- 公開日:2021.06.02
健康サポート薬局研修とは?内容や必要な手続きなどを解説
かかりつけ薬剤師・薬局の機能に加えて、OTC医薬品や健康食品から、介護や食事、生活に関することまで気軽に相談できる「健康サポート薬局」の需要が高まっています。健康サポート薬局として届け出を行うためには、所定の要件を満たした研修を受講する必要がありますが、平成28年度より施行された比較的新しい制度であり、取得するための要件や手順についての情報も少ないのが現状です。
この記事では、健康サポート薬局の取得を目指す薬剤師に向けて、研修の詳しい内容について解説していきます。
健康サポート薬局とは
「健康サポート薬局」とは、薬に関するあらゆる相談に応じる「かかりつけ薬剤師・薬局」の機能に加えて、OTC医薬品や健康食品、食事、衛生指導、介護など、健康に関するあらゆる相談に応じ、積極的な健康サポート機能を有する薬局のことを指します。
健康サポート薬局となるためには、厚生労働大臣が定めた一定の基準を満たし、都道府県に届け出を行わなければなりません。医療機関、地域包括支援センター、訪問看護ステーション、市町村保健センター、そのほかの行政機関などと連携体制の構築、さらに研修を修了した薬剤師の配置、土日の開局、地域住民の健康維持・増進の支援などあらゆることが求められます。
健康サポート薬局研修とは
健康サポート薬局になるためには、薬局薬剤師として5年以上の経験がある薬剤師の常駐、土日の開局など、厚生労働大臣が定めた様々な基準を満たす必要があります。その1つが、健康サポート薬局に関連する研修の修了です。
ここから、健康サポート薬局研修の概要、参加資格、費用、研修内容、手続きなどについて解説していきます。
参加資格
健康サポート薬局の届け出を行っている、いないにかかわらず、薬局で働く薬剤師であれば研修の対象になります。ただし、薬局での実務経験1年以上を要件とする研修実施機関が一般的です。
研修の受講を証明する研修修了証は、実務経験5年以上でなければ発行されない場合も多いため、実務経験の条件を満たしてから受講することをおすすめします。
研修内容
健康サポート薬局研修は、技能習得型研修(集合研修会)と知識習得型研修(e-ラーニング)の2二つに大別されます。
■技能習得型研修(集合研修会)
全8時間の講義形式で、おもに以下の内容について学びます。
1 健康サポート薬局の基本理念(1時間)
2 薬局利用者の状態把握と対応(4時間)
3 地域包括ケアシステムにおける多職種連携と薬剤師の対応(3時間)
また、受講証明書を発行してもらうためには、理解度確認のためのレポートを提出する必要があります。レポートの内容や受講態度が適切であったかを判断されたうえで、技能習得型研修は修了です。
なお、現在は新型コロナウイルス感染拡大の影響によりオンラインで実施している機関もあるので、希望に合わせて選択しましょう。
■知識習得型研修(e-ラーニング)
資料を見ながら以下について学んでいきます。所要時間は全22時間です。また、項目ごとに理解度確認テストが実施されます。
1 地域住民の健康維持・増進(2時間)
2 要指導医薬品等概説(8時間)
3 健康食品、食品(2時間)
4 禁煙支援(2時間)
5 認知症対策(1時間)
6 感染対策(2時間)
7 衛生用品、介護用品等(1時間)
8 薬物乱用防止(1時間)
9 公衆衛生(1時間)
10 地域包括ケアシステムにおける先進的な取組事例(1時間)
11 コミュニケーション力の向上(1時間)
受講料
研修の受講から修了までに、以下の費用がかかります。
以下の場合は、別途費用がかかります。
研修受講~修了までの流れ
STEP①受講申し込み各都道府県で開催される研修会日程を参照して申し込みます。
STEP②研修の受講技能習得型研修と、知識習得型研修をそれぞれ受講し、受講証明書を取得します。
STEP③研修修了証の発行各研修期間が定めた必要書類などを提出します。
STEP④研修修了証の交付研修実施機関から研修修了証が発行されます。修了証は、研修を受けた機関からのみ発行されるので注意が必要です。
研修修了証の更新について
健康サポート薬局の研修修了証は、発行から6年間に限り有効です。有効期限が切れると、健康サポート薬局の届け出を取り下げなくてはなりません。
引き続き届け出を行いたい場合は、有効期限の2年前から期限内に、技能習得型研修のうち「地域包括ケアシステムにおける多職種連携と薬剤師の対応」再度受講する必要があります。
なお、有効期限内に更新申請の手続きを行なわなかった場合は、改めてすべての技能習得型研修と知識習得型研修を受講し、修了証を取得しなければならないため注意しましょう。
研修受講の注意点
健康サポート薬局研修の注意点として、代表的なものを解説していきます。
勤務先薬局の都道府県が変更になった場合の対応は?
厚生労働省により、技能習得型研修の「地域包括ケアシステムにおける現状と薬剤師の対応」研修については、勤務する薬局の都道府県で受講するよう定められています。
そのため、勤務先の都道府県が変わった場合は上記研修の再受講が必要です。
薬局での実務経験が5年以下の場合は?
健康サポート薬局では、薬局薬剤師として5年以上の実務歴を有する薬剤師の常駐が求められます。そのため、研修修了時点で実務経験が5年未満の場合には研修修了証は発行されず、5年経過後に改めて発行申請が必要です。
複数の機関にまたがって健康サポート薬局研修の受講はできるか?
健康サポート薬局研修は複数企業や団体が実施していますが、すべての課程について同じ研修実施機関のもとで受講することを要件としています。
また、研修修了証を更新する場合も、初回と同じ機関の研修を受講する必要があるため注意が必要です。
健康サポート薬局を目指し、患者さまの身近な存在に
この記事では、健康サポート薬局の取得を目指す薬剤師に向けて、概要や研修制度について解説してきました。健康サポートに必要な専門知識を習得した薬剤師が常駐する健康サポート薬局は、日頃の健康管理に対する意識が高まる昨今、さらに需要が増しています。
また、2019年に公布された改正医薬品医療機器等法(薬機法)により、「地域連携薬局」と「専門医療機関連携薬局」の二つの認定制度が、2021年8月から施行されます。地域連携薬局と健康サポート薬局には共通する部分も多く、混同されやすいため、それぞれの制度の違いをしっかりとおさえておきましょう。
ファルマラボ編集部
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