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  • 公開日:2021.01.07

ドラッグストア薬剤師の平均年収は?働くメリット・デメリットとキャリアも解説!

ドラッグストア薬剤師の平均年収は?働くメリット・デメリットとキャリアも解説!

薬剤師の資格を活かして働ける職場には、調剤薬局・病院・ドラッグストアなどがありますが、職場や業種によって年収は様々です。一般的にドラッグストアは高収入といわれていますが、実際のところはどうなのでしょうか。

この記事ではドラッグストアで働く薬剤師に注目して、平均年収や働くメリット・デメリット、キャリアプランについて解説していきます。

ドラッグストア薬剤師の年収は高いって本当?

様々な職場で活躍する薬剤師ですが、ドラッグストアで働く薬剤師の年収は調剤薬局や病院などに勤める薬剤師に比べて高い水準にあるといわれています。

主な理由としてあげられるのは次の3点です。

まず、保険調剤に加えてOTC医薬品や衛生用品、食品などを扱うドラッグストアでは診療報酬に依存していないため、企業の営業利益が安定していること。次に、M&Aや多店舗展開により慢性的な人手不足にあるため、採用に力を入れていることです。

さらに、24時間営業や年中無休で営業しているドラッグストアでは、深夜勤務や土日祝日の勤務が求められ、時間外労働が多くなりやすい傾向もあります。調剤業務に加えてOTC医薬品の販売やレジ打ち、品出しなど業務が多岐にわたるため薬剤師の負担が大きく、他業種に比べ人員の確保が難しい一面も。そのため、企業からの年収提示が高くなることもあるでしょう。

▼参考記事はコチラ
「ドラッグストア」で働く薬剤師の仕事って?やりがいや年収も徹底解析!【薬剤師のお仕事ガイド】
【2020年版】薬剤師の年収は?都道府県別のデータ、給料アップの方法まとめ

ドラッグストア薬剤師の年収徹底検証!

では、ドラッグストアで働く薬剤師の年収は、実際に高いのでしょうか。ここではファルマスタッフ掲載求人のデータをもとに、様々な角度から平均年収を読み解いていきます。

職種別にみるドラッグストア薬剤師の平均年収

2020年12月時点のファルマスタッフ掲載求人をもとに、ドラッグストア・薬局・病院の平均年収を算出したところ、ドラッグストアの平均年収は544万円、調剤薬局の平均年収は532.1万円、病院の平均年収は469.6万円でした。薬剤師の平均年収の一般的な傾向として、「ドラッグストア>薬局>病院」であることがいわれていますが、こちらのデータでもドラッグストアの平均年収は高く、病院の平均年収は低いことがわかります。

さらにドラッグストアは東証一部上場企業などの大手企業も多く、平均年収だけでなく福利厚生が充実していることもポイントです。たとえば、産休育休制度や介護休暇、時短勤務などの制度が充実しており、長期的に働くことのできる職場も多くあります。社員割引や借り上げ社宅、退職金積み立て制度なども、将来のライフプランを考えるうえでは重要です。

地域別にみるドラッグストア薬剤師の平均年収

薬剤師の平均年収は、都道府県による差が大きいことも特徴です。2020年5月時点のファルマスタッフ掲載求人をもとに、ドラッグストアの平均年収を県ごとに算出(※)したところ、上位では1位秋田県699万円、2位青森県682万円、3位山形県663万円、下位では43位沖縄県520万円、44位愛媛県518万円、45位広島県511万円でした。また、都心部の平均年収は、24位東京都616万円、28位愛知県608万円、31位大阪府598万円、37位福岡県577万円でした。これらのデータより、最も平均年収の高かった秋田県と最も平均年収の低かった広島県では、金額にして188万円の差があり、地域によって平均年収は大きく異なるといえそうです。

また、一般的な業種では首都圏の平均年収は高い傾向にありますが、薬剤師の場合は人手不足が深刻な地方の年収が高まる傾向にあります。そのため首都圏の平均年収は、全国的にみたときに中程度~下位に位置することが読み取れるでしょう。

※一部地域を除きます

ドラッグストア「OTCのみ」と「調剤併設」の平均年収の違い

ドラッグストアには、大きく分けて「OTCのみ」と「調剤併設型(OTC+調剤)」の2種類があり、求められる業務内容も異なります。2020年12月時点のファルマスタッフ掲載求人をもとにしたそれぞれの平均年収は、OTCのみのドラッグストアでは541万円、調剤併設型のドラッグストアでは547.1万円となっており、調剤併設型のドラッグストアで働く薬剤師の方が若干高収入です。

調剤併設型の店舗では、OTC販売に加えて調剤業務も求められるため、勤務する薬剤師の負担は大きくなりがちです。しかし、「管理薬剤師手当」などによって年収が上がる可能性も高く、高収入が期待できる側面もあります。今後の薬剤師としてのキャリアを考えるうえでも、調剤併設型のドラッグストアで調剤スキルを高めるのはおすすめです。

ドラッグストア薬剤師として働くメリット・デメリット

ドラッグストア薬剤師として働くメリット・デメリット

ここでは、薬剤師としてドラッグストアで働くメリット・デメリットについて解説していきます。ドラッグストアの社風や職場によって異なる場合もありますが、一般的な内容についてみていきましょう。

メリット

医療用医薬品だけでなくOTC医薬品も扱える

ドラッグストアで働くメリットのひとつに、OTC医薬品の知識を身につけられることがあります。近年ではセルフメディケーションが推進されており、薬剤師にも大きな役割が求められています。OTCを取り扱う調剤薬局も増えていますが、ドラッグストアの方が取り扱うOTC医薬品の幅も広いので知識が身につきやすく、薬全般に関する情報をアップデートしやすい環境にあるといえるでしょう。

▼参考記事はコチラ
【具体例つき】セルフメディケーションの時代、薬剤師の仕事や役割はどう変わる?

医薬品のみに限らず、様々な領域の業務を経験できる

ドラッグストアは企業としての規模が大きく、様々な分野で薬剤師が活躍しています。薬剤師として店舗で勤務するだけでなく、本部において人事や教育担当として働く場合や、マーケティング部門でプライベートブランドの商品開発に挑戦する機会もあるなどキャリアプランも豊富といえます。

シフト制なので、プライベートの時間を確保しやすい

ドラッグストアでは年中無休の店舗も多く、シフト制で働くことが一般的です。家族の予定に合わせて休みを確保することや、保育園の送り迎えに合わせて勤務時間を調整するなど、プライベートの時間を確保しやすいのも特徴といえるでしょう。長期休暇制度を導入している企業も多く、まとまった休みがとりやすいこともメリットのひとつです。

デメリット

職場によっては医薬品に関する業務以外も求められる

ドラッグストアでは、医薬品に関する業務ばかりではなく、幅広い業務が求められる場合があります。品出しやレジ打ち、売り場づくり、クレーム対応など薬剤師の仕事とはかけ離れたものも少なくありません。「調剤や服薬指導に専念したい」と考える薬剤師にとっては、デメリットといえるでしょう。

勤務時間が不規則になりやすい

ドラッグストアでは、24時間営業や年中無休で営業している店舗も多く、勤務時間が不規則になりやすいことも特徴です。深夜勤務がある場合や、土日祝日の出勤が求められる場合もあります。お盆や年末など、世間がお休みのときにも働かなければならないため、家族や友人との時間が確保しにくいこともあるでしょう。

全国転勤を求められる場合もある

近年では新規出店やM&Aによって、他店舗展開を加速させているドラッグストアも増えています。全国展開を行う企業では、新規エリアへの出店にともなって転勤を余儀なくされる場合も珍しくありません。転勤なしの雇用条件も選択可能ですが、年収が大幅に下がることが一般的であるため注意が必要です。

ドラッグストア薬剤師のキャリアは?

ドラッグストア薬剤師のキャリアは?

ドラッグストアでは全国展開している企業も多く、規模が大きいことからキャリアプランも豊富です。ドラッグストアで働く薬剤師のキャリアについてみていきましょう。

店長・エリアマネージャーなどへの昇格

ドラッグストアで働く薬剤師の代表的なキャリアプランとして、店長やエリアマネージャーへのステップアップがあげられます。調剤併設型の店舗では、管理薬剤師を目指すことも可能です。店舗数が多いことから、就くことのできるポストの数も多く、早い段階で昇格が目指せることもメリットのひとつです。

総務・人事・教育部門など多彩なキャリアへの転身

ドラッグストアでは、調剤やOTC販売だけでなく、様々なキャリアプランを選択できることが特徴です。総務や人事、教育部門で働いたり、マーケターとして店舗の売上アップに貢献するなど、多彩なキャリアへの転身が可能です。自身の適性を知り、スキルを活かしたポストを目指せるのも人気の理由です。

様々な診療科の処方箋/OTC医薬品への対応

面分業を行うことの多いドラッグストアでは、複数の処方元の処方箋を受け付けていることが一般的です。マンツーマンを中心とした調剤薬局とは異なり、様々な診療科の知識を習得が期待できます。さらにOTC医薬品の経験を積めることは、薬剤師のキャリアプランにおいても大きなメリットです。

▼参考記事はコチラ
薬剤師がキャリアアップするなら?<職場別!業務内容や身につくスキルをご紹介>

ドラッグストアは高年収!選ぶときは未来のキャリアを見据えた転職を

この記事では、ドラッグストアで働く薬剤師に注目して、平均年収や働くメリット・デメリット、キャリアプランについて解説していきました。ドラッグストアでは高収入が期待できる一方で、調剤スキルを磨きたい方にとっては医薬品に関する業務以外も求められること、勤務時間が不規則になりやすいことがデメリットになる可能性もあります。

近年では国民医療費の高騰や予防医学の進歩を背景に、セルフメディケーションが求められるようになりました。薬剤師にも大きな役割が求められているので、興味がある方はドラッグストアなどでOTC医薬品について知識を身につけ自身のキャリアアップにつなげてみてはいかがでしょうか。

異業種からの転職の際には、薬剤師専門の転職コンサルタントを活用すると働いてからのイメージや理想にミスマッチが起こりにくくなります。年収はもちろん、働いてからのキャリアプランをしっかりと描くことで、あなたが理想とする薬剤師像に近づきましょう。

ファルマラボ編集部

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記事掲載日: 2021/01/07

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