- 公開日：2020.06.22
【薬学部の就活】製薬会社における薬剤師の仕事と働き方
製薬企業において、新薬の研究開発は膨大な時間と資金をかけて進められる一大プロジェクト。小さな可能性から新薬が開発され、それが消費者の手元に届くまでの間には長い時間と労力を要します。しかし、そこで働く薬剤師にとって新薬を世に送り出すという仕事は何物にも代えがたいやりがいとなるでしょう。
今回は、製薬会社ではどのような薬剤師が活躍しているのか、それぞれの職種の特徴について詳しく説明していきます。
製薬会社の特徴
製薬企業では、医療従事者に医薬品の情報提供とセールスをする「営業職（MR）」、新薬を開発するための実験を行う「研究職」や、臨床試験を行う「開発職」など様々な職種の薬剤師が活躍しています。医薬品の専門職である薬剤師にとっては、まさにホームグランドのような環境ですね。
製薬会社で働くメリットとして福利厚生が充実していることがあげられます。研修制度、産休、育時休暇などの制度もしっかりしています。病院や調剤薬局、ドラッグストア勤務とは異なり、年末年始の休みや大型連休などの長期休暇が取りやすいのも特徴です。また、年収が高いことも製薬会社で働くメリットの一つ。大手製薬会社の場合は経営基盤も安定していて、景気に左右されることは少ないでしょう。
しかし、デメリットとなる点もいくつかあげられます。 研究職や開発職において、新たな成分を発見したり開発したりするためには、気が遠くなるほどの実験や研究を繰り返します。そのほとんどは期待通りの結果が出ない実験や研究で、考察と挑戦の繰り返しです。 新たな製品を生み出すためには研究費の確保が必要であり、失敗を繰り返しても挑戦を続けていく強い心が必要でしょう。もう一つ、デメリットとしてあげられるのは「転勤」があることです。 特にMRなどの職種は2年〜3年ほどのサイクルで勤務先が変わる可能性があります。家庭によっては単身赴任することも考えられ、大きなデメリットとなるでしょう。 また、開発職や研究職も、全国で開催される学会への参加、地方での研修、MRと病院へ同行して医師との面談を行うなど、他の業種に比べて出張の機会は多くなります。
製薬会社のおもな職種
ＭＲ
製薬会社の営業や広報を担当する職種を『MR』（Medical Representative）と呼びます。 患者さまの安全を確保するために、医薬品に関する情報を医師や看護師などの医療従事者へ提供し、医療現場からの情報を受けて会社に伝えるといった医薬品の適正使用を促すのがおもな業務です。また、自社製品を普及させるという目的があるため、有効性や安全性を正しく理解し、わかりやすく説明する専門的な知識が必要となります。
研究職
製薬会社にはさまざまな職種がありますが、その中の一つが医薬品の研究と開発に携わる「研究職」です。 薬の成分を患者さまが服用しやすい錠剤や注射液等の形にする「製剤研究」や副作用・発がん性について調べる「薬理研究」など、基礎から臨床まで幅広い研究を実施します。 製薬業界では、一つの薬を作り出すことに長い期間や、高額な予算をかけることが当たり前となっているため、目標を持ち辛抱強く取り組むことができる人に向いている職場です。
開発職
医薬品としての可能性が認められた化合物について安全性や人体への有効性を臨床試験（治験）で調べます。人命を左右する医薬品を世に送り出すキーパーソン的職業といえるでしょう。治験業務の内容に関しては、立案・モニタリング・進捗報告や担当医師との打ち合わせなど、営業職のようなバイタリティーが求められます。
CRA
臨床開発モニターは、『CRA（Clinical Research Associate）』と呼ばれる治験に携わる職業で、製薬会社など依頼者側をサポートします。治験を行う医師や医療機関の選定をはじめ、臨床試験が正しいプロセスで進行しているかの確認、報告書の作成といった一連のモニタリング業務を行います。CRAの働き方は、製薬企業の社員として働く方法と、「CRO(Contract Research Organization)」と呼ばれる医薬品開発受託機関に所属し、派遣先で働く方法があります。
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まとめ
製薬企業の一員として新しい医薬品を生み出していくことは、薬剤師にとって大きな喜びとなるでしょう。製薬会社に就職を考えている方は、薬学部在籍中に行った実習や研究の経験を最大限に活かし、それを製薬企業で役立てていけるようイメージすることが大切です。また、多種多様な専門家の間に立ち、コーディネーターとして活躍する場も多くあるのでコミュニケーション能力や語学力を身につけておくのもよいでしょう。
