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  • 公開日:2016.07.13

薬が苦手な患者さまへの対処法は?

薬が苦手という患者さまに対して、薬剤師がどのように指導すればいいのか考えてみます。 適切な配慮で、スムーズに治療を進めましょう。

患者さまの気持ちを受け止める配慮が重要

薬が苦手な患者さまがいたら、理由を聞きます。

味が苦手・においがイヤ・喉につかえるなど、100人いれば100通りの悩みがあります。 その人の気持ちを受け止めたうえで、解決方法を考えましょう。

教科書的な対応だと「よく効く薬だから頑張りましょう」などと説得してしまいがちですが、必ずしもこれが正しいとは言えません。 患者さまにとって嫌な薬を服用し続けるほど大変なことはなく、場合によってはストレスになってしまうこともあります。

そもそも大人の患者さまが「薬が嫌だ」と打ち明けること自体が大変なことでもあり、相談してくれたことに価値があります。 その気持ちに応えるのが、薬剤師の務めです。

悩みに「共感」するよう意識しながら、患者さまの気持ちに寄り添って、効果的な解決策を考えてください。

粉薬が苦手な患者さまへの対応例

粉薬が苦手な患者さまに対しては、錠剤・カプセル錠を検討できます。 成分が同じでもいろいろな剤形があるため、粉以外のタイプに変更しましょう。

薬の形を変えるだけでも飲みやすくなり、患者さまのストレスを軽減することができます。

粉タイプしかない薬なら、自分で粉薬を入れるタイプのカプセルが使えます。 お薬の量に応じた大きさのカプセルを使って、患者さま自身に飲みやすいよう準備してもらう方法です。 飲む前に毎回お薬を準備する手間はかかりますが、苦さが気にならなくなるメリットがあります。

患者さまの意向を聞きつつ、柔軟な対応をしてください。

カプセルの代わりに、オブラート・ゼリーを使う手もあります。 粉が喉につかえる悩みを解消できるうえに、面倒な手間もかかりません。

昔ながらのオブラートの他にも、今はいろいろな味がでています。 費用的な負担はかかりますが、手軽に試せる方法です。 どうしても粉が苦手という患者さまには、チャレンジしてもらいましょう。

薬が苦手な理由を隠す患者さまへの対応例

患者さまの中には、薬をかたくなに拒み、嫌悪感を示す人もいます。 担当薬剤師が理由を聞いても「とにかく嫌だ」という一方です。 この調子のままでは、お薬をちゃんと飲んでくれるかわかりません。

そんなときには「お薬に何か嫌な思い出があるのでしょうか」などと具体的に聞いてみましょう。 積極的に聞き役にまわって患者さまの反応を見ることで、共感する姿勢を示し、信頼してもらいます。

「父親が薬を飲み過ぎて体調を崩し、どんどん衰弱していく様子を目の当たりにした」など、具体的な原因を聞き出すことができればチャンスです。 受け答えとして「それは辛い経験ですね」など、共感する姿勢を見せましょう。

そのうえで「実はそれにはこういったことが関係していて、お薬のせいではありません」など、正しい理論を説明するとわかってもらえることがあります。 一方的に価値観を押し付けるのではなく、感情を理解した上で、正しい説明をしてみましょう。

においのキツさの感じ方は人それぞれ

お薬のにおいの感じ方は、患者さまによって異なります。

臭いから薬が苦手という訴えを受けてはじめて、気付かされることもあるはずです。 投薬のときには見逃していた薬の特徴がわかったときは「においが気になるようだと飲むのは大変ですね」など、やや大げさに答えます。 そのうえで「他のお薬はないか、病院の先生とも相談しましょう。」「ちょっとの間だけ、頑張っていただけませんか」などと答えると、良いでしょう。

ポイントは、解決にむけて取り組む意思を伝えること・少しの間だけ頑張って飲んでほしいとお願いすることの2点です。 薬が苦手という訴えを受け流すことは簡単ですが、同じような患者さまが続いては大変です。

ひとつのケーススタディとして真摯に向き合うと、良い解決策も見つかります。

患者さまの気持ちに寄り添うことができる薬剤師は信頼されます。 信頼関係を築きよりよい医療を提供していけるよう、ぜひ参考にしてみてください。

まとめ〜薬が苦手な患者さまへの対処法は?

1.患者さまの気持ちを受け止める配慮が重要
薬が苦手な患者さまへの対処で重要なのは「気持ちを受け止める」共感力です。 100人いれば100通りの悩みがあるので、気持ちを理解したうえで、薬剤師として解決方法を考えます。 患者さまの気持ちに寄り添って、効果的な解決策を考えてください。
2.粉薬が苦手な患者さまへの対応例
粉薬が苦手な患者さまに対しては、錠剤・カプセル錠を検討します。 粉タイプしかない薬なら、自分で粉薬を入れられるカプセルを使ったり、オブラート・ゼリーを使ったりしましょう。 患者さまの意向を聞きつつ、柔軟な対応をしてください。
3.薬が苦手な理由を隠す患者さまへの対応例
薬が苦手な理由を隠す患者さまへは、理由を探るために具体的な質問から入りましょう。 患者さまの考えを聞き出したうえで正しい説明を丁寧に行い、自発的に薬を飲んでくれるように促します。
4.においのキツさの感じ方は人それぞれ
においのキツさは、患者さまから指摘されて気付くこともあります。 医師と相談して新しい薬を検討する・結論が出るまでの間は今の薬を頑張ってほしいと伝えるなど、適切な対処をしてください。

ファルマラボ編集部

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記事掲載日: 2016/07/13

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