- 公開日:2020.06.19
【薬学部の就活】病院薬剤師の仕事と働き方
おもに大学病院や市民病院などの薬剤部や薬剤科に所属して、医師や看護師などと一緒にチーム医療に加わり、臨床の第一線で活躍する病院薬剤師。急性期や入院を要するなど、不安定な状態にある患者さまの治療に参加することもあり、一般的に幅広い知識と経験が必要とされる職種として知られています。今回は、病院薬剤師の特徴とおもな業務について詳しく紹介していきます。
病院薬剤師の特徴
臨床の現場である病院は、薬剤師としてのスキルを存分に発揮できる場所です。 「患者さまを助けたい」という強い使命感を持ち、チーム医療の一員として治療に貢献できることは、病院薬剤師の大きなメリットといえるでしょう。また地域包括ケアシステムの推進により、院内のチーム医療だけではなく院外との連携も期待されています。
そのほかにも、研鑽のための勉強会や研修などを行っている病院もあり、学んだことを実務で活かせる点が大きな魅力。様々な経験を通してほかの職種では得ることができない豊富な知識を身につけることができるでしょう。
その一方で、業務内容が多岐にわたるため、時間管理が難しい業種であるといわれています。また、入院施設のある総合病院の勤務などは、夜勤があるのが特徴の一つ。特に夜間も救急患者を受け入れる救命救急病院などでは、オンコール体制をとっている病院もあり、患者さまの容体が急変したときに備えなければいけません。
病院薬剤師のおもな業務
調剤・注射剤調剤・製剤
病院薬剤師は、おもに入院されている患者さまの調剤を行います。薬局との大きな違いは、通常の内服薬や外用薬に加えて、集中治療室(ICU)で用いる各種薬剤の準備、注射薬の調剤や無菌製剤の混注など、多種多様な薬剤をすべて管理しています。 所属する病院によっては、取り扱っている薬剤は1,000種以上になるため、これらをきちんと把握して管理していかなくてはなりません。
臨床医療・チーム医療への関わり
患者さまと関わることで、病気の症状や治療方法を知ることができます。どのような疾患で、どんな薬剤を使用するのか。大学で学習した知識だけではなく臨床で実際に経験することにより、自分の知識として吸収できるようになるでしょう。
また最近は、チーム医療として活動を行う病院も増えてきました。 医師や看護師だけではなく、薬剤師、管理栄養士やソーシャルワーカーなど様々な専門家の意見を取り入れて治療に活かしていくことが目的です。 チームによっては薬について質問されることも多く、薬剤師としての職務を活かせる場でもあります。治療に携わることで自分の経験値が上がり、知識を深めていくことができるでしょう。
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チーム医療における病院薬剤師の役割は?必須スキルや活躍事例など
病棟薬剤業務
入院中に使用する全ての医薬品について薬歴管理(飲み合わせ・重複・アレルギーなどの確認)を行い、患者さまの状態を把握した処方提案、医薬品の情報提供を行います。また、病棟に配備された薬剤の管理はもちろん、処方された薬剤が間違いなく安心して患者さまにご使用いただけるように、配薬管理や薬剤説明を行います。
化学療法室業務
外来化学療法室の抗がん剤調製をはじめ、患者さまへ投与される抗がん剤の投与スケジュールや副作用などの詳しい説明を行います。また、投与を継続する中で現れる副作用や患者さまの訴えの確認を行うことで重症化を防ぎ、継続して安全な薬物治療を受けられるように患者さまをサポートしています。
治験業務
治験とは、新薬の製造販売承認を得ることを目的とした、未承認薬の臨床試験のことです。病院で働く薬剤師の中には、治験コーディネーターとして、医師の指示のもと治験の進行をサポートする薬剤師もいます。治験スタッフと協力し研究が適切に行われるようにサポートするだけでなく、被験者となる患者さまの相談に応じることも大切な業務なのです。
院外との連携
厚生労働省が推進している「地域包括ケアシステム」に基づき、病院内だけではなく、病院外との連携を取ることも重要とされています。入院時はきちんと服薬していた患者さまが、退院してから服薬を誤ったり怠ったりして再入院するケースは少なくありません。このようなことを防ぐためにも病院薬剤師と調剤薬局の薬剤師が情報を共有し、患者さまに適切な服薬指導を行うことが求められています。また、退院後に介護施設に入居される患者さまも多く、施設職員やソーシャルワーカーとの連携も必要とされるでしょう。
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まとめ
チーム医療に加わり、臨床の第一線で活躍する病院薬剤師。様々な経験を積み、患者さまの治療に貢献できるやりがいのある職種です。救命救急が行われている大規模病院、長期療養型の小規模病院など、それぞれの病院によって勤務時間や業務内容に違いがあるので、病院への就職を考える際は見学を行い、業務内容や職場の雰囲気をしっかりと確認するようにしましょう。
ファルマラボ編集部
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