デパス錠
Q |
何のお薬?処方目的は? |
A |
適応症は「神経症における不安・緊張・抑うつ・神経衰弱症状・睡眠障害」「うつ病における不安・緊張・睡眠障害」「心身症(高血圧症、胃・十二指腸潰瘍)における身体症候ならびに不安・緊張・抑うつ・睡眠障害」「統合失調症における睡眠障害」「頸椎症、腰痛症、筋収縮性頭痛における不安・緊張・抑うつおよび筋緊張」と多岐にわたり、用法・用量はそれぞれ、神経症・うつ病の場合は1日3mgを分3、心身症・頸椎症等の場合は1日1.5mgを分3、睡眠障害の場合は1 日1~3mgを就寝前に服用します。ただしいずれの場合も、高齢者では1日1.5mgまでとします。 精神安定剤に分類されるハイリスク薬ですが、「頸椎症、腰痛症、筋収縮性頭痛」に用いられる場合は特定薬剤管理指導加算の算定対象外となります。投与量が判断の目安にはなりますが、適宜増減もあるためそれだけで断定はできません。患者さまからしっかり情報を収集し、個々に応じた薬効説明を行い、適正な算定を行いましょう。 |
Q |
禁忌事項について |
A |
本剤は弱いながら抗コリン作用があるため急性狭隅角緑内障の患者さまには禁忌となっています。また、抗コリン作用と筋弛緩作用があることから、症状悪化の恐れのため重症筋無力症の患者さまにも投与禁忌です。本剤が処方された場合はそれぞれの疾患ではないことを確認し、プロフィールにその旨記載していくとよいでしょう。 |
Q |
睡眠薬としてのデパス錠 |
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A |
本剤は短時間作用型のBZ 受容体作動薬で、ω2選択性があることがわかっています。ω1選択性が高いものは筋弛緩作用が少ないため(表1参照)、高齢者ではふらつきの副作用が出にくく有用性が高いですが、一方で不安障害を伴うような不眠であればω2作用のある薬剤の方が効果的で、神経症的傾向が強い・肩こりなどを伴う不眠の場合には抗不安作用・筋弛緩作用をもつ本剤が有用です。 表1.BZ受容体のサブタイプと役割(中枢神経系)
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Q |
注意すべき副作用は? |
A |
眠気、注意力や反射運動能力等の低下が起こることがあるため、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意する必要があります。その他重大な副作用として「依存性」の記載がありますが、常用量では著しい耐性は形成されず、長期間使用しても身体依存を形成しにくいといわれています。自己判断での調節をせず、医師に指示された処方量を守って服用するよう指導してください。 「向精神薬の処方に関する実態調査」
2011 年11月、向精神薬の過量服用が自殺につながっているとの研究報告を受けて厚生労働省が実施した、向精神薬の処方実態調査の結果が公表されました。調査結果では処方に大筋問題はありませんでしたが、一部で3剤を超える処方や基準用量を超える処方がありました。抗不安薬や睡眠薬の処方を受けた際には、それらの適正使用のために、残薬の有無や他の医療機関からの処方の有無について確認する等、十分に注意を払うとともに、薬物依存の可能性等に注意し、同種の薬剤の3種類以上の処方があればその必要性について十分に考慮することが求められます。 |
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