業界動向
  • 公開日:2020.05.26

薬剤師が知っておくべき調剤薬局の制度は?国が進める医療改革制度まとめ

薬剤師が知っておくべき調剤薬局の制度は?国が進める医療改革制度まとめ

薬剤師として働くためには、医薬品や保険の専門知識だけでなく、国が進める医療改革の情報について知っておく必要があります。

超高齢化社会において求められる「かかりつけ薬剤師・薬局」への期待と「在宅医療」へのシフトチェンジ、薬機法等の改正による「地域連携薬局」と「専門医療機関連携薬局」への細分化など、調剤薬局ではたらく薬剤師の将来にかかわる制度は日々刷新されています。

気づいたら新たな制度や政策が始まっていたということがないように、この記事では国が進める制度をわかりやすくまとめていきます。

かかりつけ薬剤師・かかりつけ薬局

患者に服薬指導を行う薬剤師のイメージ

厚生労働省が掲げる「患者のための薬局ビジョン」において、地域包括ケアシステムの一翼を担い、いつでも気軽に相談ができる「かかりつけ薬剤師」が必要とされています。

かかりつけ薬剤師やかかりつけ薬局については、在宅医療や24時間・夜間対応、医療機関の連携なども求められるため、あわせて見ていきましょう。

かかりつけ薬剤師・かかりつけ薬局とは?

「かかりつけ薬剤師」とは、薬や健康、介護などに関する豊富な知識と経験を持ち、患者さまの相談に応じ、健康管理のサポートができる薬剤師のことをあらわします。また、「かかりつけ薬局」では、かかりつけ薬剤師が知識力を十分に発揮できるよう、薬剤師の育成や関係機関との連携をとることが求められています。

▼参考記事はコチラ> 日本薬剤師会 かかりつけ薬剤師・薬局とは?

かかりつけ薬剤師・かかりつけ薬局に期待される役割

①在宅医療での活躍

病院や介護施設で過ごす以外にも、気心の知れた家族と過ごしたいと考え、在宅医療を選択する患者さまが増えるようになりました。地域包括ケアの一環として、患者さまの適切な薬物療法をサポートするため、薬剤師による在宅医療への積極的な関与が求められています。具体的な業務としては、在宅療養の患者さまに対する、服薬状況の確認、副作用・相互作用のチェック、残薬管理などです

②24時間・夜間対応

休日や夜間などの開局時間外でも、薬の使い方や飲み間違い、副作用で悩む方に対して、電話相談を実施します。また、在宅されている患者さまの症状が悪化したときには、調剤を行うことも求められています。薬局単独での実施が困難な場合には、調剤体制について近隣の薬局や地区薬剤師会等と連携することもあるでしょう。

③服薬情報の一元的・継続的把握

薬物治療において、異なる診療科で処方されたお薬同士の飲み合わせが問題となることもあります。医薬品の専門家である薬剤師は、主治医との連携や患者さまへのヒアリング、お薬手帳の内容の把握などを通じて、服用薬を一元的・継続的に把握した上で、薬学的管理および指導することが求められています。患者さまに複数のお薬手帳が発行されている場合は、手帳の集約化を行うことも必要です。

④医療機関との連携

医師の処方内容をチェックし、必要に応じて疑義照会や処方提案を行うことも大切な仕事です。患者さまの状態把握、残薬管理や服薬指導、処方医にフィードバックすることも求められています。医薬品等の相談や健康相談に対応し、医療機関に受診勧奨することや地域の関係機関と連携することもこれからは必要となるでしょう。

▼参考資料はコチラ> 厚生労働省 かかりつけ薬剤師・薬局の推進

健康サポート薬局

患者と向き合う薬剤師のイメージ

健康サポート薬局とは、薬に関するあらゆる相談に応じる「かかりつけ薬剤師・薬局」の機能に加えて、市販薬や健康食品、食事、衛生指導、介護など、薬以外の健康に関する相談に応じ、積極的な健康サポート機能を有する薬局のことをあらわします。

健康サポート薬局となるためには、医療機関や地域包括支援センター、訪問看護ステーション、市町村保健センター、その他の行政機関など、関係機関とあらかじめ連携体制を構築することや、研修を修了した薬剤師の配置、土日開局、地域住民の健康の維持・増進を具体的に支援することなどが求められています。また、要指導医薬品を適切に選択できるような供給体制や、プライバシーに配慮した窓口を設置することも必要です。

▼参考記事はコチラ> 日本薬剤師会 健康サポート薬局とは?

高度薬学管理機能

高度な薬の知識を持った薬剤師のイメージ

医薬品や薬物治療の高度化により、調剤薬局も高度薬学管理機能を有することが求められています。がんやHIVのような疾患を有する方に対して、副作用や併用薬を考慮したケアを行い、医師や看護師などの他職種や、患者さまのニーズに応えていかなくてはなりません。

高度薬学管理機能を実現するには、学会が提供する専門薬剤師の認定等を受けた高度な知識・技術と臨床経験を有する薬剤師の配置や、専門医療機関との間で治療薬や個別症例などに関する勉強会・研修会の共同開催などを継続的に実施する必要があります。

「地域連携薬局」と「専門医療機関連携薬局」

医師や看護師と協力する薬剤師のイメージ

2019年3月19日に薬機法等改正案が閣議決定され、国会に提出されました。中でも薬剤師や薬局に関する内容として注目されているのが、「薬局機能認定制度」の創設です。

これまでの薬局は「調剤の業務」を行う場所として定義されていましたが、医薬品の適正使用に必要な「情報の提供および薬学的知見に基づく指導の業務」が追加されます。さらに、患者さまが自身に適した薬局を選択できるように、「地域連携薬局」と「専門医療機関連携薬局」が新設されることとなりました。

地域連携薬局ではかかりつけ薬剤師・薬局機能や健康サポート機能が、専門医療機関連携薬局では高度薬学管理機能が、それぞれ求められています。

▼参考資料はコチラ> 厚生労働省 2040年を展望し、 誰もがより長く元気に活躍できる社会の実現に向けて

薬剤師の将来に関わる制度は日々チェックしよう

指をさす薬剤師のイメージ

この記事では、薬剤師が知っておくべき、国の進める制度について解説していきました。

「かかりつけ薬剤師・薬局」「在宅医療」「健康サポート薬局」「高度薬学管理機能」は、すべてが重要なキーワード。その内容を正確に説明できるようにしておかなくてはなりません。それと同時に、国の求める薬剤師としてのスキルを身に着けることが求められているので、専門知識の習得や資格の取得なども積極的に行うようにしましょう。

ファルマラボ編集部

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記事掲載日: 2020/05/26

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