- 公開日：2022.09.05
『リウマチ財団登録薬剤師』とは？資格の取得方法やメリットなど解説！【薬剤師の資格入門】
薬剤師としてキャリアアップを目指すなら、特定領域で専門性を磨くのは一つの手段と言えるでしょう。とくに資格などを保有すれば、現職での昇格・昇給などのキャリアアップのほか、転職活動においてもアピールポイントになり得ます。
たとえば、リウマチ性疾患における専門性の証明は、『リウマチ財団登録薬剤師』の資格です。本記事ではリウマチ財団登録薬剤師の取得方法やメリットなど詳しく解説します。
- リウマチ財団登録薬剤師とは
- リウマチ財団登録薬剤師の資格取得方法
- リウマチ財団登録薬剤師のメリット
- 連携するほかの専門医療職
- 日本リウマチ学会
- 日本臨床リウマチ学会
- 日本薬学会
- 日本医療薬学会
- 日本薬剤師会学術大会
- 日本臨床薬理学会の学術団体
- 免許証の写し
- 従事歴
- 指導患者名簿
- 指導記録
- 単位取得証明書一覧表
- 振替受領証のコピー
リウマチ財団登録薬剤師とは
リウマチ財団登録薬剤師とは、リウマチ性疾患の薬物療法について高い専門性を持つ薬剤師で、公益財団法人日本リウマチ財団による制度です。他医療スタッフと連携して薬剤に関する情報提供や服薬指導、あるいは薬物療法に伴う管理指導などを行います。2019年4月時点で529名の薬剤師が登録。制度発足の背景には、バイオ医療の普及を背景にリウマチ疾患に処方される薬剤の種類が増え、調剤のハードルが高まったことなどが背景にあるようです。
また、2021年の段階で関節リウマチの患者数は国内に70万人以上いると言われ、生物学的製剤という新しい治療薬も誕生しました。関節リウマチの治療が大きく変化するなか、リウマチ性疾患は薬剤師として職能を発揮できる分野だと言えるでしょう。
リウマチ財団登録薬剤師の資格取得方法
ここでは公益財団法人日本リウマチ財団の公式情報を参考に、リウマチ財団登録薬剤師の資格取得方法を詳しくご紹介します。
取得条件
資格取得には以下いずれかに該当し、それぞれ実務経験など規定要件を満たす必要があります。
①医療機関、保険薬局等において、リウマチ性疾患の薬学的管理指導に従事している薬剤師
＜要件＞
薬剤師の資格取得後、3年以上の薬剤師実務経験が必要。また、教育研修会で20単位以上を取得し、以下の症例を提出することが求められます。
a.リウマチ性疾患服薬指導等の薬剤師業務を担当したリウマチ性疾患薬学的管理指導患者名簿：10例（抗リウマチ薬の調剤3例以上を含む）
b.リウマチ性疾患薬学的管理指導記録：5例（上記aのうち5例、抗リウマチ薬の調剤3例以上を含む）
②薬剤師の資格を持つ薬学・医学系教育機関の教員
＜要件＞
教育研修会で20単位以上を取得し、引き続き3年間の講義、セミナー、演習、医療薬学実習等の時間数の合計3単位（学校教育による履修単位）を取得しなくてはいけません。
教育研修会に代わる単位取得について
資格要件で取得が求められる教育研修会は、日本リウマチ財団が主催または認定するリウマチ性疾患の医療薬学に関するカリキュラムに相当するものとなります。具体的には財団研修会と認定研修会が対象となり、教育研修会での単位取得が難しい場合は以下を単位として充当することが可能です。
＜医療機関、保険薬局等において、リウマチ性疾患の薬学的管理指導に従事している薬剤師＞
①リウマチ財団登録医・リウマチケア看護師・リウマチ財団登録薬剤師・リウマチ財団登録理学・作業療法士が講師として実施するカリキュラムに則った院内研修（講義、技能・技術指導等）：8単位 ※8時間まで
②治験コーディネーター（CRC）資格者等でリウマチ性疾患の治験に参加した場合：10単位 ※1回のみ
③大規模災害発生時にリウマチ性疾患患者の薬学的管理指導に従事した場合（実地訓練含）：5単位 ※1回のみ
④リウマチ性疾患の医療薬学に関する学術論文：筆頭者5単位 共同研究者3単位
⑤学会、財団が主催・認定した教育研修会等での発表：筆頭者3単位 共同研究者2単位
＜薬剤師の資格を持つ薬学・医学系教育機関の教員＞
①リウマチ財団登録医・リウマチケア看護師・リウマチ財団登録薬剤師・リウマチ財団登録理学・作業療法士が講師として実施するカリキュラムに則った院内研修（講義、技能・技術指導等）：8単位 ※8時間まで
②大規模災害発生時にリウマチ性疾患患者の薬学的管理指導に従事した場合（実地訓練含）：5単位 ※1回のみ
③リウマチ性疾患の医療薬学に関する学術論文：筆頭者5単位 共同研究者3単位
④学会、財団が主催・認定した教育研修会等での発表：筆頭者3単位 共同研究者2単位
＜単位付与の特例＞
以下いずれかの主催した研修会については、いずれかに参加した場合に取得単位数5単位を1回のみ単位に充当できます。なお、その際は申請時に受講者の氏名が記載された参加証等の写しが必要です。
申請・取得手順
審査料（10,000円）を振り込んだ後、申請書および履歴書、以下該当書類を郵送します。
審査終了後、登録通知が発行されたら登録料（5,000円）を振り込めば取得完了です。
リウマチ財団登録薬剤師新規申請について‐公益財団法人日本リウマチ財団
リウマチ財団登録薬剤師のメリット
リウマチ財団登録薬剤師の資格を取得すると、リウマチ性疾患の薬物療法に関する専門家として評価されるでしょう。現在勤務している職場はもちろん、転職においてもプラスに働く機会が多くなるはずです。リウマチ疾患を専門とする医療機関はもちろん、製薬会社や医療関連の教育施設などでも活躍できる可能性があります。
さらに、リウマチ疾患の分野に関して、指導する立場になることも考えられます。そのため、薬剤師としてキャリアアップにつながる資格と言えるでしょう。
連携するほかの専門医療職
リウマチ財団登録薬剤師には、同じリウマチ性疾患について高い専門性を持つ他医療職との連携も求められます。
具体的に日本リウマチ財団ではリウマチ財団登録医やリウマチケア看護師、リウマチ登録理学・作業療法士という資格も設けており、いずれもリウマチ性疾患に関するスペシャリストです。リウマチ財団登録薬剤師の資格を取得して活躍を目指すなら、こうした他医療職の存在についても頭に入れておきましょう。
リウマチ性疾患における薬のスペシャリストに
リウマチ財団登録薬剤師は、教育研究会での単位取得が必要など取得ハードルの高い資格です。しかし、資格を取得すればリウマチ性疾患のスペシャリストとして認められ、仕事の幅が広がるほか転職にも有利に働くでしょう。国内においてもリウマチ性疾患の患者数は多く、さらに新薬の誕生などから、リウマチ性疾患に詳しい薬剤師のニーズが高まっています。薬剤師としてのキャリアアップを考えるうえで、一つの選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。
