- 公開日:2023.03.31
【2023年最新】薬剤師の復職は難しい?求人倍率の変化と復帰成功のコツ
薬剤師の復職の難しさをデータから解読。また、復職を成功させるためのポイントを4つに絞って解説。復職活動におすすめの転職サイトも紹介します。
薬剤師の復職は難しい?求人倍率から読み解く最新事情
「いったん退職してしまったら、薬剤師の復職は難しいのでは」とお悩みの方のために、データをもとに薬剤師の復職の難易度を解読してみましょう。
以下のデータは、厚生労働省の一般職業紹介状況より引用しています。「一般職業紹介状況」とは、厚生労働省が毎月作成している統計調査のひとつ。有効求人倍率などの指標の算出を目的として、ハローワークにおける求人・求職・就職の状況(新規学卒者を除く)を取りまとめています。
有効求人倍率とは雇用動向を示す指標で、有効求人数を有効求職者数で割って算出されます。例えば有効求人数が100件で有効求職者数が50人とすると有効求人倍率は「2倍」と表され、この値が高い職業ほど売り手市場であると言えます。
コロナ禍が落ち着きつつある今、薬剤師の復職の可能性はどのように変化しているのかを見るため、2021年12月~2022年11月分の1年間の推移をまとめました。今回は、薬剤師に関連するデータとして、「医師、薬剤師等」の求人倍率を引用しています。また、比較のために、職種を問わず全体の求人倍率も併記しています。
以下、「パートを含む医師、薬剤師等の倍率(職業計の倍率)/パートを除く医師、薬剤師等の倍率(職業計の倍率)」の順番で記載しています。
パートを含む医師、薬剤師等の倍率(職業計の倍率) | パートを除く医師、薬剤師等の倍率(職業計の倍率) | |
---|---|---|
令和3年12月分 | 1.98倍(1.14倍) | 2.82倍(1.18倍) |
令和4年1月分 | 2.03倍(1.14倍) | 2.89倍(1.17倍) |
令和4年2月分 | 2.06倍(1.14倍) | 2.92倍(1.17倍) |
令和4年3月分 | 2.03倍(1.13倍) | 2.86倍(1.15倍) |
令和4年4月分 | 1.88倍(1.06倍) | 2.82倍(1.11倍) |
令和4年5月分 | 1.80倍(1.06倍) | 2.71倍(1.11倍) |
令和4年6月分 | 1.83倍(1.09倍) | 2.76倍(1.16倍) |
令和4年7月分 | 1.89倍(1.15倍) | 2.77倍(1.20倍) |
令和4年8月分 | 1.96倍(1.18倍) | 2.80倍(1.22倍) |
令和4年9月分 | 2.00倍(1.20倍) | 2.86倍(1.24倍) |
令和4年10月分 | 2.07倍(1.23倍) | 2.93倍(1.27倍) |
令和4年11月分 | 2.18倍(1.27倍) | 3.13倍(1.31倍) |
復職者が多いと想定されるパートを含んだ倍率と含まない倍率、どちらも上昇傾向となっていますが、パートを含んだ倍率と含まない倍率には開きがあり、復職の手段として考えている方が多いパートタイムの求人はフルタイムに比べて少ないことが推察できます。 とはいえ、職業全体の求人倍率に比べれば薬剤師の数値は高く、フルタイムでは2.3倍、パートタイムを含めた有効求人倍率でも全体の有効求人倍率1.27倍に対して1.7倍と、1人あたりの求人数は充分な状態。 薬剤師の復職自体は難しいことはなく、売り手市場が続いているといえます。
「ブランクあり薬剤師」が復職するための方法
ここからは、ブランクのある薬剤師が復職を成功させるためにすべき4つのポイントを解説していきます。
まずは勉強と情報収集
まず、復職するにあたって、勉強や情報収集は欠かせません。3つの勉強法を紹介しますので、参考にしてください。
【1】インターネットや参考書・雑誌ブランク解消には情報収集が不可欠。ネット環境があれば自宅でも手軽に情報収集ができますし、薬剤師向けの書籍を活用するのも良いでしょう。月刊誌であれば、いま現場で話題になっている情報を得ることができます。
【2】e-ラーニング研修パソコンやスマートフォンを利用して動画を視聴する形式の学習方法が、e-ラーニング。薬剤師向けに企業が用意しているものも。各種疾患や治療・在宅医療・実務マネジメントなど、薬剤師として基本的な内容を体系的に学べるものもあります。「ブランクが長くなって知識やスキルを忘れてしまった」という場合の勉強ツールとして使うのがおすすめです。
【3】復職支援研修会への参加各地域の薬剤師会の中には、復職支援サポートを主催しているところもあります。研修の具体的な内容は地域によって異なりますが、調剤報酬や薬局・病院の業務について昨今の動向解説、薬局でのカウンター業務や保険請求業務、病院内のWEB見学を行う実務実習、認知症や緩和ケアなどの病態関連を学習する座学研修などがあります。復職支援以外の研修会やセミナーについては、対象者を現役薬剤師に絞っている場合があります。参加を検討する際は、対象者を事前に確認するようにしましょう。
実際に復職支援の研修会に参加した受講者の声として、愛媛県薬剤師会による復職支援研修会(令和元年度)に参加された方の感想を紹介します。
「久しぶりの調剤業務だったので、実習で少し感覚を取り戻せた。正確にスピーディーに調剤することが求められていると改めて感じた。内服薬だけでなく、がんのレジュメなどの知識を習得し服薬指導できるよう、勉強していきたいです(受講者Mさん/35歳女性 /ブランク約5年)」
どんな働き方(雇用形態)が良いか決める
次に、復職するにあたってどのような働き方をしたいのか決めましょう。以下に正社員、アルバイト・パート、派遣社員、それぞれのメリット・デメリットについてまとめました。
正社員...安定した収入や福利厚生が受けられるものの、業務量が増えたり勤務時間が長くなったりする可能性が高い。
アルバイト・パート...勤務時間の融通がききやすい反面、勤務時間が短いと社会保険に加入できない可能性も。
派遣社員...高時給で働けるが、即戦力として活躍できるスキルが求められる。
これらの働き方の中から、ご自身のブランクの期間や家庭の事情に合わせて選択するのもひとつの方法です。
例えばブランクが短かったり家族や親族の協力が得られたりする場合は、安定した収入や福利厚生、高時給などのメリットを活かせる正社員や派遣社員として働くのが良いでしょう。デメリットとなる業務量や勤務時間に制限を設けずに働けるのであれば、前向きに検討してみてください。
逆に、ブランクが長くなってしまったり共働きで十分な協力が得られなかったりする場合は、アルバイトやパートとして働きながら徐々に慣れていくのが良いでしょう。家庭と仕事の両立ができるようになってから勤務時間を延ばしたり正社員として働いたりするなど、低いハードルから進めていけば精神的なストレスは減らせるはずです。
復職しやすい職場を選ぶ
ここからは、復職しやすいおすすめの職場を3つに絞って紹介します。
【1】ドラッグストアドラッグストアは求人数が多く、ブランク明けでも復職しやすい職場のひとつ。中でも全国展開する大手ドラッグストアは研修制度や福利厚生が充実しており、復職しやすい環境を整備している傾向にあります。
調剤薬局や病院と比べて営業時間が長く土日も営業している店舗が多いので、希望するシフトで働けるかどうかの事前確認がポイントになります。
【2】調剤薬局調剤薬局もドラッグストアと同様に求人数が多い職場のひとつです。大手調剤薬局の場合、一定地域の店舗を掛け持ちして勤務する薬剤師(ラウンダーなど)が在籍しているケースが多いので、急な休みも比較的取りやすい傾向にありますが、勤務する店舗によって忙しさや業務形態は異なります。
例えば、総合病院前などの調剤薬局はその立地から処方箋枚数が多いものですが、そのぶん薬剤師の数も多く、シフトは比較的柔軟に対応可能な傾向にあります。
【3】回復期や慢性期病院「子育てと仕事どちらも充実させたい」と考えるなら、ブランク明けに復帰する職場の選択肢として回復期や慢性期の病院も含めてみましょう。
これらの病院は内服薬や注射薬の払い出しがメインの勤務体制になっており、定時で帰宅できる施設が比較的多い傾向にあります。
転職活動のコツを知る
出産や育児、介護などの理由で現場を離れたのちに復職する場合は、就業中の転職活動とは事情が異なります。ブランクがある場合の転職活動のコツを把握しておきましょう。
希望条件と優先順位を決めておくまずは勤務条件の希望と優先順位を決めておきましょう。
特に育児中は勤務時間や勤務日、残業に制限が生じてしまいますので、「定時で退勤したい」「土曜日は休みたい」といった譲れない条件をリストアップしてみてください。条件が定まれば、おのずと働ける職場も絞られてくるはずです。
とはいえ、採用側としては職場に貢献できる人材を採用したいと考えるもの。全ての希望条件を受け入れてもらえる可能性は高くありません。「残業できる曜日」「土曜日出勤できる日」など、家庭に支障が無い範囲で働ける条件も決めておくのもポイントです。譲れない条件に優先順位をつけておけば、求人探しや面接での交渉もしやすくなるでしょう。
面接のコツ面接の最大のコツは、謙虚な姿勢で臨むこと。
内定を貰いたいからといって、「知っています」「できます」と知らない・できない仕事にまで言ってしまうことは危険です。実際に働き始めた時に言っていたことができず、期待を裏切ることになり、評価にも響きます。
復職までのブランクを不安に感じるかもしれませんが、時間と共に知識や感覚は思い出されるもの。面接ではむしろ素直に「これから勉強していきます」と伝えた方が印象は良くなるでしょう。
環境整備乳幼児を保育園に預けて復職する場合、急な発熱や体調不良といった万が一の事態に備えて子どもを預けられる場所(ベビーシッターやファミリーサポートセンターなど)も探しておきましょう。地域や施設によって予約方法や利用方法が異なるため、いざという時にスムーズに利用できるよう事前に確認しておきましょう。
また、急な残業に備えた保育園選びも大切です。延長保育を導入している保育園であれば、万が一残業が発生した場合も安心して業務に取り組むことができます。
復職を支援するサービスの活用も検討を
求人倍率から読み解く転職市場、ブランクがある薬剤師が復職を成功させるポイントについて解説いたしました。しかし、いざ復職しようと決意しても、ひとりで復職活動を進めるのはハードルが高いかもしれません。そうした時は、「復職支援」のある薬剤師向け転職支援サービスを利用するのがおすすめです。
たとえば、転職支援のプロが的確にアドバイスをしてくれるサービスであれば、「ブランクが長くて復職が上手くいくか不安」という方も安心して活動を進められるはず。「お会いする姿勢」を大切に20年以上薬剤師の転職を支援し続けてきた転職サービス・ファルマスタッフも、数多くの復職支援経験があります。さらに、公開求人件数は業界トップクラスで、2021年には「薬剤師に選ばれる転職サイトNo.1(※)」にも選ばれました。
(※)日本マーケティングリサーチ機構調べ/調査概要:2021年11月期_ブランドのイメージ調査
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ファルマラボ編集部
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