- 公開日:2016.10.07
薬剤師のクレーム対応のポイント
薬剤師として働く中で、患者さまからのクレームは避けられません。クレーム対応のポイントと意識したい注意点を見てみましょう。
■患者さまの立場に立って話しましょう
薬剤師のクレーム対応を通して意識したいポイントは、患者さまの立場に立って考えることです。
具合が悪いときに長時間待たされたり、窓口が混み合っていたりしたとき、自分ならどう感じるでしょうか。あとどの位待てばいいのか知りたくて、窓口の薬剤師に聞くはずです。体調の悪さと早く帰りたい気持ちが相まって、強い口調になってしまうケースも考えられます。
そんなときに「順番に処理しています」などと事務的な対応をされたら、さらにいらだち、薬局に不満を感じるはずです。
薬剤師自身に落ち度がないことは明白でも、まず受け入れる気持ちを持って「お待たせして申し訳ありません」の一言を添えましょう。この心配りが、もっとも大切なクレーム対応のポイントとなります。
■相手の言い分を最後まで聞きます
相手の考えを正しく理解しないことにはクレーム対応が進まないので、まず最後まで話を聞きましょう。傾聴の姿勢で聞くと相手がどんなことを不満に感じていて、どのようなクレーム対応を求めているのかわかります。傾聴とは受動的に耳を傾ける姿勢を指す言葉で、コミュニケーションのベースとなります。
以下4つのポイントを意識しつつ、患者さまの訴えを聞きましょう。
- うなずきながら聞く
- 途中で口を挟まない
- 言っている言葉をオウム返しする
- 大きくリアクションする
クレーム対応している途中で口を挟まず、うなずきながら最後まで聞きます。途中でオウム返しをするのはコミュニケーションの上級テクニックで、よく話を聞いている印象を与えます。リアクションはやや大きめで、相手にわかりやすいほど効果的です。一通り自分の言い分を話すと満足する方もいるほどなので、クレーム対応が苦手な薬剤師こそマスターしましょう。
■状況次第で毅然とした対応が必要です
クレーム対応というと自分たちの非を認めるところにポイントを置きがちですが、毅然とした対応が必要な場面もあります。
たとえば、複数医療機関から処方せんを受け取った患者さまの場合です。重複する効能のお薬が入っていた場合に各医療機関から疑義照会したうえで組み合わせを考えるのが薬剤師としての義務と言えます。このときに「全ての薬を渡してほしい」とクレームがきたらどうでしょう。薬剤師の職務内容と義務を説明したうえで理解を求めるのが、正しいクレーム対応方法です。
最終的に患者さまの納得がいく答えにならなかったとしても、薬剤師としての職務に反する言動は慎む必要があり、法的根拠、立ち位置を明確に説明する必要があります。自分の要求だけを通そうと騒ぎ、他の患者さまより有利な立場に立とうとする患者さまに対しても同様です。時には毅然とした態度で接し、交流を深める必要があると心得ましょう。
■ホスピタリティを持って接しましょう
医療機関とは言ってもサービス業のひとつであって、患者さまを一人の人間と考えたホスピタリティあふれる対応が求められます。自分が大切にされていると感じた相手に対して嫌な印象を持つ人はいないため、クレーム対応がスムーズになり、無理な要望や主張も減っていきます。言葉遣いや身だしなみなど基本的な事柄から自分を客観的に見つめ直し、患者さまの満足がいく対応ができているか考えましょう。
クレーム対応が良かったことがきっかけで信頼を得て、継続的に通ってくれるお客さまとなる状況が理想です。相手が患者さまであってもドクターであっても人対人の交流がベースとなり、相手の心理状態を読み取った対応が求められます。
不快な気持ちにさせないために、自分は何ができるのか考えると、クレーム対応方法が見えてきます。クレームを受けたときこそサービスの質を見直すひとつの好機と考えて、自分自身のあり方を見つめ直すといいでしょう。
■(まとめ)薬剤師のクレーム対応のポイント
1.患者さまの立場に立って話しましょう
患者さまの立場に立って話ができるようになると、クレーム対応がスムーズです。自分が同じ状況だったらどう感じるか考えたうえで、適切なクレーム対応を意識しましょう。
2.相手の言い分を最後まで聞きます
クレームを言っている方の話の腰を折ると、消化不良の気持ちを抱かせることになります。まず「この人は気持ちをわかってくれる」と感じさせることが重要で、コミュニケーションスキルを磨きましょう。
3.状況次第で毅然とした対応が必要です
クレーム対応のベースは受け入れることだとしても、毅然とした対応が必要とされるシーンもあります。薬剤師としてあるべき姿を考えて、できないことは断る、もしくは説明する態度をとりましょう。
4.ホスピタリティを持って接しましょう
相手の立場に立って考えるということを突き詰めると、ホスピタリティにつながります。薬局もサービス業のひとつと考えて、患者さま一人ひとりを大切に、心を込めた対応を意識しましょう。
ファルマラボ編集部
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