薬局探訪
2019.10.04

株式会社龍生堂本店<薬剤師インタビュー>

株式会社龍生堂本店<薬剤師インタビュー>

店長/採用・教育担当 今泉隆行さん
龍生堂薬局大久保店/地域医療連携室 主任 関下禅美さん

地域包括ケアの入り口として、いつでも入りやすい"大きめの薬局"です。面倒見のいい薬剤師が揃っています。

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▲取材先:クスリの龍生堂薬局 大久保店

龍生堂薬局は、創業86年の歴史を誇り、新宿を中心に31店舗※を展開しています。地域に密着しており知名度が高いこと、地域包括ケアの入り口として一人ひとりの患者様とお付き合いが長いことが特徴です。(※2019年8月現在)

そんな同社は、勤続年数の長い社員が多く、「教えたがり」の文化が定着しているのだとか。今回は、薬剤師と本部の仕事を両立している、薬剤師の今泉隆行さんと関下禅美さんにお話を伺いました。

創業86年、新宿を拠点として31店舗を展開する「龍生堂薬局」


最初に会社の紹介をお願いします。

今泉さん:龍生堂薬局は、新宿を中心に31店舗を運営しています。新宿を起点に、JR各駅や私鉄駅に出店しているのが特徴です。店舗は、"大きめの薬局"といった感じで、調剤業務を軸としている一方で、化粧品や日用雑貨品まで取り扱っています。創業1933年と80年を超える歴史があり、ずっと地域に密着した薬局として活動を続けてきました。おかげさまで、患者さまと長いお付き合いをさせていただいていることは大きな特徴だと思います。

ちなみに、『龍生堂』という名前の由来は、当時販売していた胃腸薬「龍生散」と、商売繁盛につながる「隆盛」に願をかけてつけられたんですよ。

次に、お二人の自己紹介をお願いします。

今泉さん:新卒で入社し、今年で17年目です。東大和市にある桜ヶ丘1号店と2号店の店長をしています。いずれも桜ヶ丘団地内にある店舗で、1号店は調剤に特化しており、2号店は物販も行なっているのが特徴です。さらに、本社での採用と人材教育も担当しています。

関下さん:私も新卒で入社しました。現在は、龍生堂薬局大久保店に勤務しながら、2016年に開設された地域医療連携室の仕事もしています。「地域医療連携室」は、医師・看護師・介護職の方々と連携し、地域にお住まいの患者さまのサポートを推進する部署です。

龍生堂に入社を決めた理由について教えてください。

今泉さん:「薬剤師として幅広い仕事がしたい」と思っていました。そんな時に、調剤だけでなく、OTCや物販などを早くから手掛けている龍生堂を知り、ここでなら希望が叶えられそうだと入社を決めましたね。現在は、採用や教育の分野に携われており、恵まれた環境で働くことができていると思います。

関下さん:同じく、「仕事の幅を広げたい」と思っていたので入社しました。また、新宿を中心とした店舗展開により、勤務地は通勤1時間以内の店舗と言うのも大きかったです。さらに、店舗数も多過ぎず、社員同士の交流が盛んなところも魅力でした。長く薬剤師の仕事を続ける上で、とても良い環境だと思います。

お二人のように、新卒で長くお仕事をされる方が多いのでしょうか?

関下さん:そうですね。新卒入社の社員が、長く勤務しているケースが多いと思います。研修に来た学生さんが、そのまま入社するケースも多いですね。もちろん、中途採用の薬剤師も働いているので安心してください。面倒見のいい薬剤師が多いので、早く職場に溶け込めることができるのが特徴だと思います。

AIなどの導入により、薬剤師でないとできない仕事に集中


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1日の仕事の流れを教えていただけますか。

関下さん:大久保店の場合、10時から21時が営業時間です。そのため、薬剤師は10時-19時の早番と、12時-21時の遅番のシフト制になっています。勤務時間中、主に外来の対応をしますが、午後は在宅の患者さまを訪問することが多いですね。営業時間は店舗によって変わるので、希望があれば相談することをオススメします。

ちなみに、龍生堂薬局は、薬剤情報システムや調剤監査システムが充実しているのが特徴です。薬歴もAIを導入し、音声入力で作成できるようになっています。タイピングで記入するよりも早く終えることができるんですよ。機械化できることは積極的に機械化を進めています。その上で、患者さまとのコミュニケーションなど、人でしかできないことに力を入れていますね。

機械化によって効率化を図っているのですね。他に、どのような特徴があるのでしょうか?

関下さん:地域包括ケアの入り口となるように、「患者さまが入りやすい薬局であること」を心がけています。たとえば、身体の不調を感じた時、病院に行くまでもないが、専門家に話を聞きたいことがありますよね。そうした時に、最も身近な医療従事者は薬局薬剤師です。気軽に相談していただける関係性を築きたいと思っています。そうした関係性の構築は、セルフメディケーションの意識づけにも大きな役割を担っているのではないでしょうか。

また、OTC薬品はもちろん、介護用品などの生活必需品のアドバイスができるのも、薬局で働く薬剤師ならではの特徴と言えるでしょう。こうした役割を重視して、地域の方の健康に貢献する店舗運営をしています。だからこそ、地域を絞って展開し、無理に店舗数を増やすことはありません。

"地域の方の健康に貢献する"とのことですが具体的に何をしていますか。

関下さん:日々の業務においては、薬以外の分野に関する相談にも乗るようにしています。そうすることで、患者さまの健康そのものをサポートしているんです。また、地域における健康意識を高めるために、公民館などでイベントを開催することも。さらに、龍生堂は歴史が長いので、新宿区と連携した施策を行うこともありますよ。

様々な取り組みの中で、薬剤師にはどのような努力が必要なのでしょうか?

関下さん:来局される方からのどんな質問にもお答えできるように準備しています。

たとえば、私は『おむつフィッター』という資格を取得しました。排泄の困りごとに対して、おむつを含む排泄用具はもとより、医療・住環境・食事など幅広い視点からアドバイスできる資格です。資格を取得し、知識を深めたことで、ご本人や介護者に有益なアドバイスをすることができるようになりました。

このように、資格取得や外部研修などで得た知識は、社内研修などを通して各店舗に共有しています。ほかにも、たとえば取り扱いのある殺虫剤は、製品によって特徴や成分が異なるので、メーカーの担当者を招いて勉強会を開いてもらうことも。このように、学ぶ機会を持つことにより、様々な質問にもお答えできるようにしています。

患者さまを第一に努力されているのですね。そんな龍生堂をどんな社風と感じていますか。

今泉さん:先ほど述べたように、自分が学んだことを周りに広めようと取り組む薬剤師が多いですね。「教えたがりの先輩」がたくさんいる環境ではないかなと思います。人を育てることで、自分の仕事が広がる、そんな意識が社内に浸透しているのではないでしょうか。

また、定期的に社内研修があるので、他の店舗の薬剤師との交流も盛んです。多すぎない店舗数だからこそ、顔の見えるコミュニケーションができるのだと思います。


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▲大久保店の調剤室


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▲薬歴の音声入力システムを導入するなど効率化に取り組んでいる


プレかかりつけ薬剤師制度で患者様との信頼関係を構築


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在宅医療やかかりつけ薬剤師については、どのように取り組んでいますか。

関下さん:地域の方の健康に貢献するという企業姿勢は創業から変わりません。そのため、制度ができる前から、患者さまに信頼されるよう取り組んできました。患者さまのご自宅にお薬をお届けすることも以前より続けている取り組みのひとつです。

現在、大久保店では約150名の患者さまを担当しています。都心は自転車で、郊外は自動車で、患者さまの元に足を運んでいます。医師や看護師など医療従事者と連携を取ることにより、充実したサポートを実現しています。

すでに十分な実績もあるのですね。そのための工夫などはあるのでしょうか?

今泉さん:特徴的なものは、「プレかかりつけ薬剤師」という制度だと思います。こちらは、1~3年目の薬剤師を対象に、患者さまとご相談の上で担当として対応させていただく制度です。あくまで社内制度であり、点数がつくわけではなく、いわばお試し期間のようなもの。この期間に患者さまと信頼関係を築けば、スムーズにかかりつけ薬剤師になれるという流れをつくっています。いきなり患者様に、「かかりつけ薬剤師にしていただけませんか?」とお話をしても同意を得るのは難しいですからね。

丁寧すぎるくらい面倒見のいい先輩ばかり


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龍生堂ではどのような教育や研修を行っていますか。

今泉さん:新卒入社の場合、1年目は集合研修とOJT研修が用意されています。翌年以降も、キャリアに応じた研修が受けられる環境です。研修以外では、資格取得のサポートもありますよ。具体的には、地域活動薬剤師、学会発表薬剤師、実務実習指導薬剤師、各種認定薬剤師、研修認定薬剤師などの資格も取ることができます。

仕事は、薬局内での調剤業務だけでなく、在宅業務にも携わることが出来る環境です。キャリアは、管理薬剤師→店長→エリアマネージャーの順にステップアップするのが通例ですね。

関下さん:珍しいものだと、アメリカで行う研修もありますよ。一部の薬剤師が対象ですが、これからの薬局はどうあるべきかを考えるために、社長と一緒になって海外の薬局を視察するもの。最先端の現場を知れますし、トップと話をする貴重な機会でもあり、非常に勉強になりました。

研修制度などが手厚く用意されているのですね。次に、採用活動について教えてください。

今泉さん:主に新卒採用が多いですが、人材紹介会社様を通した中途採用も行なっています。まずは店舗を見学し、適性検査を受けていただき、面接をして双方納得が出来たらご入社していただく運びとなります。

中途入社者の方は、経験や知識に応じて研修を受けていただきます。面倒見がいい先輩が多いので、すぐに打ち解けることができると思いますよ。分からないことがあれば、身近な先輩に質問してみてください。きっと、丁寧すぎるくらい細かく教えてくれるでしょう。

ちなみに、働く上でのサポートはいかがでしょうか?

今泉さん:育休・産休の取りやすさが特徴的です。常時、社員の15%ほどが育休・産休、時短勤務を活用して無理なく働いています。育休・産休を取ることが当たり前といった環境なので、その穴を補い合うことも当たり前。助け合いが根付いていて働きやすいと思います。

これからの薬剤師は、カウンセリング力が重要


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これからどのような薬剤師が求められてくると思いますか。

今泉さん:物から人へと言われるように、患者さまとのコミュニケーションがより重要になってくると思います。患者さまの生活シーンを思い浮かべ、どうすればよりその人のためになるのかを考えることが薬剤師に求められるのではないでしょうか。だからこそ、お悩みを真摯にお聞きして、適切なアドバイスができるカウンセリング力が重要になると思います。

そうした中で、御社が求める人材像や御社に合う人材像を教えてください。

関下さん:地域の方の健康に貢献したいと考える方が合っていると思います。大切なのは、地域に溶け込むこと。お薬を届けに行く途中で、患者さまにお会いすることもありますから、そうした時に気持ちよく挨拶ができるような人が向いているのではないでしょうか。

今泉さん:たとえば、私が店長を務めている桜が丘店は、団地の中にあり患者さまの殆どと顔見知りになります。すぐ傍で暮らす身近な方々の健康をサポートしたい、という想いを抱く方には合っている職場だと思いますよ。

御社を表現するキャッチフレーズを教えてください

今泉さん:「面倒見のいい薬剤師がいるいつでも入りやすい"大きめの薬局"」でしょうか。ドラッグストアでもなく、調剤薬局でもない規模感が、地域包括ケアの入り口として最適だと思います。患者さまの健康を第一に考えて、喜んでいただけるサポートができている職場だと思いますよ。

最後に、転職・入社をご希望の方へのメッセージをお願いします。

今泉さん:薬剤師として、幅広く仕事ができる環境です。「地域の健康に貢献したい」という意欲をお持ちの方、是非一緒に仕事をしましょう。

関下さん:地域医療に貢献したいとお考えの方には最適な職場だと思います。社内の雰囲気にもすぐに馴染むことができると思います。ご応募をお待ちしています。


取材者後記


「2階の本社から1階の店舗に移動するまでに、3.4人の患者さまからお声がけいただくこともあるんですよ。」との言葉に大変驚きました。歩いて1-2分にも満たない距離にも関わらず、たくさんの患者さまからお声がけをいただくほど、龍生堂様で働く薬剤師の皆さまは地域に根付いているのでしょう。今泉様も関下様も、地域に根差した薬局で働く魅力について語ってくださいました。同社こそ、これから求められる薬局の姿なのではないかと感じた取材でした。


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記事掲載日: 2019/10/04

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