- 公開日:2021.02.25
【薬剤師向け】ADHD治療薬「コンサータ錠」とは?効果や副作用、薬価などを解説
「コンサータ®︎錠」は、注意欠陥/多動性障害(AD/HD)に対して用いられる医薬品です。従来から第一種向精神薬として指定され、厳格な管理が求められていましたが、2019年12月2日からは患者情報の登録の義務化や医師の登録要件の厳格化など、流通管理体制が大幅に変更されたことでも話題を呼びました。
この記事では、コンサータ®︎錠の効果や副作用、薬価、薬剤師として服薬指導を行う際のポイントについて詳しく解説します。
「コンサータ®︎錠」とは?
コンサータ®︎錠は、注意欠陥/多動性障害(AD/HD)の治療に用いられる医薬品で、国内では第一種向精神薬および処方箋医薬品・劇薬に指定されています。
有効成分としてメチルフェニデート塩酸塩を配合した医薬品には、コンサータ®︎錠のほかにリタリン®︎錠がありますが、コンサータ®︎錠は浸透圧を利用した放出制御システム(OROS)を応用した放出制御型の徐放錠であることが特徴です。
服用すると1時間以内に表面コートが溶けて素早く血中濃度が上昇し、次にプッシュ層が水分浸透で膨張して薬物層を穿孔から押し出すことにより、12時間にわたって持続的に効果が保たれます。
2000年8月に米国で認可されたコンサータ®︎錠は、2007年10月に日本で初めて「小児期における注意欠陥/多動性障害(AD/HD)」を適応とする製造販売承認を取得しました。さらに、2011年8月には18歳未満で本剤により薬物治療を開始した患者さまへの18歳以降の継続使用が可能となり、2013年12月には18歳以上の成人患者へと適応が拡大されました。
コンサータ®︎錠の効果
コンサータ®︎錠の効能・効果は、注意欠陥/多動性障害(AD/HD)です。物事に集中できない、うっかりした間違いをしやすい、落ち着きがない、思いついた行動を唐突に行うなどの症状を改善する働きがあります。
服用方法
添付文書によると、コンサータ®︎錠の服用方法は以下のとおりです。
・18歳未満の患者 通常、18歳未満の患者にはメチルフェニデート塩酸塩として18mgを初回用量、18~45mgを維持用量として、1日1回朝経口投与する。増量が必要な場合は、1週間以上の間隔をあけて1日用量として9mg又は18mgの増量を行う。なお、症状により適宜増減する。ただし、1日用量は54mgを超えないこと。
・18歳以上の患者 通常、18歳以上の患者にはメチルフェニデート塩酸塩として18mgを初回用量として、1日1回朝経口投与する。増量が必要な場合は、1週間以上の間隔をあけて1日用量として9mg又は18mgの増量を行う。なお、症状により適宜増減する。ただし、1日用量は72mgを超えないこと。
コンサータ®︎錠の副作用
小児注意欠陥/多動性障害(AD/HD)承認時に実施された臨床試験によると、コンサータ®︎錠の副作用(臨床検査値異常を含む)は、総症例216例中174例(80.6%)に認められました。主な副作用としては、食欲減退91例(42.1%)、不眠症40例(18.5%)、体重減少26例(12.0%)、頭痛18例(8.3%)、腹痛12例(5.6%)、悪心12例(5.6%)、チック11例(5.1%)、発熱11例(5.1%)が挙げられます。
また、小児に中枢神経刺激剤を長期投与した場合において、体重増加の抑制および成長遅延が報告されているため、投与が長期にわたる場合には患児の成長を慎重に観察することが求められています。攻撃性の発現や悪化、幻覚などの精神病性または躁病の症状、視覚障害の症状(調節障害、霧視)も報告されているため、注意が必要です。
コンサータ®︎錠の薬価と添付文書
コンサータ®︎錠の薬価は、コンサータ®︎錠18mg1錠当たり344.1円※、同27mg錠1錠当たり381.2円※、同36mg錠1錠当たり410.1円※です。発売当初は18mg製剤と27mg製剤の2規格でしたが、2014年5月より36mg製剤が追加されたことにより、全ての用量において1~2錠の服用で用量の調整が可能となりました。
※いずれも2021年1月時点の薬価です
コンサータ®︎錠を服用する患者さまへの服薬指導の仕方
コンサータ®︎錠は中枢神経刺激作用を有しており、その作用は服用後12時間持続するように設計されています。そのため、就寝時間等を考慮し、午後の服用を避けることが求められています。服用を忘れた場合においても、気づいた時点が午前中であればすぐに当日分を服用しますが、午後であれば服用せず、翌朝いつもの時間に1回分を服用するように指導します。
徐放性製剤であるため、かみ砕いたり、割ったり、溶かしたりせずに、必ず飲み物と一緒にそのまま服用するように指導することも重要です。浸透圧による薬物放出制御システムを利用していることから、糞便中に外皮および内部の不要性成分が排泄されるおそれがあることや、吸湿により薬物放出挙動が影響を受ける可能性があるため、服用直前までPTPシートから取り出さないことも指導します。
また、コンサータ®錠は、不適正な使用による依存や乱用のリスク、不適切な流通が懸念されていることから、登録システムを用いた流通管理が求められています。2019年12月2日より運用されている「ADHD適正流通管理システム」への登録の方法や調剤の流れについては、以下の記事を参照してください。
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薬剤師として正しい知識を身につけておこう
この記事では、コンサータ®︎錠の効果や副作用、薬価、服薬指導の方法について解説してきました。現在では注意欠陥/多動性障害(AD/HD)に対する治療薬も増えており、コンサータ®︎の他にもストラテラ®︎(アトモキセチン塩酸塩)やインチュニブ®︎(グアンファシン塩酸塩)※なども使用されています。
これらの薬剤を処方する医師や施設は限られているため、勤務する施設によっては調剤する機会がない場合も多いですが、薬剤師として知識を身につけておくとよいでしょう。
※小児期の適応のみ
「コンサータ®︎錠」添付文書
ファルマラボ編集部
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