- 公開日:2020.07.15
「ラウンダー薬剤師」とは?仕事内容やメリットを解説【薬剤師のお仕事ガイド】
「ラウンダー薬剤師」という言葉を聞いたことはありますか?
一か所にとどまらず、いろいろな店舗をまわって働く勤務形態で、人手不足の薬局を補佐する仕事は薬局から感謝されることも多く、やりがいを実感できる仕事です。その一方で、ラウンダー薬剤師は「大変そう」「忙しそう」「落ち着かない」など気になる不安要素も多いのではないでしょうか。
そこで、この記事では「ラウンダー薬剤師」の仕事内容、求められる資質、メリット・デメリットについてお伝えします。働き方の一つとして「ラウンダー薬剤師」を検討する際の参考にしてください。
「ラウンダー薬剤師」とは?
ラウンダー薬剤師とは、従事者の急な欠勤や新店オープン、繁忙期の人手不足などをカバーするために各店舗をまわっている薬剤師です。派遣薬剤師のような雇用形態ではなく、企業内に籍を置きます。最近では複数店舗を経営する調剤薬局や一部ドラッグストアなどでも活用されているシステムです。実務では、薬局や店舗の求めに応じて、調剤・監査・投薬・雑務など幅広く対応するスキルが必要です。
ラウンダー薬剤師は、固定の所属店舗をもって曜日ごとに他店舗をまわるケースもあれば、毎日まったく違う薬局に行くこともあります。午前と午後で違う薬局に移動しなければいけない場合もあり、実際に忙しく働いている人も多いようです。
店舗ごとにシステムが異なる場合もあるため、薬局ごとの体制を確認しておく必要があります。また、処方医が変われば処方箋も対象の科目も変わるので、ラウンダー薬剤師は各店舗に柔軟に対応できる能力が求められます。
「ラウンダー薬剤師」として働くメリット
毎日職場が変わるラウンダー薬剤師には、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここではラウンダー薬剤師として働くメリットについてご紹介します。
様々な処方を経験できる
一般的な調剤薬局や病院に勤める薬剤師であれば、固定の店舗または病院で業務するため処方内容が固定されることがほとんどです。しかし、ラウンダー薬剤師は、様々な店舗をまわり数多くの処方を行っているので、将来どこの薬局に配属されてもその経験を活かすことができるようになるでしょう。
給与補助や待遇が期待できる
ラウンダー薬剤師は各店舗を行き来することによる身体的な負担が大きいため、企業側が何らかの待遇や補助を上乗せしている場合が多くあります。大きな企業になれば本社勤務のマネージャーやエリアマネージャー がラウンダー薬剤師として起用されることもあるでしょう。管理職としての雇用であれば、待遇面についても高い設定が期待できます。
人間関係が閉鎖的にならない
薬剤師がストレスを抱える理由は人間関係であることがほとんどです。これには閉鎖的な空間で働かなければならない環境的な要因が深く関係しています。ラウンダー薬剤師の場合は、毎日同じ人と働くわけではないため、人間関係のストレスは少なくなると考えられます。どのような人とでも円滑に事を運べるコミュニケーション能力は求められますが、毎日違う人に会うので従来のような閉鎖的な空間による人間関係のストレスは少ないでしょう。
「ラウンダー薬剤師」として働くデメリット
ラウンダー薬剤師は一見、魅力的に映るかもしれませんがデメリットもあります。いざ採用されてから後悔しないように、デメリットも確認しておきましょう。
通勤の負担が増える
ラウンダー薬剤師は、広域で職場を転々とします。通勤だけで片道2時間以上かかる職場への派遣を指示されることもあり、移動時間の長さが負担になりがち。その分プライベートな時間も削られるので、毎日慌ただしく過ごす原因にもなりかねません。公共交通機関が整っていない地域であれば車通勤が必要になるケースもあるので、事前にきちんと確認する必要があります。
勤務形態が不規則で予定を立てづらい
毎日通う職場が違うだけでなく、シフトの急な変更なども多くなります。今日は9時から18時、明日は11時から20時......と、変則的なシフトを組まれることも。従事者の急な欠勤により、当日の朝になって配置される店舗が変わる場合もあるので、自分の予定は立てにくくなるでしょう。そのため、プライベートを充実させたい人には不向きな業種であるかもしれません。
仕事を次の日に持ち越せないため残業になりがち
ラウンダー薬剤師は明日同じ職場に来るとは限らないため、基本的に仕事を翌日以降に持ち越しできません。薬歴が書けなくなることがないよう、その当日中に終わらせる必要があります。基本的に仕事をすべて終えるまでは帰れないので、残業が多くなってしまうことも考えられます。
「ラウンダー薬剤師」になるために必要なスキル
ラウンダー薬剤師になるためには、どのような薬局でも対応できるスキルが必要です。誰でも希望通りにラウンダー薬剤師になれるとは限らないので、自分のスキルが十分かどうかを確認しておきましょう。
処方箋の知識、調剤スキルが備わっている
様々な処方箋に対応するには、薬や疾患に関する知識だけではなく、調剤に関するスキルも必要です。薬剤師は調剤経験3年ほどでやっと一人前になるといわれているため、それ以上の経験が必要となるでしょう。
フットワークが軽く、臨機応変な対応ができる
処方箋、スタッフの個性や考え方、現場のルールなど、薬局ごとの違いに順応できる柔軟性が必要不可欠です。物覚えがよく、臨機応変に対応できる要領のよさも求められます。患者さまは誰が常勤かそうでないかの区別がつかないので、いきなり店舗の質問をされる場合もあるはず。イレギュラーな状況でもそれに動じることなく、冷静な対応ができるタイプの方は適任です。
スケジュール管理と自己管理ができる
ラウンダー薬剤師は職場が毎日変わるだけでなく、勤務時間も変動するので、スケジュール管理ができなければ継続は難しいでしょう。万が一間違えて違う店舗に行ってしまったり、遅刻してしまったりすれば、現場に迷惑がかかります。確実に勤務に入れるようにするには、余裕をもって行動できる自己管理能力がなくてはなりません。また、毎日変則的な環境で働くので、生活が乱れがちになることも。自分自身で食生活や睡眠時間を調整し、しっかりと体調管理をしていくことが求められます。
「ラウンダー薬剤師」に向いている人
ラウンダー薬剤師は通常の薬剤師の勤務形態と異なり、求められる資質が変わってきます。個人によって向き不向きがあるので、事前に確認しておきましょう。
複数の薬局で働くことにストレスを感じない
ラウンダー薬剤師は複数の薬局を兼任する状態になるため、毎日勤務環境が変わります。同じ職場で働く方がストレスを感じにくいという人には不向きかもしれません。違う環境にもストレスなく順応でき、職場の変化でよい刺激を感じられる人に向いているでしょう。
薬局ごとのルールや考え方に柔軟に対応できる
自分の考え方を貫きたい方や新しいやり方を受け入れられない人、ルールが都度変わることに戸惑いを感じてしまう人にはおすすめできません。薬局ごとに違うルールを柔軟に受け入れられるだけでなく、様々なスタッフの考え方や個性に対応できる方ならスムーズに業務を行うことができるでしょう。
コミュニケーション能力に長けている
違う職場に行けばスタッフが変わり、年齢も雇用形態もバラバラ。毎日一緒に過ごすわけではないため、同僚の個性を把握しづらく、人間関係の構築が難しくなります。コミュニケーション能力に長け、短時間でも仕事上の信頼関係を築ける力がある人はラウンダー薬剤師としての活躍が期待できるでしょう。
幅広い処方箋内容に対応できる
薬局が変われば処方内容も大きく変わるため、幅広い処方箋に対応できるだけの経験が必要です。粉砕・混合・小児調剤など技術が必要な調剤にもスムーズに対応できなければ、ラウンダー薬剤師として現場での活躍は難しいでしょう。新人薬剤師にはどうしても難しいポジションであるため、経験豊富なベテランがラウンダー薬剤師になるのが一般的です。
まとめ
今回は「ラウンダー薬剤師」の仕事内容や求められるスキル、働くうえでのメリット・デメリットについてご紹介しました。疑問は解消されましたか?
様々な経験を活かしながら、いろいろな職場へ通いアクティブに働きたい人におすすめのラウンダー薬剤師。外部に情報が出ていないケースも多いため、興味がある方は転職コンサルタントに相談してみるのはいかがでしょうか。
一般公開がされていない案件を紹介してもらえるので、ラウンダー薬剤師への近道がきっと見つかるはずです。雇用形態についても、正社員から契約社員など幅広い条件が揃っているので、自分にあった働き方を見つけられるといいですね。
ファルマラボ編集部
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