバルと差をつけるためにも、大手企業の最新の動向や売上、推移、店舗数などは、応募を検討する前に確認しておきましょう。
今回は、大手ドラッグストアの売上と前年からの推移、店舗数をランキング形式でご紹介します。ぜひ参考にご覧ください。
ドラッグストア業界の動向と売上推移
ドラッグストア業界の売上は右肩上がりであり、その勢いは新型コロナウイルスの感染拡大による影響や近年の物価高の背景などもあり、現在も続いています。
日本チェーンドラッグストア協会による『2022年度日本のドラッグストア実態調査』によれば、2022年度のドラッグストア全国総売上高は推定8兆7,134億円(前年度比102%)で、ドラッグストア業界の売上は上昇を続けていることがわかります。
ドラッグストアは、一般用医薬品や処方薬の販売を主力に、日用品や食品、化粧品などを安価に販売することにより、売上を伸ばしてきました。経済産業省の調査によれば、ここ数年の売上上昇は調剤医薬品と食品区分の増加が主な要因とみられており、2014年度〜2022年度にかけて調剤医薬品は211%増、食品は199%増の伸び率となっています。
ドラッグストアは食品から医薬品までを1度の買い物で済ますことができるほか、日用品や食品などはコンビニエンスストアなどと比較しても安価に商品を購入できます。コロナ禍による感染対策で人との接触を避けるうえで、そうした利便性が改めて注目されるようになったことも要因と言えるでしょう。
こうしたドラッグストアへのニーズの高まりから出店数を増やす企業も多いため、薬剤師のニーズも高まっているのです。
ドラッグストアの売上ランキング
業界全体が好調なドラッグストアですが、とくに大きな売上をあげているのはどの企業なのでしょうか。ここで、売上ランキングの上位10社をランキング形式で、各社の最新の通期決算よりご紹介します。
1位:ウエルシアホールディングス
業界トップの売上は、イオングループのウエルシアHD。売上高は前年度比111%増収の1兆1,442億円。同社は東京都千代田区に本社を構え、全国各地に調剤薬局を併設したドラッグストアチェーンを中心とする持ち株会社です。
子会社の運営するドラッグストアはウエルシア薬局やハッピー・ドラッグ、ダッグス、金光薬品、よどやドラッグなどがあります。ドラッグストア運営のほか、介護事業や海外事業にも取り組んでいます。
2位:ツルハホールディングス
業界2位のツルハHDの売上高は、前年度比105%増収で9,700億円。
ツルハHDは北海道札幌市に本社があり、ツルハドラッグや杏林堂、くすりのレデイ、くすりの福太郎などの各運営企業を傘下とする持ち株会社です。介護事業や通販事業なども手掛け、2022年にはフードデリバリーを展開するUber Eats Japan社と提携し、一部商品のデリバリーを行うなど事業を拡大しています。
3位:マツキヨココカラ&カンパニー
テレビCM等でもよく見聞きする、マツモトキヨシを中心とした持ち株会社。売上高は前年度比130%の増収で9,512億円です。コロナ禍のインバウンド需要の激減により一時売上が低迷しましたが、2021年にマツモトキヨシHDとココカラファインが経営統合し、マツキヨココカラ&カンパニーが誕生しました。
マツキヨココカラ&カンパニーは、人口の多い都市部を中心に出店していることが特徴で、上位3社の中でもトップの収益性を誇ります。医薬品だけではなく、化粧品や食品、生活用品などのプライベートブランドに強みを持ちます。
4位:コスモス薬品
福岡市に本社を置くコスモス薬品は、売上高が前年度比109%の増収で8,276億円。店舗は九州が中心ですが、関西や四国、中国、関東地方にも展開しています。ON365やStandarDay、おいしい惣菜、アンテリージェEXなど独自のプライベートブランドも持ち、ホールディングス(持ち株会社)以外ではトップの売上です。
九州を中心に店舗を展開するコスモス薬品では、地域の激しい価格競争から低価格・高品質にこだわり推進してきました。近年では小商圏型メガドラッグストアを多店舗展開するビジネスモデルを構築。食品スーパーやコンビニエンスストアといった競合に対抗し、医薬品や化粧品のほか日用雑貨、生鮮三品以外の食品なども低価格で取り扱うなど、小商圏で圧倒的な支持を得ることを目指しています。
5位:サンドラッグ
サンドラッグは東京都府中市に本社があり、売上高は前年度比106%の増収で6,904億円です。ドラッグストア「サンドラッグ」を運営し、その他に調剤薬局も運営。
処方せん送信予約サービス、オンライン服薬指導、オンライン資格確認の全店舗導入を進める方針を示し、「DX」にも力を入れています。
6位:スギホールディングス
愛知県大府市に本社のあるスギホールディングスは、売上高が前年度106%の増収で6,676億円です。スギ薬局のほか、障がい者雇用の促進に取り組むスギスマイル、そしてスギ訪問看護ステーションなどを展開。各運営企業の持ち株会社です。
今期は物販全体の売上が好調。スギ薬局では着々とDX化を推進しており、「スギ薬局アプリ」は1,000万ダウンロードを突破しています。(2023年5月時点)
7位:クリエイトSDホールディングス
神奈川県横浜市に本社を置き、関東圏を中心に展開。ドラッグストア「クリエイト」や調剤薬局を手掛ける持ち株会社で、売上高は前年度比108%の増収で3,809億円です。そのほか、介護付有料老人ホームなど介護関連事業も展開しています。
ドラッグストア事業では物価が上がり続けるなか、一部の商品に対して価格を据え置くなどのEDLP(エブリディ・ロープライズ)施策を推進することで、食料品を中心に生活必需品の売上が好調に推移しました。また、調剤併設店の推進により処方せん枚数も増加、売上に寄与しています。
8位:クスリのアオキホールディングス
石川県白山市に本社を構えるクスリのアオキホールディングスは、売上高が前年度比115%の増収で3,788億円。ドラッグストア「クスリのアオキ」は、北信越や北関東を中心に店舗展開しています。創業は明治2(1869)年で、業界内でも長い歴史を持つ企業です。
2020年より開始した食品スーパーの買収により、フード&ドラッグとして生鮮をはじめとする食品を取り扱うほか、2026年までに調剤併設率を70%まで引き上げるために調剤併設店の出店を進めています。2021年8月からは、食品を中心にプライベートブランド「A&(エーアンド)」を発売し、徐々に拡大しています。
2023年度有価証券報告書|株式会社クスリのアオキホールディングス
プライベートブランド「A&(エーアンド)」発売のお知らせ|株式会社クスリのアオキホールディングス
Vison2026もっと便利に、ずっと笑顔で|株式会社クスリのアオキホールディングス
9位:富士薬品
配置薬で有名な富士薬品は、SEIMSなどのドラッグストアを全国に展開。売上高は前年度とほぼ同水準の3,730億円です。なお、同社は他にも調剤や研究開発、医療用医薬品の開発など幅広い事業を展開しています。
近年の物価上昇などによる対策の一環として、富士薬品グループが展開するドラッグストアでは、店頭ストアメディア機「セイムスタッチ※」を2023年9月までに全店舗導入するとしています(一部除外店舗あり)。
※「セイムスタッチ」は、お客さまの購買データをAIが学習し、お客さまに合ったクーポンを発券するシステム。
10位:カワチ薬品
栃木県小山市に本社を構えるカワチ薬品は、売上高が前年度と近い同水準の2,818億円です。医薬品にとどまらない多種多様な商品を提供することを理念としており、各店舗の平均売場面積は約600坪に及びます。
近年フード&ドラッグへの移行が相次ぐなかで、カワチ薬品は1992年にメガドラッグストアを出店し、1996年には調剤併設型メガドラッグストアの出店を実現していました。調剤併設店の出店や物流体制やシステムの強化により、収益力向上を目指しています。
ドラッグストアの国内店舗数ランキング
続いて、国内で多い店舗数ドラッグストアの上位10社をご紹介します。
※2023年10月31日確認時点
1位:マツキヨココカラ&カンパニー
国内店舗数トップは、3,409店舗を展開するココカラ&カンパニー。経営統合によって、店舗数が大きく拡大しました。
2位:ウエルシアホールディングス
ウエルシアホールディングスは、複数ブランドの薬局2,751店舗を展開しています。
3位:ツルハホールディングス
ツルハホールディングスは、2,589店舗を展開しています。
4位:スギホールディングス
スギホールディングスは1,565店舗を展開しています。
2023年度有価証券報告書|スギホールディングス株式会社
5位:富士薬品
富士薬品はSEIMS等のドラッグストアを、前年より7店舗減少の1,365店舗を展開しています。(グループ全店)
会社概要|株式会社富士薬品
6位:コスモス薬品
コスモス薬品は九州を中心に、1,358店舗を展開。なお、2010年に関西地区、2015年に中部地区、そして2019年に関東地区で初出店を果たしています。
2023年度有価証券報告書|株式会社コスモス薬品
7位:サンドラッグ
サンドラッグは、2023年10月31日確認時点で、1,016の店舗を展開しています。
2023年度有価証券報告書|株式会社サンドラッグ
8位:クスリのアオキホールディングス
クスリのアオキホールディングスは896の店舗数で、北信越や北関東を中心に展開しています。
2023年度有価証券報告書|株式会社クスリのアオキホールディングス
9位:クリエイトSDホールディングス
クリエイトSDホールディングスは関東圏を中心に、717の店舗を展開しています。
2023年度有価証券報告書|株式会社クリエイトSDホールディングス
10位:バローホールディングス
今回初登場のバローホールディングスは、東海・北陸を中心に495店舗を展開しています。
ドラッグストアで薬剤師に求められるもの
地域の方たちにとっても身近な存在であるドラッグストアでは、多くのお客さまと接し、ときに薬剤師として相談対応も行うため、高いコミュニケーション能力が求められます。
さらに高齢化によるセルフメディケーションの推進も薬剤師の重要な役割とされているため、医療用医薬品だけではなく、OTC医薬品に関する知識も必要でしょう。
また、調剤併設型のドラッグストアでは、「かかりつけ薬局」を目指す店舗が増えており、「かかりつけ薬剤師」としての対応が求められることも少なくありません。在宅医療に対応することもあり、いわゆる店舗接客とは異なる心構えが求められます。
場合によって24時間対応となるケースも考えられます。そのため勤務体系を柔軟に調整できると、より重宝される存在となれるかもしれません。
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ドラッグストア大手の売上や店舗数について、ランキング形式でご紹介しました。ドラッグストアは業界全体で売上が好調に推移しており、新規出店も増えています。薬剤師の需要が高まっているため、転職先の選択肢として考える薬剤師も多いでしょう。
ただしドラッグストアは企業によって、展開するエリアや経営方針、その他特徴などが異なります。事前にそうした企業情報を把握しておくと、面接でのアピールポイントを知ることができたり、入社前後のギャップを解消したりすることにも繋がります。
より自分に合ったドラッグストアを見極めるためには、転職コンサルタントに相談する方法もあります。希望やキャリアビジョンなどから適した職場を探しやすくなるため、ドラッグストアへの転職を検討している方はぜひ相談してみると良いでしょう。
ファルマラボ編集部
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