- 公開日:2020.06.23
【薬学部の就活】企業における薬剤師の仕事と働き方
薬剤師の仕事先は病院や調剤薬局だけではありません。医薬品の豊富な知識や資格を活かし企業で働く薬剤師も多く、開発・研究部門や管理部門など幅広い分野で活躍しています。
一般的に病院や調剤薬局とは違った働き方をする場合が多く、自分の知識や経験を大いに活かせる場でもあります。では、実際にどのような企業で薬剤師が働いているのか紹介していきましょう。
企業で働く薬剤師の特徴
消費者の意識が高まり商品の安全性が問われる近年、専門的な知識を活かし「化学メーカー」「食品メーカー」「化粧品メーカー」など、一般企業で働く薬剤師も増えてきています。薬学的見地から商品の開発研究に従事し、安全な製品が消費者に届くよう、その職務を遂行しています。メーカーによっては、薬剤師の資格以外に「調理」「メイク」「色彩」などのスキルを求められる場合もあり、柔軟な発想力が必要となるでしょう。
企業の管理薬剤師は他の職種の中でも残業時間が短いことが多く、人気の高い職種です。 企業によって違いはありますが、年末年始やお盆の休みなど年間休日も多く、調剤薬局やドラッグストアに比べ待遇のよい職場が多いでしょう。
しかし、その一方で、異動による転勤や出張が多いことがデメリットの一つ。企業によっては全国転勤だけでなく海外赴任ということもあるため、生活の負担になってしまうことが考えられます。また、調剤薬局やドラッグストアの仕事と大きく異なるため、業務内容をイメージしにくく、「こんなはずじゃなかった」と後悔してしまうことがあるかもしれません。自分がどんな会社に入って、何をしたいのかをしっかりとイメージして就職活動をすすめていきましょう。
企業で働く薬剤師のおもな職場
化粧品メーカー
化粧品メーカーで働く薬剤師はおもに「開発・研究部門」に所属し、化粧品の新規有効成分を研究し高機能な新素材の開発をすすめます。その後、処方開発・臨床試験・製品検査を行い、化粧品の開発に向けて取り組んでいきます。
化粧品は、効果が期待できる上に、安全性を維持しなければなりません。開発には薬事法などの専門知識が必要となっています。 そのほか、「薬機法関連部門」などに所属する薬剤師は自社製品が、薬事法の基準に沿っているか確認する品質管理、新しい製品の薬事申請など、様々な業務を担当します。また、医薬品等の安全管理(GVP)業務、広告表現の薬事チェック、顧客の問い合わせ対応などを任されることがあるでしょう。 いずれも薬事的な観点が必要であるため、医薬品の正しい知識がある薬剤師の活躍が期待されています。
コールセンター
医療機器メーカーや医薬品卸などにあるコールセンターで働く薬剤師のおもな業務は「カスタマーサポート」です。 医薬品に関する問い合わせに関して適切な情報提供を行い、専門家などからの問い合わせ対応だけでなく、医薬品情報の管理や収集を行う業務を任されることもあります。 そうした問い合わせに対し適切な情報を提供できるように取り組めば、自分自身に高度な知識が身につくでしょう。 研修や勉強会なども充実しており、経験が不十分な方や未経験者の方であっても問題なく活躍できるようになります。
MS
医薬品卸売会社の営業を担当する職種を『MS(Marketing Specialist)』と呼びます。『MS』と混同されやすい職種に、『MR(Medical Representative)』があります。『MS』が医薬品卸の営業担当者を指すのに対し、『MR』は製薬企業の営業担当者のことをあらわします。『MS』のおもな業務は、製薬会社から仕入れた医薬品や医療機器などの様々な商品を、各医療機関に供給することです。また、単に医薬品を販売するだけでなく、薬の有効性や安全性、医療制度、季節性の疾患(インフルエンザ、花粉症等)や感染症の流行状況など、医療機関が必要としている情報提供活動も行います。そのため、医薬品の効果・効能はもちろん、それぞれの製品の特徴や、類似薬との相違点など幅広い知識が必要です。
食品メーカー
食品メーカーも、薬剤師の人気の就職先の一つです。特に、近年は健康志向が高まり、食の安全に対する不安が叫ばれていますので、食品メーカーでは薬剤師の専門的な知識が必要となってきています。原料や添加物の安全性に関する研究、分析業務や、味覚の観点から「おいしさ」を追求していく科学的な研究、食品工場における品質管理業務、食品の企画開発など、薬剤師としての専門性を大いに活かせる職場になるでしょう。
スポーツチーム
スポーツチームで活躍する『スポーツファーマシスト』。ドーピング防止規則に関する深い知識を持ち、スポーツにおけるドーピングを防止することをおもな業務としています。
通常は企業や病院で勤務しながら、都道府県選手団やトップレベルの競技者への情報提供、啓発活動や、学校教育の現場でのドーピングに関する啓発活動などを行っています。スポーツに特化した資格ということで、薬剤師の資格の中では少し特殊ですが、薬剤師として薬学的観点を持ちスポーツに貢献したい方には魅力的な仕事でしょう。ただし、求人数が少ない職種でもあるため、求人情報をしっかりと確認することが必要です。
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まとめ
薬剤師には様々な働き方があります。企業で働く薬剤師は専門的な知識はもちろんのこと、型にはまらない柔軟な思考力を持ち、組織の一員として研究開発に従事していかなくてはなりません。また、最近では国内に多くの外資系企業が進出しており、AI技術を使った開発も盛んになってきています。多くの企業が薬剤師の薬学的知識を必要としていて、今後はさらに専門的な商品開発も進んでいくでしょう。薬剤師として理想の働き方に巡り合えるよう、自分の働き方をイメージしてみるとよいでしょう。
ファルマラボ編集部
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