- 公開日:2018.08.22
年収を上げたい薬剤師必見!職場選びのポイントと必要なスキルセットは?
同じ薬剤師免許を持っていても収入は人それぞれ。年収700万円の人もいれば、年収400万円の人もいます。できることならば、高い年収を目指したいですよね。同じ資格を持つ仕事なのに、なぜ年収に大きな差が出るのでしょうか?ポイントは、「職場選び」と「スキルの違い」にあります。
この記事では、今後、薬剤師が直面するであろう課題や問題にも触れながら、年収を上げるために必要なポイントをご紹介していきます。
気になる薬剤師の年収!まず全体の平均はいくら?
まずは、厚生労働省の賃金構造基本統計調査のデータを参考に、2017年の薬剤師全体の平均年収を見てみましょう。
- 薬剤師全体の平均年収:約544万円
- 男性薬剤師の平均年収:約575万円
- 女性薬剤師の平均年収:約526万円
平均と比べて、あなたの年収はどうでしたか。もし現状に不満があるなら、これから紹介する職場とスキル別に紹介した年収ランキングを参考に、転職を検討してみましょう。
業務別!薬剤師年収ランキング
薬剤師の職場は、病院や調剤薬局、ドラッグストアなどさまざま。実は同じ薬剤師でも、職場が変われば支払われる給料も変わってきます。ここでは、それぞれの業務別の年収や仕事内容、求められるスキルについてみていきましょう。
▼病院
病院薬剤師の平均年収は、350万円〜600万円程度。病院薬剤師は専門性の高い知識が求められ、調剤薬局やドラッグストアとは違った業務を経験することができます。
病院薬剤師がほかの職場の薬剤師と違う大きな点は、チーム医療の一員として働けること。医師や看護師、その他の医療従事者と上手く連携しながら業務を進めるスキルが求められます。そのため、病院薬剤師の業務内容は多岐に渡ります。
たとえば、外来患者さまの調剤業務に加え、注射薬の調剤や入院患者さまの薬の管理やケア。また、医薬品情報の取り扱いや、医薬品の投与量・副作用・相互作用に関するデータを収集して蓄積する「医薬品情報室部署(DI室)」という部署も存在します。さらには、治験業務を実施する業務も。
求められる業務内容に対して年収が高い職場とは言いづらいですが、チーム医療の一員として、患者さまに一番近い場所で薬剤治療にかかわる経験は、他には代え難いものでしょう。
▼調剤薬局
調剤薬局に勤務する薬剤師の平均年収は400万円~650万円程度。店舗によっては残業が無かったり土日の休みが取れたりと、プライベートと両立しながら働きたい人でも、比較的働きやすい労働環境もあります。
調剤薬局の主な業務は、調剤と服薬指導。最近では、在宅医療に力を入れている調剤薬局も多く、患者さまの自宅を訪問して服薬指導をする業務が増えています。
調剤薬局の薬剤師は地域の中で「かかりつけ薬剤師」として貢献することが大切になってきます。そのため、患者さま一人ひとりに寄り添い、速やかに信頼関係を築くスキルが求められます。
▼ドラッグストア
ドラッグストアで働く薬剤師の平均年収は400万円〜700万円程度。ドラッグストアでは、患者さまの健康状況や悩みを聞きながら適切な商品をすすめなければなりません。そのため、高い接客スキルが必要になります。
ドラッグストアの場合、市販薬に加えて日用品や化粧品なども取り扱うことが多いため、「薬剤師としての専門性を磨く」という意味では物足りなく感じる人がいるかもしれません。しかし、医師から指示されたものを処方するタイプの薬局とは違い、薬剤師から直接、患者さまに薬の提案ができるのは、薬剤師としては大きなやりがいにつながります。
ドラッグストアの薬剤師が高年収を狙える理由は、いくつかあります。まず近年、大手スーパーやコンビニエンスストアと業務提携し、ドラッグストアの市場規模が拡大しており、慢性的な人手不足になっていること。どの会社も採用に力をいれているため、給与の水準が高くなっているのです。
また、薬だけでなく幅広い商品を扱うことが、ドラッグストアの経営を安定させ、高い給料が支払われる要因にもなっています。そのほかにも、調剤だけでなくOTC(一般用医薬品)も扱うため、利益率が高いことや、2年に1度見直される診療報酬(医療保険から医療機関に支払われる治療費のこと)の変動の影響を受けにくいことなども、ドラックストアの強みといえるでしょう。
▼製薬会社
製薬会社での研究職やMR(製薬会社の営業・広報担当者)として勤務する薬剤師の年収は、年収550万円~900万円程度といわれています。
しかし、薬価の引き下げやジェネリック医薬品の普及が広がるにつれて、製薬会社の経営状況が変わってきているのも事実。今後、待遇面や採用状況が変わってしまう可能性もあるので注意が必要です。
MRの数が減っていくことが予想される中、専門性の高いスキルを持った分野のMRはまだまだ高い需要があります。特に、がん領域や希少疾患、精神・神経系は売上が伸びている領域。もし、製薬会社でMRを目指すのなら、専門領域に特化できるようになれば高い収入を得ることができるでしょう。
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年収をアップさせるために求められるスキルとは?
薬剤師を取り巻く環境は大きく変化しています。薬学部の増設、処方せん枚数の頭打ち、薬局経営には厳しい診療報酬改定......また、高齢化社会が進んで医療費が膨らみ続けている現状も。国は医療費を抑制するために、薬価の引き下げや在宅医療の推進を行っています。
さらには、テクノロジーの進歩によって業務の機械化が進んでいることも、薬剤師の環境を大きく変える要因になっています。すでに調剤業務や在庫発注業務を機械に任せて、少人数体制を進める薬局も増えてきています。つまりこれまで"売り手市場"と言われてきた薬剤師の立場は変わってきており、今後は過剰になることが予想されるのです。
しかし、薬剤師が余るような事態になっても「付加価値のある薬剤師」であればいつまでも必要とされ、収入アップも期待できます。薬剤師としての付加価値を上げるためには、「他の薬剤師と差をつけるスキル」を身につけることが大切。次の章では、「差をつけるスキル」についてご紹介していきます。
▼マネジメントスキル
マネジメントスキルは、どんな職場でも活かすことができます。部下の薬剤師や事務スタッフをまとめたり、店舗の経営状況を把握したり、医薬品などの管理・保管を行うには高いマネジメント能力が求められます。
マネジメントスキルが高いと、店舗などを管理監督するリーダークラスの"管理薬剤師"や"店長"としても活躍できるため、年収アップにつながりやすくなります。
▼コミュニケーションスキル
IT技術がどんどん発達している現代。これからは「調剤ができる」だけでは、薬剤師として生き残っていくには難しくなってきます。調剤業務の多くが機械に置き換えられる可能性があるからです。
逆に言えば機械では対応が難しいコミュニケーションスキルを磨くことが、薬剤師としての付加価値を持つことにつながるということになります。患者さま自身とのコミュニケーションだけでなく、患者さまの家族・医師・看護師・介護士と円滑なコミュニケーションを取り、信頼関係を築いていくことが必要です。信頼される薬剤師は、いつの時代も重宝されるでしょう。
▼英語力
訪日外国人が増え続ける日本では、外国人が薬局を訪れることは決してめずらしいことではありません。さらに2020年の東京オリンピックではたくさんの外国人観光客が来日することが予想され、都心部だけではなく地方で働く薬剤師も英語を話さなければならない機会が訪れるでしょう。
また、薬剤師に求められるのは"英会話力"だけではありません。最新の医療情報の多くは英語の論文から収集したり、海外の症例報告を読んだりすることで学ぶことができます。英語の読解力が高ければ集められる情報は増え、知識やスキルの格上げにもつながります。英語力をつけることは、今後の薬剤師として大きな強みになるのです。
▼在宅医療についての知識
医療費を抑制するために、現在、在宅医療が政府主導で推進されています。在宅医療ではこれまでの薬剤師業務とは異なる知識や経験が求められるので、他の薬剤師と差をつけることができるでしょう。
たとえば、在宅医療では服薬指導だけでなく、薬の保管状況・食事内容・残薬状況なども含めて、さまざまな指導を行います。また、がん患者さまの在宅医療では無菌調剤が必要となり、薬剤師の中でもさらに専門的な知識が求められます。
在宅医療についての知識や経験の高い薬剤師は、高齢化社会が進むこれからの日本ではますます必要とされ、活躍の場は広がっていくでしょう。
▼「認定実務指導薬剤師」など新たな資格の取得
研修を受けて単位を取得する「認定薬剤師」は、薬剤師ならばすでに「持っていて当たり前」といえる資格。一方、薬学生の実務実習の指導ができる「認定実務指導薬剤師」は、持っていると評価の対象になる資格です。薬学部の増設で薬学生が増えていることもあり、給与に実習指導手当てをつける会社も存在します。
そのほかにも、専門性を高めることで他の薬剤師と差をつけることも可能です。たとえば、「がん専門薬剤師」や「小児薬物療法認定薬剤師」、「栄養サポート専門療法士」、「NR・サプリメントアドバイザー」など、資格は間違いなく強みとなり、年収アップにもつながるはず。興味のある分野の資格を取得し、自身の専門性を高めていきましょう。
年収アップで大切なのは、「職場選び」と「スキルの違い」
年収アップを目指し、考慮したいのが「職場選び」と「スキルの違い」。マネジメントスキルやコミュニケーションスキルは、資格とは異なり、勉強したからといって身につくものではありません。日頃から意識し、経験を積んでいくことが大切です。
また「職場選び」については、転職のプロである人材紹介会社に相談するのもひとつ。きっと、今後の薬剤師の状況を考慮しながら、あなたの希望にあった年収アップできる職場を見つけることができるでしょう。
ファルマラボ編集部
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