- 公開日:2024.06.28
薬剤師に将来性はある?求められる薬剤師像とは?薬剤師としての将来性を高める方法
薬剤師は医療の質向上に必要不可欠な存在であり、その役割は年々重要性を増しています。しかし、AI技術の発展や他職種との競合など、薬剤師の将来性に不安を感じる声も聞かれます。
そこで本記事では、以下の内容を解説します。
ぜひ、薬剤師の将来性について理解を深め、今自分ができることから実践してみてください。
薬剤師の将来性とは?将来性がないと言われる理由
薬剤師は医療の質と安全性を担保するために重要な職種ですが、近年その将来性は疑問視されています。理由としては以下の3つです。
それぞれ詳しく解説します。
薬剤師の競争率が上がってきている
薬剤師の需要は底堅いものの近年は薬学部の新設が相次ぎ、薬剤師の輩出数が増加しています。また、女性の社会進出やシニア世代の雇用継続など薬剤師を志す人口も増えてきています。結果的に、薬剤師の競争率は確実に上昇傾向にあり、単に国家資格を取得するだけでは生き残りは厳しい傾向です。
このような環境の中で、薬剤師が地位を守り活躍の場を広げていくためには、高度な専門性とともに幅広い知識・スキルを身につけ、付加価値の高い存在となる必要があります。
AIの台頭やICT機器の導入による担当業務の変化
薬剤師の業務の中には、在庫管理や薬歴管理、相互作用チェックなど、AIやICT機器の導入により代替可能な業務が含まれています。技術の進歩により将来的に薬剤師の手を離れていく仕事内容が増える可能性はあるかもしれません。
しかし、薬剤師の業務すべてがAIに取って代わられるわけではありません。たとえば、患者さまへの服薬指導や副作用モニタリングなど、薬剤師の専門知識と経験に基づく判断が必要とされる場面は今後も残っていくでしょう。薬剤師の業務内容は時代とともに変化していますが、AIに代わる職業ではないと考えられます。
薬剤師以外の職種への期待の高まり
薬局やドラッグストアでは、薬剤師以外にも登録販売者が医薬品の販売に携わっています。現在、ファーマシーテクニシャンを導入するかどうかの議論が行われております。 ファーマシーテクニシャンが導入されれば、薬剤師の指示の下で、調剤業務の一部を担うことも期待されるでしょう。
薬剤師業務の一部を代替しうる職種への期待が高まれば、薬剤師の将来性に不安を感じる人も出てきます。しかし、高度な専門性を要する業務内容は引き続き薬剤師が担っていく必要があり、他職種はあくまでも薬剤師の補助的な役割を果たすものと位置づけられます。
今後求められていく薬剤師像とは
薬剤師の将来性に不安を感じる風潮もあるかもしれませんが、どの職場でも求められる薬剤師を目指すことも大切です。
具体的なポイントは以下の4つです。
それぞれ解説します。
高度で幅広い知識をもっている
セルフメディケーションの普及やICT技術の進展に伴い、薬剤師は高度な専門知識とともに幅広い知見が求められています。単なる調剤業務にとどまらず、患者さまの症状や生活状況を総合的に判断し、適切な服薬指導を行う能力が必要です。
また、認定薬剤師や専門薬剤師などの資格を取得すれば、自身の知識・技能の高さを客観的に示せることもできるしょう。薬剤師業界において、このような資格をもつ薬剤師は高い評価を受け、より良い職場や待遇を得られる可能性が高まるでしょう。
在宅医療の知見がある
在宅医療に精通した薬剤師は、患者さまのQOL維持・向上に大きく貢献できます。高齢化の進展に伴い在宅医療の重要性が高まっている日本において、在宅医療での服薬管理や服薬指導ができる薬剤師が求められています。
また、在宅医療の現場では、患者さまの多様な生活環境に合わせた柔軟な対応力が求められます。医師や看護師、介護職など他職種との連携・協働も欠かせないため、コミュニケーション能力を兼ね備えておく必要もあるでしょう。
在宅医療の知見を深めること、人と抵抗なく会話ができる・関係性を築くことができる力を磨くことで、活躍の場を広げ将来性を高めることができるでしょう。
「マネジメント力」や「育成する力」がある
マネジメント力のある薬剤師は、スタッフの育成や業務の効率化、組織運営などに力を発揮できます。管理職となるためには豊富な経験と優れたリーダーシップが必要です。病院や薬局の規模拡大をする場合は、管理薬剤師など管理職としての役割を担う薬剤師が求められます。
日々の業務の中でスタッフとのコミュニケーションを積極的にとっていくことで、現場の問題を解決できる力を磨いていくことができるでしょう。最終的には組織が一致団結することで、患者さまへの医療提供の質向上を目指していくことが大切です。
かかりつけ薬剤師になる
高齢化や核家族化が進む中、患者さまに根ざした薬剤師の役割はますます重要になっていきます。
2016年に開始された「かかりつけ薬剤師制度」は、地域住民に身近な存在として、医薬品や健康に関する相談にのる薬剤師の育成が目的で、設立されました。
かかりつけ薬剤師になるには、一定の基準があり条件は以下のとおりです。
これらのハードルを越えて「かかりつけ薬剤師」となれば、患者さまが本当に欲することがわかり、一人ひとりに合わせた医療提供ができるでしょう。
より詳しくかかりつけ薬剤師について知りたい人は、以下の記事を参照してください。
医師・歯科医師・薬剤師統計の概況|厚生労働省
クローズアップ 認定・専門薬剤師|一般社団法人 日本病院薬剤師会 かかりつけ薬剤師・薬局の推進について|厚生労働省 かかりつけ薬剤師・薬局とは?|公益社団法人 日本薬剤師会
時代が変化しても求められる薬剤師でいるために何をすべきか
将来性のある「求められる薬剤師」になるために、以下を心がけながら業務に取り組んでみましょう。
資格取得・セミナーへ積極的に参加し、常に知識をアップデートさせる
認定薬剤師や専門薬剤師の資格取得は、自己研鑽の成果を目に見える形で示せます。
日々の仕事で生じた疑問を放置せず関連分野のセミナーに参加したり、文献や記事を読み込んだりして、常に知識のアップデートを心がけましょう。
「認定薬剤師」について、より詳細に知りたい方は以下の記事もご参照ください。
『認定薬剤師にはどのような種類がある?転職に役立つ人気の資格7つを紹介
チームとして質の高い医療を提供するために「マネジメント力」を磨く
管理薬剤師やドラッグストアの責任者などのマネジメント職を志望する薬剤師にとって、人の育成、管理能力の向上は欠かせません。
部下の指導、育成、組織運営など、チームや部下をまとめるには様々な力が必要です。
管理職には、高度なスキルが求められるので、日々の業務の中で少しずつ身につけていきましょう。たとえば、後輩薬剤師への指導の際は、相手の性格や立場に合わせた適切なアドバイスをするだけでも、磨かれていきます。
自身のマネジメント力を磨くためにも、一緒に働いているスタッフが力を発揮できるようにチームや後輩のことを考えて行動していきましょう。
将来のビジョンやキャリアについて常に自分自身に問いかける
「こんな薬剤師になりたい」「いつまでに管理薬剤師になりたい」など、自分の将来像を常にイメージし、目標にちかづくために常に自分自身に問いかけていきましょう。
そのためには目指すべき薬剤師像を明確にし、必要なスキル、経験を洗い出すことが、計画的なキャリア形成のための大切なポイントになります。
「在宅医療」に興味があるのなら、「在宅支援に力を入れている薬局への転職」や、関連する研修の受講などを計画に盛り込むと良いでしょう。
また、「がん専門薬剤師」を目指す場合は、がん診療連携拠点病院への転職、がん専門薬剤師研修の受講が必要です。
より細かく、具体的なアクションプランを立てれば、目標や夢への道筋がしっかりと見えてきます。
また、キャリアプランは自分の状況に合わせて柔軟に見直しましょう。自分の興味や強みが変わる場合はキャリアプランの修正を試み、「学び直し」や「転職」も視野に入れてキャリアを考えていきましょう。
クローズアップ 認定・専門薬剤師|一般社団法人 日本病院薬剤師会
自分が目指す薬剤師でいるために「転職」も一つの手段
AIが浸透しデジタル化された時代だからこそ、薬剤師の仕事が危ぶまれると思う人は多いです。しかし、自分のキャリアビジョンを明確にもち、自身をアップデートしていくことができれば、薬剤師はどんな時代でも求められ続けるでしょう。
理想とする薬剤師像の実現のために、転職は選択肢の1つです。自分の目指す方向性に合った職場を探し、新たな環境に飛び込めば薬剤師としてのさらなる成長に繋がるでしょう。
ぜひ、自分のキャリアビジョンをしっかりもちステップアップし続け、これからの時代を牽引する薬剤師として活躍していきましょう。
ファルマラボ編集部
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