- 公開日:2020.02.25
薬剤師の転職には店舗見学が必要?その理由と見るべきポイントを解説
「働いてみたら想像とのギャップが大きい」と転職を後悔する薬剤師は決して珍しくありません。思った以上に忙しかったり、職場の雰囲気に馴染めなかったり...。就職してから気づいても簡単には辞められず、無理をして続けている方もいるのではないでしょうか。
転職後に後悔しないためには、あらかじめ店舗の現状を把握し就職先を選ぶことが大切です。そこで、おすすめなのが店舗見学。今回は、【店舗見学を行なった方が良い理由/実際の店舗見学で見るべきポイント】をお伝えします。
店舗見学が必要な理由
転職が失敗する原因の一つに、想像と就職した店舗との間にギャップがあることがあげられます。「聞いていた話と違う」、「こんなはずではなかった」と後悔するのは、店舗の情報を十分に把握していなかったことが大きな原因です。だからこそ、情報収集に必要なのは、実際見学に行くことだと考えます。
しかし、多くの薬剤師は、「店舗見学のために仕事は休めない」「店舗見学するくらいなら他社の面接を進めたい」「コンサルタントの話でだいたい分かるから大丈夫」などの理由で、店舗を見ずに転職先を決めることが多いようです。
想像と現実のギャップが少なく、働きやすい職場を選ぶためにも、実際に店舗を見て、自分に合った職場を選ぶことが大切です。直接現場を見学することで、コンサルタントの説明だけでは知ることができない部分や、求人票では分からない薬局の雰囲気、面接担当者以外のスタッフの様子などを知ることができます。
転職時に大切な店舗見学ですが、なんとなく見に行くだけでは、何も把握できずに終わってしまいます。次の章では、店舗を見学するときのポイントをご紹介しましょう。
店舗見学で見るべきポイント(1)薬局の雰囲気
店舗見学でまずチェックしていただきたいのは、「薬局の雰囲気」です。ただ、雰囲気といっても漠然としているので、次のチェックポイントを確認しておくとよいでしょう。
薬剤師の年齢、性別や話し方
主なスタッフの年齢層は知りたいところです。見学をすると、スタッフの年齢や性別などがだいたい把握できます。若々しい雰囲気の薬局か、落ち着いた雰囲気の薬局かによって、自分が馴染めそうかどうかを判断しやすくなるでしょう。あまりに若い薬剤師ばかりだと知識不足や業務フローが成熟していないために、ミスが多発しやすい可能性があります。
また、対応時の会話を聞くこともポイントです。敬語・謙譲語・丁寧語などが使い分けられていると、患者さまに対してのマナーや接遇がきちんと教育されていることがわかります。話し方が明るいか暗いかどうかで、薬局の雰囲気を感じることもできるでしょう。
調剤事務員と薬剤師の関係
薬剤師だけでなく、調剤事務員の雰囲気も掴んでおきましょう。常に患者さまと接する場所にいる事務員が、その薬局の雰囲気を作り上げていることも少なくないからです。事務員の対応が悪いと、患者さまは薬局に悪いイメージを抱き、薬剤師に対しても心を閉ざしてしまうことがあります。
また、事務員と薬剤師が上手く連携しているかも大事なポイントです。薬剤師の態度があまりに横柄では、お互いの間に壁ができてしまい、ミスが起きる可能性は否定できません。
薬局長とそのほかのスタッフの人間関係
現場の上長となる薬局長の人柄や雰囲気は、薬局全体に大きく影響します。「人柄がよく誰にでも隔たりなく対応しているか」「落ち着いた判断ができそうか」「相談にのってくれそうか」など、薬局長の人間性も観察しておきましょう。
また、スタッフと薬局長の関係性を見ることも大切です。「パワハラのような対応をしていないか」「曖昧な指示を出していないか」「意見を聞く様子はあるか」など、スタッフとの関係性をしっかり確認することで、その薬局の雰囲気がイメージしやすくなるでしょう。
患者さまに対する薬剤師の態度
薬局の内部に対する態度だけでなく、患者さまに対する応対も参考になります。明るく優しい応対をしている場合は、薬剤師自身も楽しく働いていることが多いでしょう。
逆に患者さまに対して一方的な説明をしていたり、否定的な態度をとっていたりするようであれば、普段からストレスを抱えている可能性が高いといえます。薬剤師の態度が悪い場合は、職場の雰囲気に問題があることが多いので、十分に観察しておくと良いでしょう。
店舗見学で見るべきポイント(2)設備
薬局の設備を見るのも大切なポイントです。「現職と同じレセコンを使っているか」「どのような分包機を使っているか」「調剤室内が整理整頓されていて、書類や薬品が整然と並んでいるか」などについても見ておくとよいでしょう。
調剤機器の充実度
調剤に用いる自動分包機や軟膏練り機など、「機器に設備投資しているか」、「どのメーカーの機器を使っているか」などもチェックしましょう。慣れている機械であれば、それだけスムーズに業務を始められます。また、自動化が進んでいると、それだけ調剤における薬剤師の負担も少なく働きやすい職場だといえるでしょう。
レセコン・薬歴管理システムなどの種類
レセコンや薬歴管理システムの種類を把握しておくのもよいでしょう。
基本的な入力は調剤事務員が行うとしても、レセコンの入力を薬剤師に求められることはあります。レセコンによって打ち出される調剤録や薬袋なども変わるので、見学時に確認しておくとよいでしょう。
また、薬歴管理システムの種類も把握しておくと便利です。必ずしも以前と同じである必要はありませんが、自分が慣れているシステムの方が働きやすいからです。また、薬歴の記入状況も見せてもらうことができれば、薬剤師の質や業務量を確認することもできます。
店舗やトイレの清潔さ・整理整頓されているか
実際に店舗へ見学に行くと、次のような状況が目に付く時があります。 「調剤カウンターに物がたくさん置かれている」、「空き箱やヒートが散乱しているが誰も片付けようとしない」、「郵便物などが雑然と置かれている」。このような場合は業務が忙しすぎて業務管理ができていない状態にあるか、スタッフの意識が低いことが考えられます。
また、「シロップのラベルが後ろを向いている」「分包機の蓋が空いている」「調剤室の床汚れている」など。小さなことですが、安全管理や衛生面での管理意識をチェックするポイントとなります。さらに、薬局のトイレが綺麗かどうかは大きな判断基準です。掃除が行き届いている場合は、それだけスタッフの意識も高く、快適に働ける環境と言えるでしょう。
このように、整理整頓されておらず清潔感のない薬局は、何かしらの問題があることが多く、その薬局が働きやすい職場であるかどうかを考えるうえで大きな参考となります。
休憩室の有無・広さ
店舗見学では、調剤室だけを見学して休憩室を見忘れてしまうことがあります。しっかり休憩をとり、心身のバランスを保ちながら働くためには、落ち着ける休憩室があるかどうかも大事なポイントです。休憩室がなければ、毎日食事のために外出しなくてはなりません。
また、薬局によっては休憩室が調剤室の真横にあって、忙しくなるとフォローに呼ばれたり、話し声や音が聞こえたりと落ち着いて休めないことも。立地や広さなどを確認し、落ち着いて休める休憩室があるかどうかをしっかり確認しておきましょう。
店舗見学で見るべきポイント(3)薬剤師の数と雇用形態
薬剤師の人数だけでなく、薬剤師の雇用形態も確認する必要があるでしょう。募集要項と働いている薬剤師の人数が異なったり、正社員ではなくパートが多かったりすることもあります。時短勤務の薬剤師がいるかどうかなど、細かい点まで確認すると良いでしょう。
薬剤師の数を把握する
募集要項や求人票などに、薬剤師の人数は表記されていますが、最新のデータに更新されていないことも少なくありません。とくに離職率が高い薬局の場合は、多く在籍していた時期の人数を表記していることもあります。店舗見学では、実際に働いている人数やその日休んでいる人がいるかどうかなども確認しておくと良いでしょう。
正社員・パート・派遣などの雇用形態を確認する
パートや派遣がほとんどの店舗もあります。そうした薬局に正社員で入ると、責任のある仕事のほとんどを一人で担うことになってしまいます。とくに派遣が多い薬局では、それだけ社員が定着しないということなので、何らかの問題が隠れている可能性もあります。店舗見学の際は、スタッフの雇用形態も可能な限り確認しておくと良いでしょう。
店舗見学での情報収集が転職を成功させるカギ
薬局の店舗見学が思っている以上に大切であることは、おわかりいただけたでしょうか。「わざわざ行くのは面倒だから」「薬局に悪いから」と敬遠せず、ぜひ薬局に確認してみましょう。その店舗の雰囲気を感じることができ、スタッフと直接話すことで自分に合った薬局かどうかを判断しやすくなります。
「百聞は一見にしかず」というように、求人票やネットの情報、コンサルタントの話だけでは見えてこないことも多いので、一度は足を運ぶことが大切です。おすすめは、自分が働くことを想定しながら薬局の雰囲気を肌で感じること。店舗見学を通して知った内容は、転職を決定するうえで大きな判断材料となるはずです。
ファルマラボ編集部
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