服薬指導に活かす医薬品情報

リーマス錠

Q

何のお薬?処方目的は?

A

本剤は気分安定薬であり、「躁病および躁うつ病の躁状態」の治療に用いられます。 現在は「躁うつ病」ではなく、うつ状態と躁状態という両極端な病状が起こる「双極性障害」と呼ばれることが多いです。「精神障害の診断と統計マニュアル第5版(DSM-5)」では、双極性Ⅰ型障害(うつ+躁)や双極性Ⅱ型障害(うつ+軽躁)等、7つの病態に分類されています。躁状態のみの発症は稀です。生涯有病率は約1.5%で、性差はないと言われています。 本剤は躁状態のうち、特に多幸感、楽観的に考える症状等に有効とされています。本剤投与後、抗躁作用が得られるまで5~21日と少し時間がかかります。早急に躁状態を抑えたい場合、抗精神病薬を併用することがあります。オランザピン(ジプレキサ)には「双極性障害における躁症状又はうつ症状の改善」、アリピプラゾール(エビリファイ)には「双極性障害における躁症状の改善」という適応が認められています。

Q

用法・用量は?

A

1日400~600mg、2~3回分割経口投与から開始し、以後3日ないし1週間毎に、1日1200mgまで漸増します。改善がみられたら維持量1日200~800mg、1~3回分割経口投与に漸減します(年齢、症状により適宜増減)。

Q

リチウム中毒について

A

本剤は治療域と中毒域が近接しており、病院ではTDMの対象薬剤です。維持量が決まるまで1週間に1回、その後も2~3ヶ月に1回をめどに血清リチウム濃度の測定結果に基づきトラフ値を評価しながら使用する必要があります。定常状態に達するまでには5~7日かかるため、TDMは通常は5日以上間隔を空けて実施します。 リチウム中毒は血中濃度が2.0mEq/Lを超えると発生しやすいと言われています。また、添付文書の禁忌に記載された「リチウムの体内貯留を起こしやすい状態」の他、利尿薬、ACE阻害薬、ARB、NSAIDsの併用も血清リチウム濃度上昇のリスク因子ですので、これらの薬剤を併用している方には慎重に投与する必要があります。リチウム中毒の初期症状としては、口渇、嘔吐、胃腸障害、筋脱力等が発生し、構語障害、運動失調、けいれん、昏睡等に発展したり、急性腎不全、肺炎、急性心不全を発症して死亡することもあります。

Q

妊婦への投与は?

A

動物実験(ラット・マウス)で催奇形作用が、またヒトで心臓奇形の発現頻度の増加が報告されています。また、分娩直前には血清リチウム濃度の異常上昇を起こすことがあるため、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人に禁忌です。

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派遣薬剤師のススメP
掲載日: 2018/03/05
※医薬品情報は掲載日時点の情報となります