- 公開日:2021.12.29
- 更新日:2023-05-16
認定薬剤師にはどのような種類がある?転職に役立つ人気の資格7つを紹介
キャリアアップを目指すために、認定薬剤師の資格取得を目指している方も多いのではないでしょうか。認定薬剤師と一口にいっても、その種類は多岐にわたります。
今回の記事では、そのうち人気の高い7つの資格を取り上げました。特徴などについて詳しく解説しますので、資格取得の参考にしてください。
認定薬剤師の将来性と取得するメリット
まずは、認定薬剤師になることで期待できるメリットを確認しておきましょう。
年収アップなど転職で有利になる
認定薬剤師の資格は、特定分野における高い専門性をもつことの証明になります。転職する際に認定資格をもっていれば、その専門性が認められ、年収アップにつながる可能性が高いと考えられるでしょう。
年収に直接影響しなくても、資格保有者と非保有者とを比較する場合は採用が有利になります。
専門性が他との差別化要素になる
資格は他者との差別化になります。専門性の高い仕事を任されることで、周囲の評価も変わるでしょう。昇給・昇格につながったり、重要なポジションへの打診があったりと、資格はキャリアアップに役立ちます。
かかりつけ薬剤師や管理薬剤師を目指せる
かかりつけ薬剤師になるには、研修認定薬剤師の認定取得が必要です。また、 薬局の管理者である管理薬剤師も認定薬剤師であることが要件になっています。認定薬剤師の資格を取得すれば、こうしたマネジメント的役割を担うキャリアの道が切り拓けるのです。
認定薬剤師の種類は?
認定薬剤師といっても、その種類は様々です。以下にカテゴリ別で各資格をあげましたので、参考にしてください。(2023年5月時点)
カテゴリ | 資 格 |
---|---|
悪性腫瘍(がん) | がん薬物療法認定薬剤師 |
外来がん治療認定薬剤師 | |
緩和薬物療法認定薬剤師 | |
感染症 | 感染制御認定薬剤師 |
HIV感染症薬物療法認定薬剤師 | |
抗菌化学療法認定薬剤師 | |
腎疾患 | 腎臓病薬物療法認定薬剤師 |
内分泌・代謝疾患 | 糖尿病薬物療法認定薬剤師 |
精神疾患 | 精神科薬物療法認定薬剤師 |
産科・婦人科疾患 | 妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師 |
小児科疾患 | 小児薬物療法認定薬剤師 |
救急・中毒医療 | 救急認定薬剤師 |
プライマリ・ケア、在宅医療 | プライマリ・ケア認定薬剤師 |
在宅療養支援認定薬剤師 | |
実務研修 | 日病薬認定指導薬剤師 |
認定実務実習指導薬剤師 | |
その他 | 漢方・生薬認定薬剤師 |
公認スポーツファーマシスト | |
研修認定薬剤師 | |
日病薬病院薬学認定薬剤師 | |
医療薬学専門薬剤師 |
人気の認定薬剤師資格7選
たくさんの認定薬剤師資格のなかから、人気の資格を7つご紹介します。概要や試験内容、必要条件など、興味のある資格があればぜひ確認しておきましょう。
研修認定薬剤師
研修認定薬剤師は一定期間の単位取得により、研修実績を証明するものです。認定を受けることで薬剤師として広く高い専門性を保有すると認められるので、周囲からの信頼性も高まるでしょう。
研修内容は基礎薬学や医療薬学、衛生薬学、薬事関連法規など多岐にわたります。なお、認定を受けるためには薬剤師資格を保有し、4年以内に対象となる研修を受講して40単位以上を取得することが条件です。
がん薬物療法認定薬剤師
がん医療における薬物療法について、専門的な知識を身につけたことを認定されるものです。認定試験を受けるには日本病院薬剤師会の会員であり、薬剤師として3年以上の実務経験(そのうちがん薬物療法に3年以上)をもっていることなど、いくつかの条件があります。詳しくは、認定機関である日本病院薬剤師会のホームページなどで確認してください。
認定試験の範囲は「がんの薬物療法」「抗がん薬の調製に関する項目」「抗がん薬の有害事象と支持療法」「がんの疫学・診断・病期分類」などが含まれます。
緩和薬物療法認定薬剤師
緩和薬物療法認定薬剤師とは、薬物療法によって緩和ケアを行ううえで専門的な知識を有すると認定された薬剤師です。認定試験を受けるには日本緩和医療薬学会の会員で5年以上の実務経験をもち、以下いずれかの資格を保有するなど条件があります。
- 日病薬病院薬学認定薬剤師
- 日本薬剤師研修センター研修認定薬剤師
- 日本医療薬学会医療薬学専門薬剤師
- 薬剤師認定制度認証機構により認証された生涯研修認定制度による認定薬剤師
詳しくは、認定機関である日本緩和医療薬学会のホームページなどで確認してください。試験はCBT試験(テストセンター)で行われます。
感染制御認定薬剤師
感染制御について高い知識や技術をもち、感染症治療について適切・安全な薬物療法を行えることを証明するものです。
認定試験を受けるには日本病院薬剤師会の会員で実務経験を3年以上もち、認定された講習で20時間・10単位以上を履修するなどの条件があります。詳しくは、認定機関である日本病院薬剤師会のホームページなどで確認してください。
認定試験の出題範囲は「感染制御関連の薬剤師認定および法律」「微生物の基礎知識」「留意すべき細菌感染症の基礎知識」などを含め多岐にわたります。
漢方・生薬認定薬剤師
漢方薬や生薬について専門性をもつことを証明する資格です。所定の研修を受け、薬用植物園実習のレポートを提出することで試験を受験できます。
過去の試験では関連文献の作者や生薬名、漢方処方に関する設問などが取り上げられました。認定機関である日本薬剤師研修センターのホームページでは、過去の問題・解答も公開されています。
プライマリ・ケア認定薬剤師
プライマリ・ケアについて専門的な知識や技能を保有し、健康福祉について様々な問題解決に寄与する者として認定されるものです。プライマリ・ケアについて、1996年の米国国立科学アカデミーでは次のように定義しています。
primary careとは、患者の抱える問題の大部分に対処でき、かつ継続的なパートナーシップを築き、家族及び地域という枠組みの中で責任を持って診療する臨床医によって提供される、総合性と受診のしやすさを特徴とするヘルスケアサービスである
資格の認定を受けるには、必要な単位数の研修を修了して認定審査に合格しなくてはいけません。
なお、審査は書類審査と試験とに分かれます。試験内容について詳細は公表されていませんが、認定機関である日本プライマリ・ケア連合学会のホームページに試験例題が掲載されているので参考にしてください。
在宅療養支援認定薬剤師
住み慣れた場所で暮らし続けながら医療提供を受けられる、在宅医療の重要性が高まっています。在宅療養支援認定薬剤師は、そうした在宅医療において適切な薬物療法を担うための専門性を認める資格です。
認定を受けるには薬剤師として3年以上の実務経験をもち、在宅業務の実践について5つ以上の事例報告ができるなどの条件があります。詳しくは、認定機関である日本在宅薬学会のホームページで確認してください。
条件を満たし申請を行うと認定試験を受けられます。認定試験は書類審査、筆記試験および面接が実施されます。筆記試験ではe-ラーニング講座や在宅医療のKEY&NOTE(薬ゼミファーマブック発行)、バイタルサイン講習会、認定セミナー、時事などが出題範囲です。
認定資格の取得でスキルアップを目指しましょう
認定薬剤師について、人気の7資格をご紹介しました。資格一覧で記載した通り、その種類は数多くあります。自身が目指すキャリアや専門性を高めるなら、興味のある分野に適した資格取得を目指しましょう。
なお、研修認定薬剤師はかかりつけ薬剤師や管理薬剤師になるために必須の資格となっています。薬局でのキャリアアップを目指すなら、まず最初に挑戦してみてはいかがでしょうか。
ファルマラボ編集部
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