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  • 公開日:2020.05.29
  • 更新日:2022-08-12

【2022年最新】オンライン服薬指導の知っておきたいメリット・デメリット

【2022年最新】オンライン服薬指導の知っておきたいメリット・デメリット

PCやタブレット端末などを利用した服薬指導が、「オンライン服薬指導」です。本来は、医薬品医療機器等法(薬機法)の要件を満たす必要がありましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、時限的・特例的に要件を緩和したオンライン服薬指導「0410対応」が認められることに。さらに、2021年度内(2022年3月迄)には、薬機法に定められた要件が、「0410対応」に準じて緩和されて、より広がりを見せています。

この記事では、オンライン服薬指導に関心のある薬剤師に向けて、概要やメリット・デメリットを解説していきます。

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「オンライン服薬指導」とは?

「オンライン服薬指導」とは?

「オンライン服薬指導」とは、PCやタブレット端末などの情報通信機器を用いて服薬指導を実施することです。医療資源の乏しい地域に住む患者さまや、様々な理由で医療機関の受診が困難な患者さまに対して、良質な医療を安定的に提供することに加えて、新型コロナウイルスなどの感染拡大防止策としても期待されています。

今後ますますの普及が予想される「オンライン服薬指導」

2014年頃までは、処方された医薬品の交付に際して、薬剤師は対面による服薬指導を行うことが原則とされてきました。しかし、2015年、離島や僻地など医療資源の乏しい地域の遠隔診療・在宅診療のニーズに対応するために、国家戦略特区など一部の地域限定でオンライン服薬指導の実証実験が開始。その後、2020年9月には改正薬機法の施行によって、全国的にオンライン服薬指導が実施可能になりました。

しかし、「薬機法に基づくオンライン服薬指導」の対象者はオンライン診療・在宅診療を受けた患者さまのみ。かつ、多くの要件が設けられ、全国的な普及には至りませんでした。

2020年には、新型コロナウイルス感染症の拡大を背景に、同年4月10日に時限的・特例的な「0410対応」が厚生労働省より通達されました。「0410対応」の対象者は、オンライン診療・在宅診療を受けた方に限定せず、さらに初診から取り扱いが可能であるなど、「薬機法に基づくオンライン服薬指導」よりも要件が大幅に緩和されています。

さらに、2021年12月には内閣府の規制改革推進会議が開催され、当面の規制改革の実施事項として2021年度内(2022年3月迄)に「薬機法に基づくオンライン服薬指導」の要件が「0410対応」に準じて緩和され、実質的に「0410対応に基づくオンライン服薬指導」が恒久的に実施可能になることが公表されました(※)。

そのため、オンライン服薬指導が患者さまや薬局にとって身近なものとなり、全国的に普及していく流れが生まれていると考えられます。

※:2022年3月10日時点で、今後の方針を発表。「0410事務連絡の実績や規制改革実施計画等を踏まえ、薬機法に基づくルールの改正(省令・通知)について、二度パブリックコメントを実施」「オンライン診療指針とともに、年度内に公布・施行予定。但し、現下のコロナ感染状況を踏まえ、来年度以降も当面は0410事務連絡での運用を継続」。詳細は、以下参考資料「オンライン服薬指導について(厚生労働省)」参照。

「オンライン服薬指導」のメリット

「オンライン服薬指導」のメリット

在宅医療における負担軽減・業務効率化

訪問を必要とする患者さまに対して、オンライン服薬指導の併用によって薬剤師の訪問回数を減らすことができるため、薬剤師の負担軽減や業務効率化につながると考えられます。また、離島やへき地など医療資源が不足する地域での対応に活用できると考えられます。

病院や薬局内での感染防止につながる

病院や薬局は、様々な疾患をもつ患者さまが集まり密になる感染拡大のリスクが高い場所です。とくに高齢者や免疫低下の患者さまであれば、罹患リスクが高いためより注意が必要でしょう。自宅で服薬指導を受けられるオンライン服薬指導は、感染予防につながります

患者さまの通院における負担軽減

アクセスの悪い地域における医療機関を受診する患者さまの悩みの種は、通院への負担です。患者さまの高齢化や介助者の不足を背景に、通院や来局が難しくなるでしょう。移動や待ち時間などの負担削減にもオンライン服薬指導は有効です。また、医療資源の乏しいエリアであっても、専門性の高い服薬指導を受けられることは利点となるでしょう。

将来的な医療費の抑制につながる

オンライン服薬指導の普及により、医療機関の受診や薬物治療などが身近になります。受診率や薬物治療の継続率が上昇すると、慢性疾患の重症化を防止できると考えられます。また、薬剤師のアドバイスを受ける機会が増えることで、服薬アドヒアランスが良好になれば残薬の問題も解消されるため、結果的に医療費の抑制にもつながるでしょう。

「オンライン服薬指導」のデメリット

「オンライン服薬指導」のデメリット

患者さまの通信環境や情報リテラシーによって実施できないこともある

オンライン服薬指導は、主にPCやタブレット端末などの情報通信機器を用いて行われるため、患者さまの通信環境や情報リテラシーが課題の一つとなっています。高齢者はPCやスマートフォン、タブレット端末などの操作方法に不安を抱くかもしれません。また、患者さまの抱える疾患(パーキンソン病など)が端末操作や通話の障壁となる場合もあるでしょう。

そのほか、山間部や離島では通信インフラが整備されていないために実施が難しいケースも考えられます。

オンラインではやり取りできる情報に限りがある

従来の対面による服薬指導と比較すると、オンライン服薬指導では、薬剤師が受け取れる情報に限りがあります。画面越しでは患者さまの細かな変化に気づくのが難しいだけでなく、検査値やお薬手帳などの情報を受け取れないこともあります。吸入器や自己注射器など複雑な手技を要する医薬品に関しては、オンラインでの指導が難しい場面もあるでしょう。

医薬品の配送における問題点

対面による服薬指導では、患者さまに調剤された医薬品を手渡しできますが、オンライン服薬指導では配送する必要があります受診から医薬品の到着までのタイムラグや、配達料などの費用負担が生じることは大きなデメリットです。また、配送手段の確保や温度や湿度など配送時の品質管理についても、今後の課題の一つと言えるでしょう。

これからの「オンライン服薬指導」に求められること

オンライン服薬指導は、医療機関の不足する地域に住む患者さまへの対応だけでなく、通院の負担軽減や在宅医療の拡大、医療費の抑制にも重要な役割を果たすと考えられます。

薬剤師には、薬学的知識はもちろんのこと、最新のシステムを利用して医療サービスを提供する知識やスキルが求められます。画面越しであっても患者さまと円滑なやり取りができるよう、コミュニケーション能力を高めることも重要となるでしょう。

オンライン服薬指導の本格導入に向けて

この記事では、オンライン服薬指導について関心のある薬剤師に向けて、概要やメリット・デメリットを解説しました。

「薬機法に基づくオンライン服薬指導」は、「0410対応に基づくオンライン服薬指導」となり、薬機法にて恒久化されました。これにより、山間部や離島などのへき地に住む患者さまの利便性向上だけでなく、感染症のリスク軽減や医療費削減に加えて、薬剤師の偏在化や働き方改革などを解消する方法としてオンライン服薬指導は注目を集めることでしょう。

一方で、得られる情報が限られることや情報リテラシーの問題、通信環境の整備の必要性など、課題も少なくはありません。提供体制の構築や法制度の対応も含めて検討がすすめられているので、今後の動向に注目していきましょう。

松田宏則さんの写真

監修者:松田宏則(まつだ・ひろのり)さん

有限会社杉山薬局下関店(山口県下関市)勤務。主に薬物相互作用を専門とするが、服薬指導、健康運動指導などにも精通した新進気鋭の薬剤師である。書籍「薬の相互作用としくみ」「服薬指導のツボ 虎の巻」、また薬学雑誌「日経DI誌(プレミアム)」「調剤と報酬」などの執筆も行う。

記事掲載日: 2020/05/29

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