- 公開日:2020.03.16
『在宅療養支援認定薬剤師』って?資格内容や申請方法、取得するメリットをご紹介【薬剤師の資格入門】
超高齢化社会を迎えようとしている今、「在宅医療」の需要が高まっています。在宅医療とは、医師や看護師、薬剤師などの医療従事者が連携して患者さまの自宅を訪問し、治療やケアを行うサービスのことを表します。そのなかでも医薬品の専門家である薬剤師の活躍が期待されており、在宅に精通した薬剤師を認定する資格「在宅療養支援認定薬剤師」が注目されているのです。
この記事では、【在宅療養支援認定薬剤師とは?/資格内容や申請方法/取得するメリット】などについて解説していきます。
『在宅療養支援認定薬剤師』とは?
在宅療養支援認定薬剤師とは、一般社団法人 日本在宅薬学会が認定を行う専門薬剤師資格の一つ。在宅療養を必要としている患者さまに薬剤師の専門性を活かした医療・介護を提供し、在宅支援チームの一員として国民の保健・医療・福祉に貢献できる薬剤師が取得できる制度です。医薬品のスペシャリストとして力を発揮している薬剤師が、在宅療養支援認定薬剤師の資格を取得し、在宅医療で活躍することが期待されています。
『在宅療養支援認定薬剤師』が必要な背景
団塊の世代が2025年には後期高齢者(75歳以上)となり、その人口は2,000万人を超えると推計され、40年後には全人口の約1/4にあたる2,400万人に達するといわれています。一方で、国は伸び続ける医療費を抑制するために、病院のベッド数削減や入院期間の短縮を行うようになりました。そこで、退院した患者さまを受け入れるための在宅医療の整備がすすめられているのです。
在宅医療とは、自力での通院が困難な患者さまのもとに医師や看護師、薬剤師などの医療従事者が定期的に訪問し、治療・看護・健康管理などを行うサービスのこと。自宅にいながら専門家による医療サービスを受けられることから、外来・入院に次ぐ第3の医療として注目を集めています。家族や施設のスタッフも、通院・介助の負担が軽減されることから、在宅医療を選択するケースが増えています。
しかし、在宅医療にもいくつかの問題があります。その一つが、「医薬品の管理」です。高齢者は複数の疾患をかかえている場合も多く、何種類もの薬剤を服用しているのが一般的でそれにより薬の飲み合わせで副作用が起きることも少なくありません。このようなことが原因で、服薬コンプライアンスやアドヒアランスの低下が問題となることもあります。薬剤師は医薬品の専門家として、ほかの医療職種と情報共有を密にしながら、チーム医療の一員として力を発揮していかなくてはなりません。そのようなニーズに対応するために、在宅療養支援認定薬剤師が必要となるのです。
『在宅療養支援認定薬剤師』になる条件
在宅療養支援認定薬剤師になるためには下記のすべての条件を満たさなくてはなりません。
1.日本国の薬剤師資格を有し、3年以上の薬剤師実務経験があること
2.薬剤師認定制度認証機構により認証された生涯研修認定制度による認定薬剤師
日本病院薬剤師会生涯研修認定薬剤師または日本医療薬学会認定薬剤師であること
3.所定の研修講座受講により、35単位以上の研修単位を取得していること(※1)
4.在宅業務の実践による5事例の報告を提出すること(※2)
5.日本在宅薬学会主催の学術大会に参加していること
6.バイタルサイン講習会を受講していること
『在宅療養支援認定薬剤師』の取得方法
上記の条件を満たしたのち、書類選考・筆記試験・面接を受け、それぞれに合格して登録料10,000円(2019年10月時点)を納付することで、認定薬剤師として登録されます。
書類選考では、認定申請書や研修記録内容、取得認定単位・受講証明書、事例報告書などが審査され、筆記試験では、e-learning講座、在宅医療のKEY&NOTE(薬ゼミファーマブック発行)、バイタルサイン講習会、認定セミナー、時事などを出題範囲として、「在宅療養支援認定薬剤師として理解していて欲しいこと」が問われます。
更新の場合、所定の研修講座受講により各年5単位以上、合計30単位以上の単位を取得していることが必須。認定申請書、認定薬剤師手帳、薬剤師免許証の写し、認定薬剤師証の写し、認定審査料10,000円(振込証明書の写し)、日本在宅薬学会主催の学術大会参加証の写しおよび所定の様式による5事例の事例報告書を提出し、審査を受けることで認定されます。
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▼参考サイトはコチラ>
一般社団法人 日本在宅薬学会
▼資格の要綱はコチラ>「在宅療養支援認定薬剤師要綱 細則」
未来を見据えスキルアップを
この記事では、在宅療養支援認定薬剤師について、資格内容や申請方法、取得するメリットについて解説しました。病院で療養するよりも、住み慣れた自宅や仲間のいる施設で療養することは、患者さまやその家族にとっても大きな価値があります。そうしたなかで、良質な在宅医療を実現するためには、医師や看護師による治療や看護に加えて、薬物療法の専門家である薬剤師によるサポートが必要不可欠です。
高齢化に伴い、在宅医療の需要はさらに増えると予想されます。そうした未来を見据えて、市場価値を高めるために、在宅療養支援認定薬剤師の取得を検討してはいかがでしょうか。
ファルマラボ編集部
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