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  • 公開日:2016.07.18

薬学部が4年制から6年制になった経緯について

2006年度に薬学部は4年制から6年制になりました。薬剤師として働く方は当然知っているかとは思いますが、経緯や目的についておさらいしましょう。

より高度なスキルを持った人材を育てる改革

医療技術の高度化・医薬分野の発展にあわせて、より高度なスキルを持つ薬剤師が必要とされつつあり、これまでの4年制教育だけでは対応することが難しくなってきました。 そうした変化に対応するための長期実習・アドバンスト教育の実施を目的として、薬学部6年制に延長することが検討されたという経緯があります。

一部では4年制薬学部が残っていますが、そうした学部は薬剤師国家資格を取ることはできないシステムになっており、薬に関する基礎的な見識の養成や研究者育成を目的としています。 どうしても資格を取りたいのであれば、不足科目・実務研修を補い、厚生労働省の個別認可を受けるステップをふむことになります。

6年制になったことで、資格取得の難易度があがったように感じますが、社会のニーズを満たすために不可欠だった改革であり、薬剤師の社会的地位がますます高まるものと考えられます。 医療チームの重要な一員として活躍する人材が、今後ますます増えることでしょう。

研究職を目指す学生が4年制を選ぶ

6年制を避けてあえて4年制薬学部を受験する学生は、どんな人でしょう。

メーカーや製薬会社の研究職につくためには大学院修士課程卒業が条件で、研究に携わった経験がないと、志望することすらできない現状があります。 そこで、研究職に応募するための必要スペックを満たすため、院卒資格ねらいで入学する人もいます。

修士課程を卒業したからといって必ず希望の職業につけるわけではありませんが、理系職種の花形である研究職をはじめ、製薬会社の営業(MR)や品質管理などの関連業務、また学術研究者・講師など、資格は必要としないながらも専門性の高い知識を求められる仕事で活躍しています。

薬剤師資格の受験資格はないため、専門職としてのキャリアは考えていません。 資格必須の薬局・病院・ドラッグストア等での薬剤師としての勤務というキャリアではなく、別の角度から薬学の知識を活かせるキャリアを選択しているのが4年制薬学部志願者です。

大学選びの段階から将来を見据えた選択が必要になるのが、新しい6年制薬学部制度の特徴の一つです。

病院・薬局実習で薬学部生が学ぶこと

6年制の開始に伴い、病院・薬局実習がはじまっています。

実習に出る前に「薬学共用試験」を受ける必要があり、一定の点数をとらないと進級することすらできない仕組みで、国家試験に先駆けた、薬剤師になるための関門と言えるでしょう。

実習の一例を見てみると、処方せんに従って正しく医薬品を取り扱う・錠剤の計数調剤・同一有効成分の薬の整理などがあげられます。 指定のカリキュラムに沿って実習を組む必要があり、どの現場を選んだ学生も画一的な教育を受けています。

一般的な薬剤師が行っている業務を実際に経験し、将来の自分を模擬体験することで、座学の知識だけでは現場で通用しないことを実感して、大きく成長できるでしょう。

薬学部生にとっては、病院・薬局などの中から希望に近い職場で実習することで就業後のミスマッチが少なくなること、現場にとっては、即戦力となる薬剤師を育てられるメリットがあります。 勤務先に薬学部生が実習に来たら、チームの一員として厳しく優しく指導しましょう。

患者さまと接する中で身に付くスキル

薬剤師は、お薬に関する知識だけでつとまる仕事ではありません。 患者さまと会話をして、臨機応変に対応する必要があります。

お薬が合わない・副作用がつらい・飲むのが大変などの訴えがあれば、医師や看護師に連絡します。 同じ効果のお薬で、違うものを検討する必要もあるでしょう。 効果が高いというだけで治療を押し進めると、思わぬギャップが出てきます。

接する相手が人間である以上、言い方や説明方法にも配慮します。 感情を逆なでするような対応は避け、ケアがスムーズに進むように支援します。 先輩薬剤師の対話の仕方を見て気付きを得ようとする視点も重要です。

信頼がものをいう現場だからこそ、心を込めた接客が必要です。 どんな時にどう対処したらいいのか理解して、コミュニケーションスキルを培いましょう。

まとめ〜薬学部が4年制から6年制になった経緯について

1.より高度なスキルを持った人材を育てる改革
医療技術の高度化・医薬分野の発展にあわせて、より高度なスキルを持つ薬剤師が必要とされています。 4年制教育だけでは対応することが難しい現場教育を行うための延長です。 将来的な薬剤師の地位向上にもつながるでしょう。
2.研究職を目指す学生が4年制を選ぶ
6年制薬学部を避けて4年制を選ぶ学生も、中にはいます。 新薬を開発や成分分析など、資格を必要としないながらも薬学知識を活用できる仕事を希望し、4年制へ進学します。 大学選びの段階から将来を見据えた選択が必要になるのが、新しい制度の特徴です。
3.病院・薬局実習で薬学部生が学ぶこと
6年制の開始に伴い、病院・薬局実習がはじまっています。 処方せんに従って正しく医薬品を取り扱う・錠剤の計数調剤・同一有効成分の薬の整理などを行います。 座学の知識だけでは現場で通用しないことを実感して、大きく成長できるでしょう。
4.患者さまと接する中で身に付くスキル
薬剤師は、お薬に関する知識だけでつとまる仕事ではありません。 先輩薬剤師や周囲の同僚の接し方なども常に参考にしながら、薬剤師に求められるコミュニケーションスキルを磨きます。

ファルマラボ編集部

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記事掲載日: 2016/07/18

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