- 公開日:2016.07.11
薬剤師業務が電子化!電子お薬手帳のメリット・デメリットを知ろう
お薬手帳の電子化によって、薬剤師の仕事はどう変わるのでしょう。今さら聞けない電子お薬手帳の基礎知識、メリットとデメリットについて紹介します。
どこでもお薬情報を閲覧できる便利なシステム
電子お薬手帳とは、お薬手帳を電子化し、インターネット環境を利用して、お薬情報を記録・管理・保管するシステムです。
紙媒体と比較して持ち運びやすく、急なケガ・病気の時に重宝します。 災害があった時も、ネット経由で情報を引き出すことができるので、安心です。
反面、パソコンやスマートフォンの扱いに慣れていない高齢者にとっては、取っ付きにくいという難点があります。 誰が使い方をレクチャーするのか・操作方法がわからないときにどうすればいいかなど、解決すべき課題が残されています。
患者さまが安心して電子お薬手帳を利用するには、薬剤師の協力が欠かせません。 薬局ごとの利用システムをよく理解して、必要な説明ができるようにしていきましょう。
カードタッチタイプの電子手帳を活用
スマートフォン・パソコン操作が苦手な高齢者に対しては、カードタッチタイプのシステムが検討できます。
患者さま自身はお薬情報が入ったカードを持ち歩き、タッチして必要な情報を渡します。 交通系マネーと同じイメージで使えるので、スマートフォンが苦手でも使えます。
患者さまに対しては「病院に行く時だけでなく、いつもカードを持ち歩きましょう」と指導します。 副作用・飲み合わせが不安なお薬を使っている患者さまに対しては、なおさらです。
どこでも均一な医療サービスを受けられることが理想と言われますが、その環境を作り出すのもかかりつけ薬局の勤めと言えます。 紙媒体の使用を続けている患者さまがいれば、折を見て説明することも必要でしょう。 丁寧に使い方をアドバイスしたうえで一度体験してもらうと、苦手意識が払拭できる可能性があります。
患者さまを守るためのシステムであることを理解してもらい、健康管理に役立ててください。
複数の病院に行く患者さまにはやや不便
電子お薬手帳と一口に言っても、いろいろなメーカーから多数の商品がでています。 仕様が統一されていない現状だと、情報の一元化ができず、かえって情報共有しにくい難点があります。
そもそもお薬手帳とは、複数の医療機関で情報共有するためのものです。 電子化を進めたばかりに、飲み合わせ・副作用を見落とすようでは、かえって利便性が下がります。
大きな総合病院にかかっていてどんな症状もひとつの機関で見てもらうというならまだしも、そんな患者さまばかりではありません。 入院するとなった時も、チェックがスムーズに進みません。
今後電子化技術が進展すれば利便性が高まる見込みもありますが、現状を正しく理解しておく配慮が必要でしょう。 デメリットを説明しないままに電子化を進めると、患者さまを混乱させます。 薬剤師自身がシステムと管理技術の限界をふまえたうえで、正しく説明をしてください。
お薬についての記載は個人情報のかたまり
出されたお薬についての内容は、個人情報のかたまりです。 どんなお薬を飲んでいるのかがわかると、病気や健康状態を推測されます。
従来の紙方式では、1人1冊のノートに情報を書いていました。 電子お薬手帳では他の人とシステム内で一元管理することになるため、損害は想定を超えるレベルになります。
氏名・住所・生年月日と言った情報から個人を特定し、犯罪に利用されてはたまりません。 患者さまの不安を取り除くためにも、情報の取り扱いに特に気をつけます。
これから導入を検討するなら、データ管理体制がしっかりとした会社を選ぶなどの工夫が必要です。 関連法規との兼ね合いも意識しつつ、コンプライアンス意識が高い事業者を選びましょう。
電子お薬手帳には、薬を処方した薬剤師・担当医師に関する記載も残ります。 情報漏洩が起こると、自分自身や医療関係者の個人情報も流出するということです。
関係者のプライバシーを守るためにも、正しい運用管理が必須であると考えてください。
まとめ〜薬剤師業務が電子化!電子お薬手帳のメリット・デメリットを知ろう
- 1.どこでもお薬情報を閲覧できる便利なシステム
- 電子お薬手帳とは、インターネットを利用して、お薬情報を記録・管理・保管するシステムです。 情報を持ち運びやすいメリットがある反面、高齢者への対応やセキュリティ技術が不安視されています。
- 2.カードタッチタイプの電子手帳を活用
- カードタッチタイプのシステムなら、高齢者も安心です。 まだ導入していない患者さまに対しては、使い方をレクチャーする・利便性を体験してもらうなど、薬剤師主体で普及させます。
- 3.複数の病院に行く患者さまにはやや不便
- 電子お薬手帳と一口に言っても、いろいろなメーカーから多数の商品がでています。 現状だと仕様が統一されていないため、情報の一元化ができないデメリットがあります。
- 4.お薬についての記載は個人情報のかたまり
- 電子お薬手帳から個人情報が流出すると、想定を超えるレベルの損害がでます。 コンプライアンス意識が強い事業者を選ぶ・運用方針を守るなどのリスクマネジメントで、患者さまと自分自身を守りましょう。
ファルマラボ編集部
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